グレアの生じる状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 03:39 UTC 版)
グレアを生じる要素として、主たる光源自体の輝度、光源と背景の輝度差、光源と視線の近さ、視野中に占める光源の立体角がある。下図の例では、上段のような状況は下段のような状況に比べてグレアの程度が大きくなる。 背景と光源の輝度の対比が大きいほどグレアの程度が大きくなる。暗い部屋に小さな点光源を置いた場合などがこれにあたる。 光源自体の輝度が高いほうがグレアの程度が大きくなる。 光源が視線に近いほどグレアの程度が大きくなる。光源の方向を注視した場合、大きな不快感を生じる。 具体的には、以下のような状況で極端なグレアが発生する。 ディスプレイの反射 テレビやコンピュータの画面は間接グレア・直接グレアの両方を生じる要因となる。特にCRTの表面のガラスは単純な反射を起こしやすく、蛍光灯の光の映りこみが直接作業者の目に入り間接グレアを生じる。また、ディスプレイ自体の輝度が高すぎる場合や、暗い室内で利用した場合に、背景とディスプレイの輝度差が大きくなり、直接グレアが発生する。適切な対策をとらずに長時間コンピュータやテレビを利用することにより眼の疲労や視力の低下をきたすというケースも少なくない。 自動車のヘッドランプ 夜間に自動車のヘッドランプを直接向けられた場合、瞬間的に不能グレアが生じる。特に暗闇を長時間歩いて目が暗順応している場合にはこれが起こりやすい。照射角が広いフォグランプの急な点灯も、対向車の運転者や歩行者にグレアを起こさせ、危険である。対向車や歩行者が周辺環境を把握できなくなり、交通事故につながる危険性もある。その光の周りに円状に見える光を暈(ハロー)といい、対向車の強い光源の近くにある物体が消えてしまったかのように見えなくなることを蒸発現象と呼ぶ。 夜間のスポーツ照明 夜間のスタジアムでは、限られた台数と位置から照明効果を得るため、高輝度の照明が用いられる。暗い環境をバックにしてこの照明を注視したとき、直接グレアが生じやすい。観客への不快感のみならず、プレイヤーの能力低下、周辺道路の交通の妨げともなる場合があるので、設置位置や角度、照明器具の種類に注意を払った設計が必要である。 また、このような外的要因以外に、光を受ける側の目の状態によってもグレアは発生する。一般に、瞳孔が拡大した状態や、暗い場所で目が暗順応した状態では、光の刺激を大きく受けるため、不快感を持ちやすくなる。また、LASEKやLASIKなどの視力回復手術の後には、通常ならば不快とならないような光環境下でグレアが発生する。高齢者は一般的にグレアを生じやすく、さらに不能グレアからの回復にも時間がかかるが、これは水晶体の濁りによって光の散乱が起こるためである。これは、白内障の一般的な症状でもある。
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