光蒸発を起こしている円盤の観測例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/12 16:48 UTC 版)
「光蒸発」の記事における「光蒸発を起こしている円盤の観測例」の解説
光蒸発にさらされている原始惑星系円盤が存在する有名な領域はオリオン大星雲である。これらは明るい proplyd と呼ばれ、この用語は原始惑星系円盤の光蒸発を記述するために別の領域でも用いられた。これらはハッブル宇宙望遠鏡によって発見された。オリオン大星雲の中には、トラペジウムの一員であるオリオン座θ1 C によって光蒸発を起こしている惑星質量天体も存在する可能性がある。この発見以降、ハッブル宇宙望遠鏡によるその他の若い星団の観測も行われ、干潟星雲、三裂星雲、NGC 6357、NGC 1977(英語版) において明るい光蒸発中の原始惑星系円盤が発見されている。 スピッツァー宇宙望遠鏡の打ち上げ後は、さらなる観測によって NGC 2244 や象の鼻星雲(英語版)、NGC 2264(英語版) にある若い星団中の天体の周囲に、塵を含む彗星の尾のような構造があることが明らかになっている。これらの構造も原始惑星系円盤の光蒸発によって説明できる。また、後に Westerhout 5 という星雲中にも同様の彗星の尾状の構造がスピッツァー宇宙望遠鏡の観測によって発見された。この研究では、尾の寿命は500万年かそれ未満であろうと結論付けられている。同じ構造は NGC 1977 や NGC 6193、コリンダー69星団でも発見されている。 その他の明るい proplyd の候補天体は、セロ・トロロ汎米天文台の 4 m 望遠鏡を用いた観測でイータカリーナ星雲中に、またVLAを用いた観測でいて座A*の近傍に発見されている。ハッブル宇宙望遠鏡を用いたイータカリーナ星雲中の候補天体の追加観測では、この天体は蒸発するガス状グロビュールであることが明らかにされている。 NGC 3603(英語版) 中の天体は、オリオン大星雲で発見されている明るい proplyd の中間質量版である可能性が提唱されており、後にはくちょう座OB2星団(英語版)も同様であることが提唱された。
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