イエネコの起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 04:54 UTC 版)
「ネコ#起源」も参照 本種が家畜化され、イエネコになったと考えられている。2007年に発表されたネコ属から採取した979組織のミトコンドリアDNAとマイクロサテライト遺伝子の分子系統解析では、共にリビアヤマネコとイエネコが同じ系統に含まれるという解析結果が得られたためリビアヤマネコを起源とする説を支持している。ミトコンドリアDNAの解析からイエネコがリビアヤマネコと分岐したのは131,000年前という解析結果が得られ、他のデータも含めると155,000 - 107,000年前に分岐したことが示唆されている。このミトコンドリアDNAの解析では、解析に用いられたイエネコの母系をさかのぼると少なくとも5つのミトコンドリアDNAハプロタイプに起源があることが示唆されている。この解析では9,000年以上前に肥沃な三日月地帯で初期の農耕の成立に伴い家畜化されたと推定している。紀元前3,000年頃の古代エジプトの遺構から大量に出土するようになったことから、この時期に家畜化されたとする説もある。古代エジプト起源説では、小麦や大麦などの栽培が盛んであったため、貯蔵している穀物を食害するネズミを食べることが家畜化のきっかけとなったとされる。頭がネコ・首から下が女性の愛の女神バステトへの信仰や、彫像やレリーフなどの出土品が見られる。ギザの墳墓からミイラとなったネコが約190匹発見された例があり、一部は大型なためジャングルキャットのものとされるが大半はリビアヤマネコもしくはイエネコのものと推定されている。ヘロドトスなどによる古代エジプトについての記録では、ネコが死ぬと飼っていた家族が弔いのために眉を剃る、ネコを誤って殺した外国人が民衆によってリンチに遭うなどといった記録がある。これより古くは紀元前6,000年頃のアナトリアで作られたと思われる女性とネコの偶像、紀元前4,000 - 5,000年頃のヨルダン河岸のイェリコの遺構から出土したという報告例もあるが起源について主流な説とはならなかった。後者についてはイエネコかどうか不明で、毛皮目的で殺された個体である可能性もある。本種が分布しないキプロスの9,500年前の遺跡から人間とリビアヤマネコ(大きさや額の傾斜・頬歯の長さから)と推定される骨が約40センチメートル離れて同じ向きで出土した例があり、これをもって最古の飼育例とする説もある。日本でのネコの最古の記録は平安時代初期で、日本霊異記や宇多天皇御記で記述がみられる。
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