インチキ説と暴露
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/05 15:45 UTC 版)
噂が広まってイベント化するに従い、金銭が絡み出した。一説には、歳の離れた姉レアが、「金儲けの手段として妹たちを利用することを思いついた」とも、「レアが黒幕的存在となったために、後に妹らとわだかまりができたが、当の妹たちは、姉に逆らえない状態だった」とも、伝えられている。ニューヨークを拠点とした全米でのパフォーマンスの結果として、一家は、巨大な富を手に入れた。好奇心や物珍しさだけとは言い切れず、ピーク時には、150万人を超える信者や支持者がいたともいわれ、彼女らはカリスマ的存在ともなっていた。 民衆の噂や、新聞などのマスコミによって、アメリカからヨーロッパにまでこの事実が広まり、当時の学術研究の対象ともなってきた一方、死体の発見など、知り得ない事実を発見したとする本物説と、後述するインチキ説とが、常に対立していた。そんな中で、1851年、バッファロー薬科大学の調査結果が発表された。それは、「音の正体は、足首や膝の関節を鳴らしていたものであった」とするものであった。 そんな中で、1888年10月21日付けのニューヨークの新聞に、反スピリチュアル団体から金銭を貰ったマーガレットが、上記大学の調査結果に沿った内容の『手記』で、内容を告白する。次いで、ニューヨークの音楽アカデミーをはじめとして、各地で、このトリックを暴露する実演付きの公演を行った。一説には、ケイトも加えて姉妹二人で暴露公演を行ったとされている。また、「厳重な実演に際し医師も立会い、関節を鳴らしていた事が証明された」など、経過についてはいくつかのバリエーションがある他、足が動かないように縛った状態でも音が出たという調査結果もある。 彼女の暴露の内容は、以下の点でどの文献でもほぼ共通している。 すべてがバッファロー薬科大学の結論どおり、足の関節を鳴らしたもので、トリックであり詐欺。 当初は、リンゴを紐で結び、ベッドから床に落とした音で、まず母親を信じ込ませた。 トレーニングした結果、足首か膝の関節を無制限に鳴らすテクニックを身に付けた。 単なる悪戯から話が大きくなり、その事実を告白できなくなった。 金銭がからむようになった段階で、当時かなりの年上の姉・レアに脅されるような形で、真実を口止めされた。 と同時に、パフォーマンスを続けるうち、一家の金儲けも絡んできて、ますます、真実を公表できない状態になっていった。 などといったものである。 この告白の背景には、マーガレットが良心の呵責に耐え切れなくなり、精神不安定になった事情があったからだとも、あるいは、レアの長年の支配からいさかいが生じた事への、マーガレットのレアに対する仕返しとして行われたとも、その双方の理由があったとも噂された。また、この証言により、信じていた者は衝撃を受け、彼女らも、以前のような大金を稼げない状態とはなったが、それでも霊との交信や、この種の現象を信じる者は少なくはなかったといわれている。一般的な心霊実験や研究も、この出来事の後から20世紀初頭にピークを迎える。
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