ク9100形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/22 09:13 UTC 版)
「国鉄ク5000形貨車」の記事における「ク9100形」の解説
ク5000形による自動車輸送が急速に立ち上がり始めた昭和40年代初期に、実際の搭載荷重の低い自動車輸送はボギー車を使用しなくても輸送可能ではないかということから試作されたのがク9100形である。1967年3月に日立製作所で1両が製造された。 この車両は極めて特殊なもので、三軸車でありしかも車体が中央部分で分割された連接車であった。連接三軸車は、日本の貨車ではこの形式が唯一である。しかしこの形態の車運車は、ヨーロッパでは極めて一般的なものである。 全長21,840 mm、全幅2,920 mm、全高3,099 mmで自重は18.5 t、荷重は12 tでKC 制御弁の自動空気ブレーキと手ブレーキを備えていた。走り装置は2段リンク式であるが、通常とはばねの反りが逆向きになった特殊なものであった。また背の高い車を載せる都合上通常より小さな半径790 mmの車輪を装備していた。三軸車のため中間車軸の案内装置が組み込まれている。この走り装置でク5000形と同様に85 km/h運転を行うことが計画されていた。 三軸連接構造を利用して車体長が長くなったため、シム10000形で計画されたように1200cc - 1500cc級の自動車の積載数が10台に戻った。1段に5台の自動車を搭載すると、中央の自動車は連接部分にかかってしまい、カーブ走行中に車体がこの部分で屈折することに対応する必要がある。このことから中間部には中間荷台が設けられていた。これ以外の仕様は、タイヤガイド、緊締金具、渡り板、シート格納箱などほぼク5000形に準じている。 1967年5月17日にカーブの多い中央西線で空車時と自動車10台積載時の両方での走行実験が行われた。しかし結局実用化は行われず、ヨンサントオ(昭和43年10月ダイヤ改正)に伴う65 km/h制限を示す「ロ指定」を受けて、西名古屋港駅で放置された。1976年度に廃車されたが、実際に解体されたのは1983年2月である。
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