教会ソナタとは? わかりやすく解説

教会ソナタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/19 01:51 UTC 版)

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教会ソナタ(きょうかいソナタ、イタリア語: sonata da chiesa ソナタ・ダ・キエーザ)とは、17世紀から18世紀にかけてのソナタの分類で、舞曲を中心とした室内ソナタ(ソナタ・ダ・カメラ)に対してより真面目な内容のものをいう。

名称から誤解されやすいが、教会ソナタといっても教会で演奏されるために作曲されたものではないし、逆に教会ソナタと呼ばれない作品も教会で演奏されることがあった。また、17世紀末まで「教会ソナタ」という語が使われることはめったになく[1][2][3]、普通は単に「ソナタ」と呼ばれていた。

概要

17世紀のカトリック教会ではミサグラドゥアーレコンムニオ英語版晩課アンティフォナなどのかわりにソナタが演奏されることがあった[2]

教会での演奏に向かない世俗的な舞曲集が「室内ソナタ」と呼ばれたのに対し、そうでないソナタを(当時そう呼ばれることは少なかったにもかかわらず)便宜上「教会ソナタ」と称する。教会ソナタは室内ソナタよりまじめな音楽で、フーガ対位法的な音楽が多く使われた。舞曲を含むこともあったが少なめだった[2]

教会で演奏されるかどうかにかかわらず、通奏低音としてはオルガンが使われるのがもっとも普通であり、それと独立した旋律的な低音楽器のパートが存在した。これに対して室内ソナタでは伴奏なしか、あるいはチェンバロまたはヴィオローネのような1楽器のみが使われた[1][3][4]

当初ソナタの形式は多様だったが、アルカンジェロ・コレッリが教会ソナタに緩-急-緩-急の4楽章形式を採用するようになり、これが他の作曲家にも模倣されて、1700年以降に標準化された。ただしコレッリ本人は「教会ソナタ」という語を使っておらず、演奏会で演奏するために書かれたと考えられている。コレッリはまた室内ソナタの舞曲の配列順序についても標準を提供した[1]

有名なものにコレッリの作品1と作品3のトリオ・ソナタ、および作品5のヴァイオリン・ソナタの前半6曲があるが、このうち緩-急-緩-急の4楽章形式のものは約半分である。第1楽章は遅い導入曲、第2楽章は快速なフーガ、第3楽章は叙情的な緩徐楽章、第4楽章は模倣的(対位法的)な快速な楽章になる[4]。ただし作品5では1楽章追加されて5楽章になっている[3]

後世、この緩-急-緩-急の楽章配列を指して「教会ソナタ的」と呼ぶことが多い。

しかし、教会ソナタの中に舞曲がはいりこんだり、フーガが二部形式に置きかえられるなどして、教会ソナタと室内ソナタの区別はすでにコレッリの生前に消滅しつつあった[4]

脚注

  1. ^ a b c Alison Latham, ed (2002). “Sonata”. The Oxford Companion to Music. Oxford University Press. pp. 1173-1178. ISBN 0198662122 
  2. ^ a b c Don Michael Randel, ed (1986). “Sonata da chiesa”. The New Harvard Dictionary of Music. Harvard University Press. pp. 763-764. ISBN 0674615255 
  3. ^ a b c 大崎滋生『音楽演奏の社会史』東京書籍、1993年、25-27頁。 ISBN 4487791049
  4. ^ a b c “Sonata da chiesa”. The New Grove Dictionary of Music and Musicians. 23 (2nd ed.). Macmillan Publishers. (2001). p. 687. ISBN 1561592390 

関連項目


教会ソナタ

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モーツァルトの楽曲一覧」の記事における「教会ソナタ」の解説

詳しくen:Church Sonatas (Mozart)を参照 教会ソナタ第1番 変ホ長調 K. 67(K6. 41h) (1767) 教会ソナタ第2番 変ロ長調 K. 68(K6. 41i) (1767) 教会ソナタ第3番 ニ長調 K. 69(K6. 41k) (1767) 教会ソナタ ニ長調 K. 124A(Anh. 65a) (1772 断片) 教会ソナタ K. 124c(Anh.C 16.01) (偽作断片) 教会ソナタ第4番 ニ長調 K. 144(K6. 124a) (1772) 教会ソナタ第5番 ヘ長調 K. 145(K6. 124b) (1772) 教会ソナタ第6番 変ロ長調 K. 212 (1775) 教会ソナタ第7番 ヘ長調 K. 224(K6. 241a) (1776) 教会ソナタ第8番 イ長調 K. 225(K6. 241b) (1776) 教会ソナタ第9番 ト長調 K. 241 (1776) 教会ソナタ第10番 ヘ長調 K. 244 (1776) 教会ソナタ第11番 ニ長調 K. 245 (1776) 教会ソナタ第12番 ハ長調 K. 263 (1776) 教会ソナタ第13番 ト長調 K. 274(K6. 271d) (1777) 教会ソナタ第14番 ハ長調 K. 278(K6. 271e) (1777) 教会ソナタ第15番 ハ長調 K. 328(K6. 317c) (1779) 教会ソナタ第16番 ハ長調 K. 329(K6. 317a) (1779) 教会ソナタ第17番 ハ長調 K. 336(K6. 336d) (1780)

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教会コント

教会コーブルクの中心部のもう一つの記念碑的建築物は、1320年から1586年にかけて建設されたモーリッツ教会である。この教会はバイエルン福音ルター派教会に属する主要教会である。教会の最も古い部分である東の内陣は、1330年のものである。2つのユニークな塔を持つ西側部分は、1420年頃に建てられた。そしてさらに100年後に、教会堂の本体にあたる身廊の建立が実現した。1530年の復活祭週間にはマルティン・ルターがこの教会で説教を行っている。カトリックの都市教区教会である聖アウグスティン教会は、公立劇場の裏手にある。侯爵の墓を持つネオ・ゴシック様式の教会である。この建物は、ヴィンチェンツ・フィッシャー=ビルンバウムの設計により、1855年から1860年に建造された。旧市街にはこの他に、ウンテレン・アンラーゲにザルヴァトール教会がある。この教会は、1494年に建設されたサルヴァトール墓地に隣接して建てられた、福音派・ルター派の墓地教会である。一つのホールに3つの内陣を持つこの教会は、1660年から1662年に建造された。旧市街地域では他に聖ニコラウス礼拝堂も紹介する価値がある。この礼拝堂は、1473年にハンセン病患者の治療礼拝堂として建造され、現在は市の所有物となっている。1529年からは福音派の礼拝堂、1806年からはカトリックの礼拝堂、1873年から1932年の間はユダヤ教のシナゴーグとなった。この教会はおそらく、シナゴーグに改装されたドイツ唯一の教会であろうと推測される。ユダヤ人のコミュニティは1932年の終わりに、所有者である市に対して利用権の解約を申し入れた。1946年からは自由教会派の礼拝堂、そして1962年からは古カトリック派の礼拝堂と曲折をたどった。かつての市域の北側にあたるイッツ川沿いに聖十字架教会がある。福音派・ルター派の教区教会で、ゴシック様式の内陣は1401年から1407年に、長堂は1413年に作られた。1735年から1739年にバロック様式の内装を持つホール式教会に改装された。化粧漆喰の天井やオルガンの前面パイプはこの時に作られたものである。市内中心部のその他の建築物

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