サウナ文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 02:45 UTC 版)
サウナはフィンランドで広く習慣とされている蒸し風呂である。バルト・フィン諸語やサーミ語の源流になる古フィンランド語でのサウナの語源は7000年前にさかのぼることができる。サウナは入浴目的で行われ、湿式、乾式を問わず、熱が肌の毛穴や汗腺を開かせ、徹底的に体をきれいにする。杉やカバの枝で体をたたくことで血液循環を促進させる。サウナは筋肉の痛みや炎症を鎮静させる。フィンランド人は昔から強い肉体労働による疲労からの回復にしばしばサウナを使っている。サウナ文化は言語能力を鎮静し、精神を落ち着け思考を整えると言われていた。しかし、実際にはこれらに対する特別な効能を持っているわけではなく、サウナに対する精神的な理由と考えられる。 サウナは部分的に地面に埋まった小さなログハウスのような構造になっている。「湿式サウナ」は工業化以前には風呂以外にも出産用の無菌環境を作ることや食肉の保存にも使われた。しかし、過去には継続的に暖められていたサウナであるが、現代では清潔に素早く熱く暖めることができるようになり、このような現代技術の恩恵によって風呂以外の利用の伝統は衰退した。フィンランドのサウナ温度は60度から100度に設定されており、少量の水を熱せられた岩の上に流し、これによって蒸気を得る。これが熱の感覚を生みだす。蒸気をほとんど使わない「乾式サウナ」をより好むフィンランド人も存在する。 伝統的サウナの作法にはサウナの中にいる時間以外にも、多少体を冷やす時間を含む。体を冷やすために湖で泳ぎ、さらにサウナに入って汗をかくことなどもある。よく似た蒸気風呂はヨーロッパの他所でも伝統として存在したが多くは消滅し、サウナはスウェーデン、ロシア、エストニアの一部で生き残った以外はフィンランドで最も保たれた。現在ではほとんどすべてのフィンランドの家屋にはサウナが設けてあり、一つならず存在する家もある。また、マンションやアパートなどの共同住宅にも存在しており、時間交代制になっている。公的サウナは以前一般的であったが、サウナが個人の家、市民水泳場、ホテル、会社の本部、ジムなどあらゆる場所に建てられるようになり、公的サウナの伝統は衰退している。
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