シロバナエゾルリムラサキとは? わかりやすく解説

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ミヤマムラサキ

(シロバナエゾルリムラサキ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 01:10 UTC 版)

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ミヤマムラサキ
ミヤマムラサキ、聖岳長野県飯田市、2002年7月)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : 真正キク類I Euasterids I
: ムラサキ科 Boraginaceae
亜科 : ムラサキ亜科 Boraginoideae
: ミヤマムラサキ属 Eritrichium
: ミヤマムラサキ O. japonica
学名
Eritrichium nipponicum Makino)[1]
和名
ミヤマムラサキ
変種
  • var. albiflorum Koidz. f. albiflorum (Koidz.) シロバナエゾルリムラサキ[2]
  • var. albiflorum Koidz. f. yesoense H.Hara エゾルリムラサキ[3]

ミヤマムラサキ(深山紫、学名Eritrichium nipponicum Makino[1])は、ムラサキ科ミヤマムラサキ属に分類される小形[4]多年草の1[5][6][7][8][9][10][11]属名の「Eritrichium」は、ギリシャ語で軟毛と毛を意味し[8]種小名の「nipponicum」は日本本州を意味する[11]和名は、深山に生育し、薄青紫色の花を付けることに由来する[8]

特徴

高さ5-12 cm[6]は初め横に這い、中部から斜めに立ち上がる[11]。茎とに白い剛毛[6]が密生し[4]、長さはふぞろいですべて上向き[5]。太い地下茎の先に[10]根生葉は長さ1-6 cm、幅2-6 mmの線状披針形[6]ロゼット状で質がかたい[4]。茎葉は数個[5]、長さ1-2.5 cm[10]、幅3-5 mm、鈍頭、全縁、基部は鋭形で葉柄は無く、10個ほどが互生する[11]は薄青紫色で短く、数本の花茎を出し先端に複総状に次々に付け[4][6]小花柄は長さ7-12 mm[10][11]花冠直径8-10 mm、さら形で、深く5裂して平らに開き、裂片は広い楕円形で円頭、筒部は短く[11]、喉部に黄色の鱗片がある[6]。付属体は先がへこみ、下部で黄色く膨らむ[5]雄蕊は5個[11]、短く花筒の中にある[5]雌蕊は1個[11]片は緑色で深く5裂し、裂片は狭い楕円形、鈍頭で細かい毛が付き、は広い線形で長さ3-7 mm[11]。花期は7-8月[4][5][6][7][9][10][11]。花序や花柄は花が終わると伸びる[5]果実は長さ約1.5 mm[10]、4分果で[5]、斜めに果托に付き[11]、縁に1列のカギ状のとげがあり背面に細毛がある[9][10]

変種のエゾルリムラサキ(蝦夷瑠璃紫、学名:Eritrichium nipponicum Makino var. albiflorum Koidz. f. yesoense H.Hara[3])は、全体に大きく[6]、剛毛がはより太く長く[5]、さらに質がかたい[11]。ミヤマムラサキよりも花の色が濃い[5][7]。白色の花を付ける品種のシロバナエゾルリムラサキ(白花蝦夷瑠璃紫、学名:Eritrichium nipponicum Makino var. albiflorum Koidz. f. albiflorum (Koidz.)[2]がある[5][6]

分布と生育環境

日当たりのよい高山帯の岩場にホソバツメクサと共に生育するミヤマムラサキ

基本変種は日本の本州中部地方[6]谷川連峰戸隠山美ヶ原飛騨山脈北部[11]両白山地[12]赤石山脈)に分布する[5]基準標本は戸隠山のもの[5][6]。ミヤマムラサキ属はユーラシア大陸に約30種が分布しているが、日本には本種のみが分布する[5][10]

変種のエゾルリムラサキは、ロシアサハリンと日本の北海道(礼文島北見山地夕張山地日高山脈)、本州(秋田県[13])に分布する[5]。エゾルリムラサキの基準標本はアポイ岳のもの[5]

亜高山帯から高山帯にかけての日当たりのよい[9]岩場や砂礫地に生育する[5][7]白馬岳周辺では、主に蛇紋岩地に生育しているとする調査結果がある[14]チシマギキョウと同じ場所に生育することがある[4]

種の保全状況評価

日本では以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている。

  • 絶滅危惧IA類 - 山梨県では生育域が局在し個体数が少なく極稀れで、自然遷移による絶滅が危惧されている[15]
  • 絶滅危惧I類 - 石川県[12]福井県では1地区のみで生育が確認されている希少種[16]
  • 絶滅危惧IB類 - 群馬県[17]では5地点で分布が確認されていて分布域は局所的[18]
  • 地域個体群 - 新潟県[19]

変種のエゾルリムラサキが、環境省によるレッドリストで絶滅危惧IA類[20]、北海道では絶滅危惧種[21]、秋田県では絶滅危惧IA類の指定を受けている[13]

絶滅危惧IA類 (CR)環境省レッドリスト[20]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ミヤマムラサキ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2019年1月14日閲覧。
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “シロバナエゾルリムラサキ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2019年1月14日閲覧。
  3. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “エゾルリムラサキ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2019年1月14日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 林 (2009)、234頁
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 清水 (2014)、294-295頁
  6. ^ a b c d e f g h i j k 豊国 (1988)、195頁
  7. ^ a b c d 久保田 (2007)、81頁
  8. ^ a b c 牧野 (1982)、456頁
  9. ^ a b c d 小野 (1987)、177頁
  10. ^ a b c d e f g h 佐竹 (1981)、66頁
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m 前沢 (1970)、34-35頁
  12. ^ a b いしかわレッドデータブック植物編2010 (PDF)”. 石川県. pp. 129. 2019年1月14日閲覧。
  13. ^ a b 秋田県版レッドリスト2014(維管束植物) (PDF)”. 秋田県. pp. 3. 2019年1月15日閲覧。
  14. ^ 波多野 (2008)、203頁
  15. ^ 山梨県 レッドデータブックの2018改訂版 (PDF)”. 山梨県. pp. 44. 2019年1月14日閲覧。
  16. ^ 福井県の絶滅のおそれのある野生動植物2016 (PDF)”. 福井県. pp. 343. 2019年1月14日閲覧。
  17. ^ 群馬県レッドデータブック(2018年部分改訂全種リスト) (PDF)”. 群馬県立自然史博物館. pp. 7. 2019年1月14日閲覧。
  18. ^ 群馬県の絶滅のおそれがある野生生物・植物片編(2012年改訂版) (PDF)”. 群馬県. pp. 167. 2019年1月14日閲覧。
  19. ^ 新潟県第2次レッドリスト(維管束植物) カテゴリー順・分類群 (PDF)”. 新潟県. pp. 10. 2019年1月14日閲覧。
  20. ^ a b 環境省レッドリスト2017からの新旧対照表【⑨維管束植物】 (PDF)”. 環境省. pp. 6. 2019年1月15日閲覧。
  21. ^ 北海道の希少野生生物 北海道レッドデータブック・エゾルリムラサキ”. 北海道. 2019年1月15日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク




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