ゴルフ以外のスポーツでのイップス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 18:46 UTC 版)
「イップス」の記事における「ゴルフ以外のスポーツでのイップス」の解説
イップスはゴルフに限らずあらゆるスポーツで見られるが、例えばテニスやオージーフットボール、クリケット、野球、サッカー、卓球などが挙げられる。アルゼンチンのテニスプレイヤー、ギエルモ・コリアは、世界ランク3位に位置していながらサービスのイップスに苦しんでいた。オーストラリアン・フットボールリーグ、セント・キルダのニック・リーウォルドもキックのイップスにかかった。クリケットでは、キース・メドリコットなどイップスにかかった複数の投手が、投球動作を終える前にボールを手放してしまう症状を抱えていた。 また、野球では投手、捕手、内野手に見られ(外野手もかからないわけではない)、特に投手と内野手には正確なボールコントロールが求められるため、死球や暴投などのトラウマからイップスに陥る場合が多いとされている。イップスが原因でコンバートされる選手も少なくない。イップスが原因で守備コンバートを余儀なくされた選手に田口壮、三浦貴、土橋勝征などがいるが、荒木雅博や岩本勉のように克服する例や、田口や土橋のようにコンバート後に開花する例もある。捕手は投手への返球でイップスになる例が多く、阿部慎之助や相川亮二が現役中に一時、返球イップスに陥った経験を明かしている。 大リーグでも、チャック・ノブロック(二塁手であったが悪送球癖が出て、左翼手に転向し2年で引退)、リック・アンキール(投手だが暴投癖をもってしまいマイナーで打者に転向、後にメジャー再昇格してレギュラーに)、スティーブ・サックス(二塁手、克服)のような例がある。大リーグでは投手がイップスにかかることを、1970年代にピッツバーグ・パイレーツのエースとして活躍したものの突如極度の制球難に苦しみ引退を余儀なくされたスティーブ・ブラスにちなみ、スティーブ・ブラス病と呼ぶこともある。 ダーツでもイップスと同様の症状が知られており、「ダータイティス(英語版)」と呼ばれる。 弓道、アーチェリーでは矢を発射する位置まで弓を引いたら無意識のうちにすぐに弦を離して矢を放ってしまう(本来は数秒間の「伸び」と呼ばれる動作によって、狙いと体勢を安定させてから弦を離す)症状があり、ともに「早気(はやけ)」と呼ばれる。逆に、弓を引いてそのまま弦を離せなくなる(矢を放つタイミングを失う)症状も、少なくとも弓道においてはよく知られており、「もたれ」と呼ばれる。 卓球では坂本竜介がこれに陥ってサーブが全く打てなくなり、引退に追い込まれた。 ボウリングでは、プロボウラー・長谷川真実がイップスにかかっていることを告白し、何度も投げ直しをする場面がテレビ番組ボウリング革命 P★Leagueでみられた。 イップスの症状は、理髪店などのカットハウスでハサミが使えない、鉛筆で字が書けない、演奏家が楽器を弾けない、トリマーの仕事などスポーツ以外にも見られ、人間の普遍的な動作現象である。これらは広義にジストニアと呼ばれるが、『イップス 魔病を克服したアスリートたち』によれば、症状はイップスと同じである。
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