ウェブブラウザを限定することによる問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:53 UTC 版)
「推奨ブラウザ」の記事における「ウェブブラウザを限定することによる問題」の解説
推奨ブラウザを指定する場合、単一もしくは特定環境のウェブブラウザのみに限定することが多い。限定する理由にはウェブサイトの製作における時間上の制約、技術上の制約、動作検証にかかる人件費の問題などがある。 そのうち、技術上の理由から推奨ブラウザを限定することは他のウェブブラウザユーザーにとって深刻な影響を与えることが多い。例えばActiveXやSilverlightのように特定のOSやブラウザ、プラグインなどに依存する技術を用いた場合、他のウェブブラウザではコンテンツの参照すらできないことがある。 ウェブブラウザ用のプラグインを限定する例としてはWindows Media Player(WMP)プラグインを指定する手法が挙げられる。配信内容の著作権を保護する必要がある場合、デジタル著作権管理(DRM)技術等を利用する必要があるがWindows Media PlayerにおいてはWindows Media Video(WMV)やWindows Media Audio(WMA)などに含まれる固有のDRM技術を利用していることが多いため、結果的に閲覧環境が限定されることとなる。 またJavaやAdobe Flashなどのプラグインが必要な技術を用いたり、JavaScriptのようなスクリプトを利用する場合も一部のテキストブラウザ(Lynxなど)やスクリーンリーダーなどで閲覧できない場合があるので広義の視点から見れば閲覧環境の限定に繋がるといえる。 プラグインではないが、オンラインゲームやオンラインバンキングなどで使われるセキュリティツール(例:nProtectなど)が特定のOSやブラウザにしか対応していない場合も同様に閲覧環境を限定することにつながる。 ウェブブラウザや閲覧環境を限定することによって発生する問題としては以下のようなものがある。 代替手段確保の妨げ 他のウェブブラウザ環境の利用を妨げることになり、推奨ブラウザに問題が発生した場合に他のウェブブラウザを代替手段として利用することが困難になる場合がある。 推奨ブラウザが動作しないオペレーティングシステムの切捨て ウェブサイト閲覧者の幅を狭めることになる。特に企業サイトや商用サイトであれば、潜在顧客層を排除することに繋がりかねない。また、政府・行政・地方自治体などの公共サイトにおいては閲覧者たる国民の知る権利やアクセス権を阻害することに繋がりかねない。 アクセシビリティ上の問題 特定のブラウザにのみ特化しているウェブサイトはアクセシビリティの観点からみて望ましくない場合(情報格差など)がある。 また、第二次ブラウザ戦争においてウェブブラウザ市場のシェアが変化しつつある状況(詳細はブラウザ戦争を参照)を考慮すると、公共・商業サイトにおいて単一のウェブブラウザのみを推奨ブラウザとすると時勢に伴う利用者環境の変化に適応しづらく、望ましくないと言える。 推奨ブラウザを単一のウェブブラウザに制限した場合、そのブラウザでの閲覧や操作について保証しやすい反面、それ以外のブラウザではサイトを利用できないこともあり、アクセシビリティの観点でも問題となる。 これらの問題を解決するためには、できるだけ特定のオペレーティングシステムやウェブブラウザに依存しない技術を利用する、他の環境で使える代替技術を併用する、などの配慮が必要である。また、ウェブサイト運営者がアクセシビリティに配慮し、ウェブ標準に基づく形でのサイト(コンテンツ)作成を行うことでより多くのブラウザや閲覧環境で利用できるようになり、結果、推奨ブラウザの範囲を広げることも可能になる。ウェブ作成におけるアクセシビリティに関する法律や指標としては、米国ではリハビリテーション法第508条が、日本国内ではウェブコンテンツJIS(JIS X 8341-3:2004)が、国際的な指標としてはW3Cによるウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)などがある。
※この「ウェブブラウザを限定することによる問題」の解説は、「推奨ブラウザ」の解説の一部です。
「ウェブブラウザを限定することによる問題」を含む「推奨ブラウザ」の記事については、「推奨ブラウザ」の概要を参照ください。
- ウェブブラウザを限定することによる問題のページへのリンク