インクの種類と組成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 09:09 UTC 版)
染料インク 一般に万年筆用のインクとしては染料系のインクが用いられており、発色に秀でるが、耐光性・耐水性に乏しい場合が多い。また、プラチナ萬年筆やセーラー万年筆から自分で色を調整可能な染料インクが発売されている。 没食子インク (古典インク) 旧来、万年筆を使用してそれらの性質を必要とする公文書などを書き記す場合、化学反応によって紙に定着するタイプのブルーブラックインク(没食子インクの一種)が使われてきた。このインクはイオンの状態で鉄を含んでおり、これが酸化されて黒色の沈殿を生じる事によって紙に定着する。これの反応が進む様子はインクの色によって知ることができ、筆記直後には比較的青い色をしているものが、日にちが経って反応が進むと次第に黒ずんでくる。このタイプのインクは、強い酸性を示し、金属を侵す事でも知られ、時代につれ生産から撤退するメーカーも少なくない。万年筆のペン先として金が多用される理由の一つは、酸性のインクに侵されない耐薬品性の強さである。なお、現在ではブルーブラック以外の色の沈食子インクも存在する(プラチナ万年筆)。 映像外部リンク ブルーブラックインク原液(染料未混合)の黒色化 - YouTube 顔料インク 顔料系のインクは滲みにくい明瞭な筆跡を持ち、耐水性、耐光性はあるが、インクが乾くと目詰まりを起こし万年筆が使えなくなるので敬遠されてきた。製図や漫画の製作その他によく使われるインディアンインクも詰まりやすいことから使えない。現在では万年筆用の超微粒子顔料インクが実用化されているが、洗浄が非常に困難になるので使用に際しては使用後にキャップをする、メンテナンスを怠らないなどの特別の注意を払う必要がある。顔料系インクの使用に適さない万年筆もある。 万年筆のインクには色素成分の他に、界面活性剤が含まれている。界面活性剤は、インク中に含まれる水分の表面張力を低減させペン芯に於けるインクの流れを良くすると同時に紙にインクを染み込み易くさせる役割を果たしている。界面活性剤の量によって染み込み具合が異なるため、ペン芯とインクとの相性や裏抜けといった現象が発生する。
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