エネルギー機動ダイアグラムとは? わかりやすく解説

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エネルギー機動ダイアグラム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 14:57 UTC 版)

エネルギー機動性理論」の記事における「エネルギー機動ダイアグラム」の解説

上記計算出したエネルギー比率データさまざまな状況対応する形でまとめるには、ボイドプレゼンテーション用に考案したエネルギー機動ダイアグラム(英語: Energymaneuverability diagram)という特殊な座標軸を持つグラフ用いる。 縦軸旋回率(=角速度)、単位は度/秒で、1秒間にどれだけの角度回ったかを見るようになっている基本的に上に行くほど旋回率のいい優秀な機体となるが、実際状況により異なる。 横軸速度で、失速最高速度限界を見るためのもの。通常音速マッハ数単位として使われる斜めに入っている湾曲した線が、機体にかかるG(加速度)を示す。この線がそれぞれの旋回率と速度、そして旋回半径でかかるGを示すが、直線的に変化する数値はないた曲線となっている。 右肩上がり直線旋回半径を示す。通常海里nautical mile/nm)の単位示されている、右図のようにフィート示されるタイプもあり、単位によって傾き角度が変わる。上部のほうが小さ数字だが、旋回半径小さほうがいいため、値が上のほうにある方が優秀な機体といえる。 エネルギー機動ダイアグラムからは、より大きなエネルギー比率持ち、かつ最も効率よく旋回できる条件はどれであるかを読み取ることができる。空中戦ではより大きなエネルギー持ったものが勝つのであればいかにして旋回中にエネルギー失わないようにするかが問題となる。つまり必ずしも最速旋回率・最小旋回半径回ればいいというわけではないため、そのために必要なエネルギー損失情報素早く読み取れるようにしたのがこのダイヤグラムである。 右の図はボイド最初ブリーフィング用いたと言われているF-86FMiG-15性能比較ダイヤグラムである。F-86の線、MiG-15の線の両方とも上下二つの山に分かれているが、下の方にあるなめらかな山がエネルギー比率=0の線、上のやや尖った山が旋回性能限界となる。 エネルギー比率=0の線はこのダイアグラムでは最も重要な部分である。これは機体上昇させるエネルギーが0 ft/sec のポイント結んだ線であり、エネルギー損失増加もない条件の線であることを表わすプラスではない代わりにマイナスでもないので、この条件維持して飛行する速度と高度を保ったままの維持旋回を行うことができる。この線より内側エリアなら、旋回中のエネルギー比率プラス(+)、外側ではマイナス(-)になる。同時に縦軸が上に行くほど旋回率は上がるため、エネルギー比率=0の線より外側の方が旋回率はよくなる逆にこの線より外側では急旋回可能になる代わりに速度運動エネルギー)か高度(位置エネルギー)あるいは両方失いドッグファイト不利な状況になる可能性高くなることを表わし、そうなる急旋回ができても同時にリスク背負い込むことを示す。その結果エネルギー失わずにもっとも効率よく旋回できる限界である0 ft/sec の線が重要な意味を持ってくる。これならば旋回入って極端に不利な状況追い込まれない。よって、エネルギー失わずにできる最速旋回を行うには可能な限りエネルギー比率=0の旋回をすることが望ましいとなる。 実際にエネルギー失わず維持旋回をするにはどういった条件飛べば良いかは右の図を例で上げると、3Gかけて維持旋回を行うなら、両機とも速度マッハ0.4(縦軸)、旋回14度/秒(横軸)、旋回半径1,500フィート(約460メートル前後回ればいいと一目読み取ることができる。 尖ったになっている外側旋回性能限界線は旋回能力限界を示す。右図F-86Fで見ると、7Gかけながらマッハ0.5前後旋回率約25度、旋回半径1,200フィート(約370メートル)の急旋回限界であるということ読み取れる。 ただし先に書いたように、この条件では大幅なエネルギー比率減少を伴う。性能限界線まで来るとエネルギー比率損失通常-400ft/sec以上になるため、これは1秒間に約120メートルの高度を失うのに等しいという猛烈なエネルギー損失旋回となる。F-86F場合であれば猛烈な急降下で高度を失いながら旋回をすることになる。それは大幅な位置エネルギー損失意味しドッグファイト中は極めて不利な状況置かれる可能性高くなる空中戦におけるベスト旋回最速であることでも最小で回ることでもなく、最小エネルギー損失可能な限り小さく効率よく回ることであり、より大きなエネルギー維持したまま旋回できる機体が強いということである。これをダイヤグラムではエネルギー比率=0の線で読み取れる

※この「エネルギー機動ダイアグラム」の解説は、「エネルギー機動性理論」の解説の一部です。
「エネルギー機動ダイアグラム」を含む「エネルギー機動性理論」の記事については、「エネルギー機動性理論」の概要を参照ください。

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