カスタマーシャシー問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/10 18:21 UTC 版)
「コンコルド協定」の記事における「カスタマーシャシー問題」の解説
2008年からの新協定の締結における最大の焦点は、他のコンストラクターが製造しているマシン(シャシー)を購入してレースに参戦できるようにするいわゆる「カスタマーマシン(シャシー)」問題であった。F1でもかつてはシャシーの購入が認められていたが、協定締結後はオリジナルのシャシーで参加しなければならないと決められていた。しかし、FIAの掲げる「コスト削減」「参戦チーム増加」のため導入が議論され、新協定でカスタマーマシンを認める規定が盛り込まれる予定であった。 しかし、上位チームが競争力のあるマシンを供給すると、中位以下の序列に影響を及ぼすことが懸念された。コンストラクターズ成績は分配金の額に直結するため、資金面の苦しい中位以下のチームにとっては死活問題となる。2007年シーズンはスーパーアグリとトロ・ロッソの両チームが(事実上の)カスタマーマシンでレースに参戦したことに対し、当初から反対していたウィリアムズやスパイカーの他、元々は反対表明をしていなかったルノー、トヨタまでも反対の意思を表明した。ただし、槍玉に上がった2チームは、それぞれホンダとレッドブルから第三者を介して知的所有権を入手しており、「コンストラクター間の取引禁止」というルールを文面上では回避していた。 結局、カスタマーマシンによる参戦は新協定では事実上認められないこととなり、スーパーアグリとトロ・ロッソの2チームについては2009年までの間暫定的にカスタマーマシンの利用を認めるものの、2010年以降はシャシーも含め独自にマシンを開発しなければならなくなった。このため、カスタマーマシンの使用を前提に2008年からの新規参戦を予定していたプロドライブF1は2008年のF1世界選手権への参戦が不可能となった。スーパーアグリがF1撤退に追い込まれた際にも、中東の投資会社 (DIC) がこの問題を懸念してチーム買収交渉を放棄したと見られた。 ただ、いわゆるサブプライムローン問題に端を発する世界金融危機の影響から、F1においてもスポンサー料の減額・滞納等の影響による予算圧縮が急務となったことで、2008年夏以降再びカスタマーマシンの採用に関する論議が復活している。
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