緩和曲線
高速道路や高速テストコースなどで、直線部と旋回部を滑らかにつなぐために設ける曲線をいう。旋回部に進入するときのハンドル操作や、そのときに生じる車体の上下動、ローリングやヨーイングの変化を滑らかにして、ドライバーの負担を軽減しクルマの不安定な挙動を低減する効果がある。おもな緩和曲線としては滑らかな進路の変化に重点をおいたクロソイド曲線とレムニスケート曲線、直進の平坦部から旋回のパンクに移行するときに生じる、ローリングの不連続感を人間が感じる限界値以下にすることに重点をおいたマコンネル曲線がある。
参照 クロソイド曲線、マコンネル曲線、レムニスケート曲線緩和曲線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 18:33 UTC 版)
前述のとおり、平面線形の基本とは直線と円弧曲線であり、円弧曲線はその曲線区間で曲率半径(曲率)が一定となっている。しかし、直線区間から曲線区間へ直接移行すると、走行する車両が急激なハンドル操作を要求されたり、突然大きな遠心力が作用するなど、乗り心地や安全性に悪影響を与える。とりわけ曲率半径の小さな急曲線への突然の移行は影響が大きい。 そこで、直線(曲率半径R=∞ / 曲率k=0)から所定の円弧曲線の曲率へ徐々に変化する曲線を挿入することがあり、これを緩和曲線と呼ぶ。緩和曲線は、運転操作や乗り心地を改善するほか、後述の片勾配・カントをなめらかに変化させること(カントの逓減)ができる。また、直線と曲線のみならず、曲率半径の異なる円弧曲線同士を接続するときにも緩和曲線が挿入される。また鉄道では、円弧曲線部分がなく緩和曲線部分だけで構成される全緩和曲線が使われることもある。 道路の場合は曲率の逓減を一定にするが、鉄道の場合は直線的に逓減する直線逓減と曲線的に逓減する曲線逓減がある。直線逓減の場合は緩和曲線の始点や終点で曲率が微分不可能になるが、曲線逓減の場合は緩和曲線の始点や終点が微分可能になるため高速鉄道(新幹線など)で使われる。 一般に緩和曲線としては以下の曲線が用いられる。 クロソイド曲線 直線逓減(完全な直線)曲率が一定の比率で変化する曲線である。 一定の速度での走行中に、一定の速度でハンドルを操作したときの軌跡に相当する。 道路の緩和曲線として用いられる。 鉄道の場合は保守のための計算が比較的大変なので省力化軌道の場合に採用されることが多い。 3次曲線(3次放物線) 直線逓減(完全な直線ではない)鉄道で用いられる緩和曲線。保守のための計算がクロソイド曲線より容易なため、バラスト軌道ではこちらが採用されることが多い。 サイン半波長逓減曲線 曲線逓減鉄道で用いられるもので、日本では新幹線の内120 km/h以上で走行する区間などに用いられている。 マッコーネル曲線自転車競技場で用いられている。 ロール軸の角躍度を最小化する。
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