ガルバーニ‐でんち【ガルバーニ電池】
ガルバニ電池
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/31 01:57 UTC 版)
ガルバニ電池(ガルバニでんち、英: galvanic cell)とは、異種の電気伝導体の相が直列につながっていて、そのうち少なくとも1つがイオン伝導体の相であり、かつ両端の相が同じ化学的組成の電子伝導体である電気化学的な系である[1]。ガルバニ電池のうち、一般的に、化学エネルギーから電気エネルギーへの変換を目的とするものは化学電池または電池と呼ばれ、電気エネルギーから化学エネルギーへの変換を目的とするものは電解槽と呼ばれる。(注:化学電池についてのみを「ガルバニ電池」とする流儀もある[2]。)
「ガルバニ」という名前は生体由来の電気の発生メカニズムを着想したルイージ・ガルヴァーニに由来し、古くは化学生成由来の電気を「ガルヴァニズム」(galvanism)と呼んだ。しかし、原理を解明し、ガルバニ電池を直接発明したのはガルヴァーニの説を否定したアレッサンドロ・ボルタである。
歴史
18世紀後半、既に電気の物理学的作用は知られており、当時は摩擦起電機やライデン瓶を用いて物理的に生じた電気で実験が広く行われていた。
イタリアの医師であるルイージ・ガルヴァーニは、解剖したカエルの足に電気を流すと収縮運動が起きて反応することを発見し、検流器として用いた(カエル検流器)。やがてガルヴァーニは、ベンジャミン・フランクリンが1752年に行った凧の実験に基づく雷の正体を電気とする説について、カエル検流器を用いて実証を試みた。この実験において、外部から電流を与えずとも、カエルの延髄に取り付けられた真鍮のフックと、鉄の手すりが接触した時にも脚が痙攣することを偶然に発見した。この結果からガルヴァーニは、生体には電気を発生させるメカニズムがあり、筋肉を動かすのは電気の力であるとする説を提唱した。彼はこれを「動物電気」(animal electricity)と名付けて、従来において生命力などと呼ばれてきたものの正体だとした。一連の研究成果は1791年に論文として発表された。
一方、ガルヴァーニの実験を追試したアレッサンドロ・ボルタは、電気が筋肉や神経ではなく、実験に用いた2種類の金属の接触に由来すると考えた[3]。この仮説を元にボルタは、1794年にボルタ電堆を発明し、1800年に、さらにこれを改良した最初の化学電池と呼ばれるボルタ電池を発明した。
当時の科学者の間ではガルヴァーニ説とボルタ説で論争になったが、最終的にはボルタ説が正しいことが認められた。ただ、ボルタはガルヴァーニに敬意を示し、化学生成由来の電気を、従来の電気と区別するためにガルヴァーニ電気と命名し、化学電池にもガルバニ電池という固有名詞を与えた。
概要

Cu | Zn | ZnSO4(aq) || CuSO4(aq) | Cu
電池図式という方法で表すと、例えば、
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