カルトムービーの黄金時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 15:37 UTC 版)
「モンド映画」、「東映ポルノ」、「ミッドナイトムービー」、および「エクスプロイテーション映画」も参照 世界各地の知られざる奇習や風俗を描いたグァルティエロ・ヤコペッティ監督のドキュメンタリー映画『世界残酷物語 MONDO CANE』(1962年)のヒットを嚆矢として、1960年代のヨーロッパやアメリカでは、観客の見世物的好奇心に訴える猟奇系のドキュメンタリー・モキュメンタリー映画が続々と登場し、人気を博していた。これら映画は「モンド映画」(Mondo film)または「エクスプロイテーション映画」と呼ばれる。特にモンド映画は、やらせも含めたショッキングでいかがわしい演出とセンセーショナリズムが特徴的であった。著名なモンド映画監督としてはヤコペッティ以外にも『ピンク・フラミンゴ』のジョン・ウォーターズや『ファスター・プシィキャット!キル!キル!』のラス・メイヤーなどがいる。これら監督たちの映画は脱力的な大衆文化「モンド・カルチャー」のルーツとなったほか、世界中の悪趣味(バッド・テイスト)文化にも多大なる影響を及ぼした。日本でも中川信夫監督の『日本残酷物語』(1963年/NFAJ所蔵)や中島貞夫監督の『にっぽん’69 セックス猟奇地帯』などのモンド映画が製作されている。 その後、ヤコペッティが3年の歳月を費やし、本物の処刑シーンも収めた『さらばアフリカ』(1966年)が興行的に大失敗するなどして、過熱的なモンド映画ブームは終息したが、トッド・ブラウニング監督の『フリークス』(1932年・MGM)がアメリカの映画館で深夜上映されたのを皮切りに、1970年代のアメリカではカルトムービーやインディーズ・ムービーが深夜上映の形態で続々公開されるようになった。これらの映画は「ミッドナイトムービー」と呼ばれ、一部の映画マニアを中心に熱狂的な人気を博した。また、ここから『ピンク・フラミンゴ』(犬の糞を食べるシーンがある)『エル・トポ』『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ロッキー・ホラー・ショー』『イレイザーヘッド』『エレファントマン』などのカルト映画も数多く生み出されていった。 1972年にはラルフ・バクシが画期的なアダルトアニメ『フリッツ・ザ・キャット』を製作し、史上最も成功したインディーズ系アニメーション映画のひとつとなった(それと同時にアニメ史上初のX指定(英語版)を受けた)。本作ではブラックユーモアやセックス描写が大胆に取り入れられ、主人公が学生運動、性革命、ヒッピーコミューンなどアメリカ社会で60年代後半に巻き起こったムーブメントを野次馬的に体験していく様子が毒々しく描かれている。
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