ストライガの駆除
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/01 19:08 UTC 版)
ストライガは、その生活環の大半が地面下に行われるため、それに対する対策が困難である。地上部に現れる前に発見できない場合、作物の損失を低減することができない。ストライガが広がることを防止するために、汚染されていない種子をまき、土壌を洗浄し、圃場に入る前に靴、衣類、農機具から植物片を除去することが必要である。ストライガの数が少なければ、種子ができる前に手作業で除草することもある。 アメリカでは、ストライガに侵された地域での検疫、侵された地域とそうでない地域との農作機を移動を制限し、除草剤の散布、"自殺発芽"を誘導させるなどのいくつかの戦略を駆使して抑えられている。後者の場合は、まだ作物に植えられていない圃場において、土壌中に存在する種子はエチレンを注入することによって発芽を誘導させている。そして、宿主の根が存在しないので、ストライガは枯死して退治される。しかし、ストライガは、長年にわたり土壌中に休眠状態を維持できる小さな種子を数万個を生成する。したがって、このような治療法は、土壌から全ての種を取り除くことはない。さらに、この方法は費用が高いのでアフリカやアジアの発展途上国の多くの農家には一般的に利用できない。 自殺発芽を誘導する物質としてはこの他、日本の神戸大学の研究者らによるチームが人工ストリゴラクトン「T-010」を使った試験を2014年度にかけて実施して高い効果を確認したほか、名古屋大学の研究者らによるチームが発芽刺激活性を持つ物質「SPL7」の開発を2018年に発表した。 もう一つの方法は、おとり作物(trap crop)と呼ばれ、ストライガの種子が発芽させることを誘導するが、寄生させない植物をストライガに汚染された圃場に植える方法である。この方法は、モロコシ畑にケイトウを植えることで実践した。ヌスビトハギ属の一種(Desmodium uncinatum)を植えることで、ストライガの発芽を阻害し、トウモロコシと間作することで効果をあげることができた。綿、ヒマワリ、亜麻仁、ストライガに耐性を持つトウモロコシも有効なおとり作物である。 ストライガ対策として、土壌中の窒素レベルを増加させる、耐性品種の栽培、おとり作物の植え付け、ストライガに感染しやすい作物を植え、それが種子をつける前に刈り取ることがある。菌類や除草剤でコーティングされたトウモロコシ種子を使用する事も有望な手段である。 いくつかのモロコシの品種は地域の状況における耐性の高いレベルを持つ。キビの栽培品種のうち「Buruma」「Shibe」「Okoa」「Serere 17」はタンザニアで耐性があると考えられている。「Katumani」を含むいくつかのトウモロコシ品種は、ケニアでストライガに対し一部抵抗性があることが示された。ネリカ(NERICA (New Rice for Africa))を含む多数のイネの品種では、先天性あるいは後天性の抵抗メカニズムが同定されている。いくつかの作物の品種、特にトウモロコシにおいて、吸器が作物に付着したときストライガを枯らす除草剤に耐性がある。除草剤をコーティングしたトウモロコシ種子「Strigaway」は、2シーズンでストライガの種子を30%減少させることが示された。
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