クラヴィーアとヴァイオリンのためのソナタ第6番 ト長調とは? わかりやすく解説

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バッハ:クラヴィーアとヴァイオリンのためのソナタ第6番 ト長調

英語表記/番号出版情報
バッハ:クラヴィーアとヴァイオリンのためのソナタ第6番 ト長調6 Sonaten für Klavier und Violine Nr.6 G-Dur BWV 1019作曲年: 1724-1727年 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 アレグロ ト長調 Allegro G-Dur, 4/4No Data No Image
2 ラルゴ ホ短調 Largo e-Moll/ 3/4No Data No Image
3 アレグロ ホ短調 (クラヴィーア独奏) Allegro e-Moll 4/4No Data No Image
4 アダージョ ロ短調 Adagio b-Moll 4/4No Data No Image
5 アレグロ ト長調 Allegro G-Dur 6/8No Data No Image

作品解説

2008年4月 執筆者: 朝山 奈津子

 現存する最古かつ最重要資料(J. H. バッハによる筆写パート譜、1724-27年頃作成)には、イタリア語で『協奏チェンバロとヴァイオリン・ソロのための6つのソナタヴィオラ・ダ・ガンバ低音部付』と題されている。ここに収められ6つ作品作曲時期が必ずしも同時ではなく、主にケーテン時代としても、古いものではヴァイマル時代遡り(第2および6番)、またライプツィヒで一旦まとめられたのちにも1740年代半ばまで改訂続けられたことが判っている。しかし形式様式の上では一貫性がある。すなわち、少なくとも第1番から5番までは緩-急緩-急の4楽章による教会ソナタ形式を持つ。また、全6曲を通じてチェンバロヴァイオリン和声的伴奏ではなく、その左右の手それぞれ独立した声部となり、対位法的に展開するタイトルの「協奏チェンバロ」とはつまり、通奏低音的ではない、という意味である。ヴィオラ・ダ・ガンバはおそらくチェンバロ左手なぞって演奏した考えられるこうした書法が特に顕著ないくつかの楽章については、何らかのトリオ・ソナタ編曲とみる説もある。
 このなかで第6番だけは他の5曲とは異なった楽章構成をなす。急-緩-急緩-急の5楽章のうち、第2-3楽章と第4-5楽章の間は完全終止置かず、副縦線のみで緩やかに繋がっている。従って第3楽章仲介として、第1-3楽章第3-5楽章2つまとまり接合されているとみることができる。
 第1楽章明朗闊達トリオ・ソナタである。音階による走句や分散和音の摸続進行など、イタリア風の常套句散りばめられており、つねにどこからか聞こえてくる8分音符推進力によって、きわめて躍動感のある冒頭楽章となっている。
 第2楽章は平行短調雰囲気一転するヴァイオリンチェンバロ高声部の愁い満ちた対話で始まるが、後半それまで淡々と歩み進めていたチェンバロ低声部が対話加わり三者対位法的に絡み合う最後は半終止のまま、対話結末保留される。
 第3楽章はこれを受けてホ短調主和音開始するが、チェンバロ独奏となる。おおむね2声だが、一時的に3声となって上2声が対話する部分が多い。形式の上では3部分に分かれ反復記号のあとを平行長調で開始するが、ここは2声部維持され対話よりも走句と8分音符による和声土台にほぼ役割分担して進む。やがて冒頭主題回帰し、再び上2声の対話が始まる。このように見ると、第3楽章全体はのちの(狭義での)ソナタ形式そのものである。
 第4楽章ではヴァイオリン戻ってくる。細かなリズム変奏さまざまな音価でのシンコペーションが3声部組み合わされ半音階進行溜息動機加えて落ち着くところのない不安と嘆き雰囲気表現されている。終結部では調的な目標ぼかされたまま、さりげなく d-fis の長三和音、すなわちト短調属和音上に半終止する。
 終楽章軽快ジーグで、冒頭楽章躍動感戻ってくる。組曲終楽章場合同様に全体対位法的に展開する。が、舞曲とは異なり3部分から成り第3セクション冒頭セクションのほぼ完全な再現、すなわちダ・カーポ形式のような形式である。ジーグリズムを持つ主題全編わたって聞こえてくるが、中間部では特に断片的にのみ提示され完全な解決見ない。そのため、第3セクション主題回帰喜び満ちた効果的なものになる
 なお、第6番作曲期間が最も長くヴァイマル時代からライプツィヒでの最終稿までに2回の大幅な改訂が行なわれた。特に第2稿追加され第3稿削除され2つ楽章は、『クラヴィーア練習曲集第1巻』、いわゆるパルティータ》の第6番第3および6楽章に姿を変えて用いられた。


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