クロソイド曲線
物理光学における回折現象を表現するために、コルニュが考案した曲線。一定車速で走行中のクルマのハンドルを、一定の速さで切り込んでいくとき、このクルマが描く軌跡がこの曲線に近似する。これは、直進から旋回に移るときの自然な操舵であり、滑らかなハンドル操作と旋回部への移行が可能になるため、高速道路のコーナー進入部に緩和曲線として広く用いられている。ただし、曲率半径でみると、直進部と旋回部のつなぎは滑らかではなく完全な緩和とはいえない。また、旋回時の厳しい旋回条件を設定しやすく、耐転覆性などを評価するための、走行安定性評価用の試験コースとしても使われる。
クロソイド曲線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/03 03:21 UTC 版)
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クロソイド曲線が日本の道路に本格的に採用され始めたのは、フリッツ・トートが監督したアウトバーンの建設に従事していた経歴を持ち、世界銀行の提案が発端となって名神高速道路建設の技術顧問として来日滞在したフランツ・クサーヴァー・ドルシュによる平面線形の主要線形要素における採用が契機である[7][8]。その後は、同曲線は、道路のみならず、曲率半径の小さい地下鉄等に用いられている。なお、在来線には3次放物線が、新幹線には半波長正弦逓減曲線が、それぞれ用いられている[1]。
クロソイド曲線は、設計やシミュレーションの段階から電子計算を活用して、多用されている。
スプライン系の曲線と比較するとデータ点数と変数が大幅に少ないので、電子媒体の使用容量の増加を防いでコンピューターネットワークの負荷を大きく減少させる利点もあって、ADAS(先進運転システム)の高度化と車両の超短期開発の最前線で、各種アクティブ制御等高度化の基本関数となっている。同時に、道路のアップダウン情報の縦断勾配(設計値は放物線軌道の数式を採る)や横断勾配(カント)の摺り付け・拡幅量の摺り付け・路面凹凸三次元座標・凍結等路面状況と風速等の気象環境・渋滞状況の報知・予測データを使用した
実際に、コニーアイランドにあった遊園地『シーライオンパーク』に建設された、世界で初めて垂直ループを備えたローラーコースター『フリップフラップ』では正円型のそれが採用されていた。そして、それに乗車した人が鞭打ち損傷を負った[11][12]。その後1970年代にはアントン・シュワルツコフがクロソイド曲線とパイプ型レールを合わせた近代的な垂直ループ式のローラーコースターを開発し[13]、「レボリューション」としてアメリカに初導入された[14]。
機械
機械系への応用でも、このクロソイド曲線の優れた幾何学的特性をタービンブレードやカムの補間曲線に利用しようとする研究がある[15]。
脚注
- ^ a b c d 松本英敏. “クロソイド曲線” (PDF). 国土交通省. pp. 2,5. 2017年1月1日閲覧。
- ^ Clothoid National Aeronautics and Space Administration
- ^ a b c 福田正, 遠藤孝夫, 武山泰, 堀井雅史, 村井貞規『交通工学』(第3版)朝倉書店、2011年、84-86頁。ISBN 9784254261585。 NCID BB05443509。全国書誌番号: 21916269 。
- ^ 『道路の日本史 古代駅路から高速道路へ』中央公論新社〈中公新書〉、2015年5月25日。ASIN 4121023218。 ISBN 9784121023216 。
- ^ “国道17号・三国防災”. 国土交通省. 2011年11月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月9日閲覧。
- ^ a b “「国道の維持管理」について(沼田維持修繕出張所編)”. 国土交通省. 2006年3月7日閲覧。
- ^ 橋本政子, 齋藤潮「名神・東名高速道路におけるドイツ人技師ドルシュの設計思想に関する研究」(PDF)『景観・デザイン研究論文集』第8号、土木学会、2010年、41-49頁、 ISSN 18816045、 NAID 40017398472。
- ^ 名神高速道路建設誌編纂委員会 編『名神高速道路建設誌 各論』 a、日本道路公団、1966年。 ISBN 9784121023216。
- ^ ステファン・ベクトルシャイム・ダン・ラリー・アンドレアス・ヘクト・マティア・シュミット・ジェリー・フェイゲン・ミケーレ・ローザー. “Method and system for providing an electronic horizon in an advanced driver assistance system architecture” ( ). ナビゲーション·テクノロジーズ. 2004年5月11日閲覧。
- ^ 山本忠・田村覚. “運転支援システム、運転支援方法及び運転支援プログラム”. 三英技研. 2003年11月28日閲覧。
- ^ Bennett, David (1 September 1998). Roller Coaster: Wooden and Steel Coasters, Twisters, and Corkscrews (英語). hartwell Books. ISBN 9780785808855.
- ^
Editors of Mental Floss (1 November 2005). mental floss presents Instant Knowledge (英語). HarperCollins Publishers. ASIN B000FCKH8I. ISBN 9780060784751.
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: CS1メンテナンス: ドメインが未指定のASIN (カテゴリ) CS1メンテナンス: 数字を含む名前/author (カテゴリ) - ^ 宙返りコースター バイエルン製スリル製造機 - リーダーズ・ダイジェスト1981年12月号(日本リーダーズダイジェスト社)
- ^ roller coaster Introduction of steel coasters - Britannica
- ^ 黒田満、斉藤剛、渡辺由美子、東正毅「曲率が弧長の区分2次関数となるG3補間曲線」『情報処理学会論文誌』第38巻第3号、情報処理学会、1997年3月、555-562頁、 ISSN 1882-7764、 NAID 110002721508。
関連項目
外部リンク
- 『クロソイド曲線の性質とその証明』 - 高校数学の美しい物語
- クロソイドの雑学
- クロソイドの設計と作図
- HERE Electronic Horizon
- SANEI Virtual Orbit (仮想軌道) - ウェイバックマシン(2014年1月5日アーカイブ分)
- 乗用車、商用車(四輪車)の車両運動シミュレーションソフトウエア:CarSim
- veDYNA: Real-Time Simulation of Vehicle Dynamics
- Simulink - Simulation and Model-Based Design
- VT2000 (モデル構築ツール)
- Adams
- AVL InMotion Real-Life Simulation
クロソイド曲線と同じ種類の言葉
- クロソイド曲線のページへのリンク