イニュエンドウとは? わかりやすく解説

イニュエンドウ

(イニュエンドゥ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/24 13:45 UTC 版)

『イニュエンドウ』
クイーンスタジオ・アルバム
リリース
録音 1989年 - 1990年
ジャンル ハードロック
時間
レーベル 東芝EMI
パーロフォン
ハリウッド・レコード
プロデュース クイーン
デヴィッド・リチャーズ
専門評論家によるレビュー
クイーン アルバム 年表
女王凱旋! 〜戦慄のライヴ・クイーン〜
(1989年)
イニュエンドウ
(1991年)
CDシングル・ボックス英語版
(1991年)
『イニュエンドウ』収録のシングル
  1. イニュエンドウ
    リリース: 1991年1月14日
  2. 狂気への序曲
    リリース: 1991年3月4日
  3. ヘッドロング
    リリース: 1991年5月13日
  4. 輝ける日々
    リリース: 1991年9月5日
  5. ショウ・マスト・ゴー・オン
    リリース: 1991年10月14日
テンプレートを表示

イニュエンドウ』 (Innuendo) は、イギリスロックバンドクイーンの14枚目のアルバムである。ボーカルフレディ・マーキュリー存命時にリリースされたという意味において、クイーンの実質的ラストアルバムである[1]

概要

各曲の作曲者は1曲を除きメンバー全員がクレジットされている。これは前作『ザ・ミラクル』からのやり方を踏襲するもので、個人での作曲クレジットによる印税の分配でのトラブルを回避する役割と、作曲方法を個人の作業ではなく各人が持ち寄った素材をセッション形式で仕上げていく方法が取られ始めたためで、ひとつの曲を完成させる過程において、複数の曲のモチーフをつなぎ合わせる作業も行われていたことがデモ音源などで確認できる。

実質的なラストアルバムであることから、リリースの10ヶ月弱後のマーキュリーの死という要素を切り離して評価することは難しいが、イギリスではチャートにおいて初登場1位を記録するなど、1980年代初期のアメリカを意識した音楽性から、ヨーロッパ的な音楽性の回帰が歓迎された。本国イギリスでは、5曲がこのアルバムからシングルカットされ、チャートの上位へ達する。

アルバムタイトルの「イニュエンドウ」は、ほのめかし、あてこすり、風刺などの意味があり、マーキュリーがスクラブルをする際によく使う単語だったという[2]


アルバムジャケット

『イニュエンドウ』のジャケットの原作に用いられたJ.J. グランヴィルの"Un Autre Monde"

アルバムジャケットは19世紀フランス風刺画J・J・グランヴィルのイラスト「Jaggler of Universes」が使われ、アルバムのアートワーク及びこのアルバムからのシングルのアートワークにもグランヴィルのイラストが使われた。

アルバムのインナースリーブ写真、収録曲のプロモーションビデオなどは、衰弱の進むマーキュリーの病状を隠すかのように、厚めのメーキャップモノクロームアニメーション、後処理を施したものが多用されている。

発売日

収録曲

  • クレジットは、「神々の民」を除き、「クイーン」名義。(「神々の民」は「クイーン&マイク・モラン」名義。)
※LP版では「ドント・トライ・ソー・ハード」が「愛しきデライラ」と「ザ・ヒットマン」の間に入る(「ライド・ザ・ワイルド・ウインド」までがA面、それ以降がB面である)。
CD
# タイトル 作詞・作曲 時間
1. イニュエンドウ(Innuendo) Freddie Mercury, Roger Taylor
2. 狂気への序曲(I'm Going Slightly Mad) Mercury
3. ヘッドロング(Headlong) Brian May
4. 「アイ・キャント・リヴ・ウィズ・ユー」(I Can't Live With You) May
5. 「ドント・トライ・ソー・ハード」(Don't Try So Hard) Mercury
6. 「ライド・ザ・ワイルド・ウインド」(Ride The Wild Wind) Taylor
7. 「神々の民」(All God's People) Mercury, Mike Moran
8. 輝ける日々(These Are The Days Of Our Lives) Taylor
9. 「愛しきデライラ」(Delilah) Mercury
10. 「ザ・ヒットマン」(The Hitman) Mercury, May, Johnn Deacon
11. 「ビジュウ」(Bijou) Mercury, May
12. ショウ・マスト・ゴー・オン(The Show Must Go On) May, Deacon, Taylor
合計時間:
ボーナスEP(2011年ユニバーサルミュージック再発盤)
# タイトル 作詞・作曲 時間
1. 「アイ・キャント・リヴ・ウィズ・ユー (1997 ロックス・リテイク)」(I Can't Live With You (1997 Rocks Retake)) May
2. 「ロスト・オポチュニティ (シングル「狂気への序曲」B面)」(Lost Opportunity (B-Side)) Queen
3. 「ライド・ザ・ワイルド・ウインド (アーリー・ヴァージョン・ウィズ・ガイド・ヴォーカル)」(Ride The Wild Wind (Early Version with Guide Vocal)) Taylor
4. 「狂気への序曲 (マッド・ミックス)」(I'm Going Slightly Mad (Mad Mix)) Mercury
5. 「ヘッドロング (エンブリオ・ウィズ・ガイド・ヴォーカル)」(Back ChatHeadlong (Embryo with Guide Vocal)) May
合計時間:
ボーナス・ビデオ(2011年iTunesデラックス・エディション)
# タイトル 作詞 作曲・編曲
6. 「Innuendo」(ALternative Promo Video 1991)    
7. 「These Are The Days Of Our Lives」(Hollywood Records Animated Alternative Promo Video/1991)    
8. 「'Mad In The Making'」(The Making Of The 'I'm Going Slightly Mad' Promo Video)    

曲の解説

  • *印はシングルCDタイトル曲。
  1. イニュエンドウ - Innuendo *
  2. 狂気への序曲 - I'm Going Slightly Mad *
    • 歌詞は、フレディのもとを学生時代からの友人で舞台俳優であるピーター・ストレイカーが訪れたときにしたお喋りがもとになっている、歌の中で一単語がどうしても気に入らず、朝4時まで悩んだなどの逸話が残されている。
    • プロモーションビデオはフレディが道化師を演じる大部分がモノクロの映像作品。ペンギンに扮したブライアンとのコスプレと本物のペンギンが共演していたり、ゴリラのぬいぐるみが出てきたりとユーモアに富んだ内容になっている。
  3. ヘッドロング - Headlong *
    • ブライアンが「クイーンの曲として採用してもらえるか半信半疑であったため、後の自分のソロアルバムに使う事も念頭に置いていたが、すんなり採用された」と自身のインタビューで答えている。
    • プロモーションビデオはスタジオでのカットを主にまとめられている。また、PVではAメロに入る前にCD版になかったフレーズが追加されている。
    • 2013年に再発された当アルバム(リミテッド・エディションと呼ばれる。以下同様に呼称)のボーナストラックにブライアンボーカルの"エンブリオ・ウィズ・ガイド・ボーカル"というバージョン名で収録されている。
  4. アイ・キャント・リヴ・ウィズ・ユー - I Can't Live With You
    • 「ヘッドロング」同様、ブライアンが「採用してもらえるか半信半疑であったが、すんなり採用された」と自身のインタビューで答えている。
    • 後のベストアルバム「クイーン・ロックス」にて演奏を差し替えた'97 retakeというバージョンが収録されている。また、リミテッド・エディションのボーナストラックにも同バージョンが収録。
  5. ドント・トライ・ソー・ハード - Don't Try So Hard
  6. ライド・ザ・ワイルド・ウインド - Ride The Wild Wind
    • リミテッド・エディションのボーナストラックにて"アーリーバージョン・ウィズ・ガイド・ボーカル"という名前でロジャーボーカルのトラックが収録されている。
  7. 神々の民 - All God's People
    • もともとフレディのソロアルバム『バルセロナ』に収録を予定していた「アフリカ・バイ・ナイト」という曲であったが、ボーカルのパートナーであるモンセラート・カバリェに拒否されたために、バンドの曲として録音されたもの。
  8. 輝ける日々 - These Are The Days Of Our Lives *
  9. 愛しきデライラ - Delilah
    • デライラは、当時フレディが飼っていた愛の名前である。ブライアンがトークボックスを使用してギターで猫の鳴き声を出している。
  10. ザ・ヒットマン - The Hitman
    • 原案はフレディ中心で、ロジャーも参加して作られたが、ギターで演奏しづらいキーであるという理由で、ブライアンが移調したという。
  11. ビジュウ - Bijou
    • 旧邦題は「バイユー」「バイマー」。
  12. ショウ・マスト・ゴー・オン - The Show Must Go On *

担当

クイーン

外部ミュージシャン

  • スティーヴ・ハウ - フラメンコギター
  • マイク・モラン - キーボード
  • デヴィッド・リチャーズ - キーボード

チャート

チャート成績 売り上げ
最高位 チャートイン週 獲得ディスク [3]
United States 30 Gold 555.000
United Kingdom 1 37 Platinum 635.000
Germany 1 Platinum 855.000
Italy 1 670.000
France Platinum 347.500
Netherlands 1 Platinum 220.000
Spain 3 Platinum 305.000
Switzerland 1 2x Platinum 100.000
Austria 2 Platinum 60.000
Canada Gold 90.000
New Zealand Platinum 16.000

脚注

  1. ^ 【ロッキング・オンを読む】クイーン特集、完全ディスコグラフィー後編 :『ザ・ゲーム』から『メイド・イン・ヘヴン』まで【全文公開】”. ロッキング・オン (2019年1月2日). 2019年1月19日閲覧。
  2. ^ 管理人 (2021年10月24日). “フレディ・マーキュリーについてあなたが知らないかもしれない15の事実”. uDiscoverMusic | 洋楽についての音楽サイト. 2021年10月25日閲覧。
  3. ^ MJD (2020年1月25日). “QQueen albums and songs sales” (英語). ChartMasters. 2022年9月20日閲覧。




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「イニュエンドウ」の関連用語

イニュエンドウのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



イニュエンドウのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのイニュエンドウ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS