JR貨物クキ900形貨車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/26 03:25 UTC 版)
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JR貨物クキ900形貨車 | |
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基本情報 | |
車種 | 車運車 |
運用者 | 日本貨物鉄道(JR貨物) |
所有者 | 日本貨物鉄道(JR貨物) |
種車 | コキ1000形 |
改造所 | 日本車輌製造 |
改造年 | 1989年(平成元年) |
改造数 | 1両 |
消滅 | 2000年(平成12年) |
主要諸元 | |
車体色 | コンテナブルー |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 16,320 mm |
全幅 | 2,692 mm |
全高 | 1,202 mm |
荷重 | 27.0 t |
自重 | 20.0 t |
換算両数 積車 | 4.5 |
換算両数 空車 | 2.0 |
台車 | TR215F |
台車中心間距離 | 11,100 mm |
最高速度 | 85 km/h |
JR貨物クキ900形貨車(JRかもつクキ900がたかしゃ)は、1989年(平成元年)5月30日にコキ1000形コンテナ車からの改造により日本車輌製造で1両が試作された、日本貨物鉄道(JR貨物)のタンクローリーピギーバック輸送用車運車である。
背景
1985年(昭和60年)に名古屋臨海鉄道内に、日本国有鉄道(国鉄)、石油会社、日本車輌などが参加して、タンクローリーのピギーバック輸送に関する研究会が発足した。検討の結果、道路輸送に対して鉄道輸送のコスト的なメリットが判明したことから、まずチキ6000形の改造により実験が行われた。
チキ6000形の改造は、チキ6358、チキ6316の2両に対して1987年(昭和62年)にJR貨物名古屋工場と日本車輌で実施された。20 キロリットルセミトレーラータンクローリーを1両に1台搭載するもので、簡単なタイヤ部分の緊締装置とキングピンの固定装置が設置されている。1987年(昭和62年)7月10日に名古屋臨海鉄道南港線名古屋南港 - 東港間で、空車のタンクローリーとガソリン満載を想定した水16 キロリットル入りのタンクローリーをそれぞれ1台ずつ搭載した状態で打ち当て試験と走行試験を行い、基本的な問題がないことが確認された。
この実験を受けて、実際に本線を走行する試験を実施するためにコキ1000形の改造で製作されたのがクキ900形である。
構造
クキ900形は、全長16,320mm、全幅2,692mm、全高1,202mm、自重20t、荷重27tでTR215F形台車を装備し、ASD方式空気ブレーキ装置と留置ブレーキを備えている。車体は基本的にコキ1000形のままで、コンテナ用の緊締装置を撤去してタンクローリーのタイヤガイドとタイヤの緊締装置を設置している。塗装は車体がコンテナブルー、台車が灰色1号で、製造された1両はクキ900-1の番号が与えられた。
荷役はランプウェイから自走して貨車上に乗り込み、積み降ろす仕様である。トレーラーヘッド付きのトレーラーを1台搭載することができる。この当時の消防法では、石油を搭載した状態のトレーラーからヘッドを切り離すことが禁止されていたため、ヘッドごと搭載する仕様になっている。後に消防法の規制は鉄道輸送時に限って緩和された。
試験
1988年(平成元年)7月26日、27日の両日、東室蘭 - 北見間で輸送試験が行われた。ガソリンと灯油を10 キロリットルずつ、合計20 キロリットル積載した状態のタンクローリーを搭載して85 km/hで走行し、特に問題はなかった。この結果を受けてクキ1000形が開発されて、タンクローリーピギーバックの実用化が進められることになった。
廃車
試験後、クキ900は長らく放置されていたが、2000年(平成12年)に廃車となった。しかし2013年(平成25年)現在でも解体されずにJR貨物鷲別機関区輪西派出で残存しているのが確認されている。
参考文献
- 渡辺 一策『RM LIBRARY 84 車を運ぶ貨車(下)』(初版)ネコパブリッシング、2006年。ISBN 4-7770-5173-0。
関連項目
外部リンク
固有名詞の分類
日本貨物鉄道の貨車 |
国鉄ヒ300形貨車 国鉄トラ45000形貨車 JR貨物クキ900形貨車 JR貨物チキ100形貨車 JR貨物クム1000系貨車 |
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