イータカリーナ星雲とは? わかりやすく解説

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イータカリーナ星雲

銀河系でもっとも明るいイータカリーナ 150年前の爆発で星雲が発生

イータカリーナ星雲は、南十字星近くりゅうこつ座にある散光星雲です。りゅうこつ座は、日本では地平線上すれすれに、その一部しか見えないので、あまりなじみがありませんが、南半球では頭上高く位置しいくつかの散光星雲散開星雲(NGC2516NGC3532など)を見ることができます
イータカリーナ星雲の中心部には、銀河系でもっとも明るい恒星であるイータカリーナ輝いてます。この星は150年前に爆発起こし大量ガスチリ放出し始めました。しかし超新星爆発のようなそのもの崩壊はまぬがれたため、恒星としての輝き保ち続け拡散する星雲をうつしだしてます。

激しい勢いで膨張し続けるイータカリーナの星雲
激し勢いで膨張し続けイータカリーナ星雲

明るさは時代によって不規則に変化将来は超新星爆発の可能性も

イータカリーナ明るさは、不思議なことに、その時々によって不規則に変化してきましたハレー彗星おなじみエドモンド・ハレーは、1677年4等星と記録しその後1800年代には1等星から‐0.8等星まで明るくなって、現在は7等星ほどになってます。
星雲は、時速200km上の速度放射状膨張続けており、将来この星は超新星爆発起こすではないか考えられています。ただし、激し勢いで大量物質放出しているため、この状態はそう長く続かないだろうとみられています。


イータカリーナ星雲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/19 12:07 UTC 版)

イータカリーナ星雲
仮符号・別名 NGC 3372[1]
星座 りゅうこつ座
分類 HII領域[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  10h 44m 19.0s[1]
赤緯 (Dec, δ) −59° 53′ 21″[1]
距離 ~6500-10000 光年 [2]
物理的性質
半径 230光年[3]
他のカタログでの名称
ESO 128-EN013[2]
GC 2197[2]
Template (ノート 解説) ■Project

座標: 10h 45m 08.5s, −59° 52′ 04″ イータカリーナ星雲[4][注 1](ηカリーナ星雲、Carina Nebula、Eta Carinae Nebula)は、いくつかの散開星団に囲まれた大きく明るい星雲である。りゅうこつ座η星HD 93129Aという、銀河系で最大級の重さと光度を持つ恒星の2つがこの星雲の中にある。地球からは、6500光年から1万光年離れていると推定されている。イータカリーナ星雲は、りゅうこつ座の中に見え、いて・りゅうこつ腕の中に位置する。この星雲には、いくつかのO型星が含まれる。

空に見える散光星雲としては最も大きいものの1つである。有名なオリオン星雲よりも4倍も大きく明るいが、南半球の高緯度地方でしか見られないため、それほど知られていない(北半球の北緯13度からも全景が撮影可能。南半球から主に見る星雲としては有名な星雲)。1751年から1752年に喜望峰ニコラ・ルイ・ド・ラカーユによって発見された。

大きな明るい星雲の中、りゅうこつ座η星のすぐ周囲により小さな星雲があり、人形星雲[5]として知られている。これは、1841年にりゅうこつ座η星が大きな擬似的超新星爆発を起こしてできたものだと考えられている。これにより、りゅうこつ座η星は、一時的に全天で2番目に明るい恒星となった。

イータカリーナ星雲にある天体

りゅうこつ座η星

イータカリーナ星雲、天文台OALM 、ウルグアイのモンテビデオから撮影した画像。
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したりゅうこつ座η星

りゅうこつ座η星は、非常に大きな光度を持つ極超巨星である。その質量は太陽質量の100倍から150倍、光度は太陽の400万倍と推定されている。

この天体は現在、詳細が調査された恒星の中で最も大きな質量を持つ。より光度が大きくより重いと思われる恒星もいくつか知られているが、そのデータはまだ確実なものではない。太陽の80倍以上の質量を持つ恒星は、太陽の100万倍以上の光を発する。そのような恒星は、銀河系程度の規模の銀河の中でも数十個と非常に少ない。エディントン限界に近づいており、即ち、外側への放射圧が内側への重力とほぼ同じ強さになっている。太陽質量の120倍を超えると、理論的にはエディントン限界を超え、その重力が恒星のガスを引きとどめておくことができなくなり、近い将来に超新星極超新星となる。

りゅうこつ座η星がイータカリーナ星雲に及ぼす効果は直接観測することが可能である。上図の暗いボック・グロビュールやその他の天体は、重い恒星の方から尾を引いているように見える。星雲全体の形も、1840年代の大爆発以前とは明らかに変わっている。りゅうこつ座η星の周りは塵に囲まれ、紫外線の量は劇的に減っている。

鍵穴星雲

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した鍵穴星雲。左上の小さな星雲は、"神の指"(finger of God)と呼ばれている。

イータカリーナ星雲の一部は、鍵穴星雲[6]として知られている。この名前は、19世紀にジョン・ハーシェルによって付けられた。鍵穴星雲は、冷たい塵から構成される分子雲であり、明るく熱いフィラメント、蛍光を発するガス等も含まれ、より明るい星雲を背景に浮かび上がっている。鍵穴部分の直径は、約7光年である。

ミスティック・マウンテン

ミスティック・マウンテン

「ミスティック・マウンテン」[7]は、ハッブル宇宙望遠鏡の20周年の記念として、2010年2月1日から2日に撮影された画像であり、イータカリーナ星雲の中に柱状の塵とガスが写っている。柱の高さは3光年になり、柱の中にある原始恒星はガスのジェットを発し、その流れが頂きにまで上っている。

ギャラリー

脚注

注釈

  1. ^ ラテン語では Eta Carinae であり、原語により忠実に読むと「エータ・カリーナエ」、英語では「イータ・カリーニー」となるが、日本語ではCarinaを属格Carinaeにしない「イータ・カリーナ」という通称が広まっている。

出典

  1. ^ a b c d e SIMBAD Astronomical Database”. Results for NGC 3372. 2016年9月20日閲覧。
  2. ^ a b c Object Data - NGC 3372”. Results for NGC 3372. 2008年4月25日閲覧。
  3. ^ NGC 3372 - The Eta Carinae Nebula”. An Atlas of the Universe. 2024年6月19日閲覧。
  4. ^ 沼澤茂美・脇屋奈々代『星座の事典』ナツメ社 2007年。ISBN 978-4-8163-4364-3
  5. ^ 160年前に起こった星の「臨死体験」”. AstroArts (2012年2月29日). 2015年2月3日閲覧。
  6. ^ エータ・カリーナ星雲の光と影AstroArts
  7. ^ 『HST ハッブル宇宙望遠鏡のすべて』誠文堂新光社、71頁頁。ISBN 978-4416115466 
  8. ^ Mounted image 149: The Cool Clouds of Carina”. ESO. 2024年6月11日閲覧。

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