シューベルトの作曲
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「魔王 (ゲーテ)」の記事における「シューベルトの作曲」の解説
詳細は「魔王 (シューベルト)」を参照 シューベルトが1815年に作曲した『魔王』は、このゲーテの詩を歌詞にした1人の歌手とピアノのための歌曲である。シューベルトはこの曲を3回改稿し、第4版を1821年に『作品1番』として出版した。彼の死後は、オットー・エーリヒ・ドイチュの分類によりD.328の番号で識別されている。1820年12月1日にウィーンの私的な集会で初めて演奏された。一般への初演は1821年3月7日にウィーンのケルントナートーア劇場で行なわれた。 4人の登場人物、すなわち語り手、父親、息子、魔王は1人の歌手によって歌われるのが通常であるが、4人の歌手によって別々に歌われることもある。シューベルトは4人をそれぞれ異なる音域に配置し、それぞれに固有のリズムを持たせている。またそれぞれの人物に異なる声音を使おうとする歌手が多い。 語り手は中音域で短調を使う。 父親は低音域で長調と短調の両方を使う。 息子は高音域で、恐怖を表現するために短調を使う。 魔王の声は長調でアルペジオの伴奏に合わせて上下にうねり、鮮やかなコントラストを見せる。魔王のパートはピアニッシモと指示されており、子供を恐怖によって脅すよりも、むしろ誘惑するような効果を狙って作曲されている。子供は、その甘い誘惑の声に恐怖を募らせるのである。 『魔王』は恐怖を呼び起こす素早い音階の演奏と、馬の早駆けを模したオクターヴ奏法の3連符から始まる。後者のモチーフは作品全体を通して用いられる。息子の叫びは後になるほど高く、大きくなっていく。終わり間近では音楽が早まることで父親が馬を急がせることを表現する。目的地への到着とともに音楽はゆっくりとなり、ピアノは一旦止まる。「その腕の中で子は死んでいた」と歌われ、劇的な終止で結ばれる。 この作品は歌唱・演奏が極めて困難な曲として知られる。歌手は登場人物を演じ分けることを要求され、伴奏のピアニストは詩の劇的さと切迫性を表現するために、和音とオクターヴの素早い繰り返しを演奏する必要があるためである。
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