コロンブスは「アメリカを発見した」のか?
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 19:53 UTC 版)
「クリストファー・コロンブス」の記事における「コロンブスは「アメリカを発見した」のか?」の解説
「コロンブスがアメリカを発見した」という「功績」については、現代の多文化主義論者たちは、「“発見”などしていない」との見解で一致している。 歴史家のフランシス・ジェニングス(英語版)は、「ヨーロッパ白人は処女地に植民したのではない。彼らは先住民族を侵略して、入れ替わったのだ」と述べ、インディアン活動家のマイク・アンダーソンは「コロンブスの上陸の前に、そこには文化があった。そして人々がいた。そしてそこには政府があった」としている。カークパトリック・セールは「我々は“発見”などというイベントはなかったと断言することができる」と主張、小説家のホメロ・アジリス(英語版)はインディアンと白人が「互いに相手を“発見した”のだ」としている。また、ゲイリー・ウィルズ(英語版)やゲイリー・ナッシュ、ロナルド・タカキといった歴史家たちは、「“発見”ではなく、“遭遇”である」との主張で一致している。またレシェク・コワコフスキはこの「遭遇」という言葉に対して、「探検への衝動は、世界の文明の中で決して均一に割り当てられたものではなかった」として、コロンブスがアメリカに到達し、インディアンがヨーロッパに到達しなかったことは、インディアンと白人が「同一水準で文明的な接触をする」という条件面での違いを隠すものだとしている。 しかしながら、ヘルゲ・イングスタッド(英語版)とアン・スタイン・イングスタッド(英語版)の夫妻が、ニューファンドランド島のランス・オ・メドーでコロンブスが北米に上陸する以前の年代にヴァイキングが持ち込んだとされる鉄釘を発見した。これによりコロンブスが「西洋人として初めて」「新大陸を発見した」という説は覆った。現在ではヴァイキングがアメリカ大陸に到達し、その地をヴィンランドと呼んでいた事実は定説となっている。また、古代ポリネシア人もおそらく南米に到達し、コロンブス交換以前にサツマイモのような南米の作物を旧世界に持ち込んでいた。後世のコロンブスの発見に比べれば交流は限定的であるが、少なくともアメリカ大陸以外の住人がアメリカ大陸に来訪したのは、コロンブスが最初ではないのは事実である。さらに言えば、エスキモーと呼ばれる北極圏の先住民族グループの分布は、ベーリング海峡や北極海を越えてユーラシア大陸・アメリカ大陸にまたがっており、アメリカ大陸が他とは隔絶した地域だという認識そのものが疑問視される。
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