アメリカ合衆国における人間による方向案内
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/05 22:04 UTC 版)
「人間広告塔」の記事における「アメリカ合衆国における人間による方向案内」の解説
人間による方向案内 (human directionals) は、特に歩行者の交通量が多いところで今も広く見受けられるが、自動車の交通量が多いところでも見受けられる。後者の場合、広告されている場所へと交通の流れを誘導すべく、看板はしばしば矢のような形をとる。カリフォルニア州レイクフォレストのアイ・ショット (Eye Shot) 社は、矢印型の看板を用いた現代の回転広告を発明したと称している。現代の人間による方向案内は、注意を引くために、指一本で看板を回したり、看板を空中に放り上げたり、振り回したり、馬乗りになって見せたりと、様々な工夫を施している。また別のカリフォルニア州の会社であるアーロー・アドバタイジング (AArrow Advertising) は、雇用者たちを「ブート・キャンプ (boot camps)」で訓練し、また「特徴ある動き (signature moves)」を数多く特許申請している。 しかし、こうした注意を引きつける技法は、運転者の注意をそらし脇見運転を助長するとして行政当局から批判され、結果的に数多くの都市が看板を回転させること (sign twirling) を禁じている。エンラージ・メディア・グループ (Enlarge Media Group) やジェット・メディア (Jet Media) などといった会社は、看板の回転よりは運転者の邪魔にならないようにした、人間による方向案内を「サイン・ウォーカー (sign walkers)」として提供している。アリゾナ州では、サイン・ウォーカーにも規制が課せられたため、同州最大の人間広告塔の事業者であるジェット・メディア・プロモーションズがスコッツデール市当局を訴えた。同社のオーナーは、こうした広告手法を禁じることを違法とする立法措置を進めるキャンペーンを展開し、立法化に成功した。 看板を回転させる技法の導入以来、人間による方向案内への需要は顕著に高まった。気候が温暖な場所では、看板持ちの仕事は一年中可能であり、その効果は十二分に示されている。例えば、2006年10月に、カリフォルニア州モレノバレーにおける新規に開発された住宅地のモデル・ハウスを訪れた3,600人のうち8%近くは、人間による方向案内を頼りに現地へ到達していた。フロリダ州のエンターテイメント・ファクトリー (Entertainment Factory) は、州中央部のいくつもの成功している企業に人間による方向案内を提供している。中には、これを唯一の広告手法としている顧客もある。当然ながら、19世紀のロンドンにおける状況と同様に、人間による方向案内が徐々に当たり前のものになって、効果が薄れていくのではないかという危惧もある。 合衆国では、独立した、あるいは、チェーン系の納税調整サービスの事業者が雇った、衣装を着たサイン・ウェイバーたち (sign wavers) が、個人所得税の申告締め切り日である4月15日が近づく時期になると、季節的に登場する。その衣装は、一般的には自由の女神像かアンクル・サムである。この現象は近年の、21世紀に入ってからの傾向であるが、ますます一般化し、競争的になっている。 サイン・ウェイバーたちは、合衆国ではハロウィン関連商品を扱うポップアップ・ストアのように、一時的にしか存在せず、毎年場所も変わり、したがって常設された店の看板もなく、口コミで顧客基盤(英語版)を徐々に構築する時間も、地図サイト (web mapping) のサービスに表示されることもない事業者たちに広く採用されている。こうした人間広告塔たちは、店側から提供されたハロウィンの衣装(英語版)を着用していることも多い。
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