ぱしふぃっく・びいなすとは? わかりやすく解説

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ぱしふぃっくびいなす

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/03 16:22 UTC 版)

ぱしふぃっくびいなす
能代港にて(2017年)
基本情報
船種 クルーズ客船
船籍 日本
所有者 新日本海フェリー
運用者 日本クルーズ客船
建造所 石川島播磨重工業東京第一工場(3095)
母港 大阪港
姉妹船 おりえんとびいなす
船級 NK, JG[1]
信号符字 JPEI
IMO番号 9160011
MMSI番号 431281000
改名 EASTERN VENUS(2024-)
経歴
起工 1997年5月16日[2]
進水 1997年9月29日[2]
竣工 1998年3月30日[2]
就航 1998年4月12日
運航終了 2023年1月4日(日本クルーズ客船)
要目
トン数 7,955トン[2]
総トン数 26,518トン[3]
載貨重量 4,202トン[1]
全長 183.4 m[3]
垂線間長 160.0 m[2]
全幅 25.0 m[3]
喫水 6.5 m[3]
デッキ数 12層
機関方式 ディーゼル
主機関 ディーゼルユナイテッド 12PC2-6V 2基[2]
推進器 2軸[3]
最大出力 13,636 kW[2]
定格出力 12,386 kW[2]
最大速力 21.9ノット[2]
航海速力 20.8ノット[1]
航続距離 7,000海里[1][2]
旅客定員 720名[2]
乗組員 204名[3]
フィンスタビライザー装備[3]
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ぱしふぃっくびいなす (Pacific Venus) は、日本クルーズ客船が運航していたクルーズ客船

概要

おりえんとびいなす」の準同型船として1998年に就航した日本籍で2番目に大きなクルーズ客船であった。「ニューゆうとぴあ」の代替船として1995年より建造計画に着手し[4]、研修船やチャーター船の需要の減少を受け[4]、レジャークルーズに重点を置いた構造で[1]、内装は「エコロジー&ヒューマニズム」をコンセプトとして設計されていた[5]。船名は一般公募で決定された[6]

中短距離のクルーズを中心に運行されたが、世界一周やオセアニアクルーズなどのロングクルーズも行っていた。

2006年1月にはキッズルームをビューティサロン室「びいなすサロン」に転用、6階にスモーキングコーナーを設置するリニューアルを実施した。

2008年12月にはスポーツジム「ジムナジウム」の拡張や展望浴室へのスチームサウナ設置、家具のリニューアル等の改装を実施[7]

2020年3月より、新型コロナウイルスの感染拡大により運行を休止した。1年以上の休止を挟んで2021年夏より運行再開となったが、わずか計8コース(19泊分)の催行に留まり、再び2021年8月から運航を休止した[8]。2022年3月より定員を削減して感染対策を徹底して運行を再開したが、その後も新型コロナウイルス禍の影響で乗客が半分以下に落ち込み収益が悪化[9]。乗員のコロナ感染や[10]、寄港先の自治体の要請で8-9月のクルーズが中止になるなどした[11]

2022年12月27日の神戸発「びいなすニューイヤークルーズ」をもって客船事業を終了することが発表された[12]。神戸を出港して石垣島・沖縄本島・奄美大島を巡るツアーであった。麻倉未稀のスペシャルステージも開催された。1月4日に神戸港第4桟橋に戻り、日本での運行を終えた。この最後の9日間のツアーの代金は、495,000円から2,111,000円であった[13]

最後のクルーズののちに、兵庫県相生市のJMUアムテック(旧石川島播磨重工業)のドックに入渠して船体リフレッシュ&メンテンナンスが行われた[14]

EASTERN VENUS

2023年12月、韓国のドゥウォン商船に売却されパナマ船籍の「EASTERN VENUS」と改名され中国での改修工事を受けるためにJMUアムテックを離れた[15]東海港を拠点とした日本海沿岸や東南アジア方面への運航や[16]、台湾を拠点とした沖縄方面への運航を検討している[17]。2024年12月24日から就航し、デビュークルーズは釜山港発着で12月25日に佐世保港・12月26日に鹿児島港に寄港した[18][19][20]

設備

階段室は前後2か所にあり、それとは別にロビーには5-6-7階を繋ぐらせん階段が配置された[1]。エレベーターは前方に3基、後方に1基が設置された。

12階[21]
  • トップラウンジ「サテライト」 - 宇宙をイメージしたデザインとした[5]。船体中の煙突の前方に位置し、スポーツジムの上に位置していた。
    • ゲームコーナー
  • サンデッキ
11階[21]
  • オブザベーションラウンジ「グラン・シャリオ」 - 空をイメージしたデザインとした[5]。船の先端部に位置し、後方にバーカウンターが設置され、前方には白いピアノが置かれていた。
  • びいなすサロン(エステティック・ネイルサロン・ボディセラピー)
  • プール&ジャグジー
    • プールサイドデッキ
    • プールサイドバー
  • 展望浴場
    • スチームサウナ
  • ジムナジウム
10階[21]
  • スポーツデッキ
    • スポーツデッキバー
  • スモーキングルーム(10階利用者専用)
9階[21]
  • コンファレンスルームA
  • カラオケルーム(2室)[1]
  • カードルーム
  • 茶室「楽水亭」
  • テンダーボート「きゅうぴっと3」「きゅうぴっと4」
8階[21]
  • メインホール「テアトロ・ピアッツァ」 - 9階まで吹き抜け[1]
7階[21]
  • エントランス
  • メインダイニングルーム「プリマベーラ」 - 要所要所に花をあしらい春をイメージした内装とした[1]
  • メインラウンジ「ル・パシフィーク」 - 海をイメージしたデザインとした[5]
  • ピアノサロン「アルカンシェル」 - 様々な色彩の組み合わせで若々しいイメージの内装とした[1]
  • プロムナード
  • ダイニングサロン「グラン・シエクル」(スイートルーム以上船客専用) - クラシックな雰囲気で格調高く落ち着いた内装とした[1]
  • オープンバー「ウィンド・オブ・メコン」
  • ロゴショップ「ハミングバード」
6階[21]
  • ライティングルーム - 英国調の内装とした[1]
  • パソコンルーム
  • シアター - 5階まで吹き抜け
  • コンファレンスルームB
  • レセプションルーム - 障子と格子による和風の内装とした[1]
  • スモーキングルーム
  • 大型ランドリー
5階[21]
  • エントランスロビー - 7階まで吹き抜け[1]
  • フロント
  • オーガナイザーインフォメーション
  • オーガナイザーオフィス
  • オーガナイザーサロン
4階[21]
  • 医務室
  • 美容室
  • 理容室
  • 病室

客室

客室はスタンダードルームを除き全室が海に面したツインルーム。

  • ロイヤルスイートルーム - 65m2(10階 4室)[21]
    • ロイヤルスイートA
      • 「アルカイック」 - 日本的なインテリアを施した[5]
      • 「モダン」 - 金色の応接セットやガラス張りの寝室を施した[5]
    • ロイヤルスイートB
      • 「エレガント」 - アイボリーとピンクを基調色とした[5]
      • 「ノーブル」 - 中世ヨーロッパ調のインテリアを施した[5]
  • スイートルーム - 35m2(10階 16室)
  • デラックスルーム - 23.5m2(9階 通常18室・バリアフリー2室)
  • ステートルーム - 15.3m2
    • 9階「ステートE」:6室
    • 8階「ステートF」:34室
    • 6階「ステートG」82室・「ステートH」8室
    • 5階「ステートH」20室・「ステートJ」14室
    • E・F・Gは角窓、H・Jは丸窓、F・G・H・Jは3人利用可。
  • スタンダードルーム (5階・6階内側合計16室[21] 2018年時点では販売なし)

その他

ギャラリー

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 安藤雄三, 豊田宗晴, 吉海研, 池亀渡、「第5章 客船を造る : (2)クルーズ客船「ぱしふぃっく びいなす」の建造(<特集>「客船」)」 『Techno marine 日本造船学会誌』 2002年 865巻 p.38-42, doi:10.14856/technom.865.0_38, 日本船舶海洋工学会
  2. ^ a b c d e f g h i j k 新造船写真集 外洋クルーズ客船 ぱしふぃっく びいなす PACIFIC VENUS 日本クルーズ客船株式会社 - 船の科学1998年7月号
  3. ^ a b c d e f g 第3章 日本の客船 : (3)おりえんと びいなす・ぱしふぃっく びいなす(<特集>「客船」) 『Techno marine 日本造船学会誌』 2002年 865巻 p.25-26, doi:10.14856/technom.865.0_25
  4. ^ a b クルーズ10年 外航客船7年振りの登場でマーケットの活況に期待 「ぱしふぃっくびいなす」四月よりデビューへ 入谷泰生日本クルーズ客船社長 - 海運1998年4月号
  5. ^ a b c d e f g h 7年ぶりに日本の新造クルーズ客船誕生!その名は「ぱしふぃっくびいなす」優雅さと寛ぎを追求する国内最大級の客船 - 上田寿美子(旅コム)
  6. ^ 客船の命名式と命名者 - ゆたか倶楽部(旅専)
  7. ^ 「ぱしふぃっく びいなす」船内施設一部改装 - びいなすクルーズブログ(2008年12月13日)
  8. ^ メールニュース 「海員だより」 2022年5月1日付 NO.22121 ◆【全国発信記事】大阪支部 クルーズ客船・ぱしふぃっくびいなす運航再開” (PDF). 日本クルーズ客船株式会社. 2023年1月18日閲覧。
  9. ^ “大型客船「ぱしふぃっくびいなす」 来年1月に事業終了 コロナ禍で集客が大幅減”. 神奈川新聞. (2022年11月8日) 
  10. ^ 8月25日大阪発 及び 8月29日神戸発クルーズ【運航中止】のご連絡”. びいなすクルーズ. 2023年1月18日閲覧。
  11. ^ 9月出発クルーズ【運航中止】のお知らせ (8/20更新)”. びいなすクルーズ. 2023年1月18日閲覧。
  12. ^ 客船事業終了のお知らせ”. 2023年1月18日閲覧。
  13. ^ 郵船トラベル びいなすニューイヤークルーズ~石垣島・沖縄本島・奄美大島~<2022年12月27日出発>”. 2025年2月3日閲覧。
  14. ^ 相生アムテック 船体リフレッシュ ぱしふぃっくびいなす - YouTube
  15. ^ 「ぱしふぃっくびいなす」が海外売船、韓国船社が購入 - WEB CRUISE
  16. ^ 韓国紙報道 旧「ぱしび」で環日本海周遊 ドゥウォン商船が買収 - みなと総合研究財団
  17. ^ 元日本クルーズ客船の「ぱしび」 10月下旬から日本寄港 - みなと総合研究財団
  18. ^ 旧「ぱしふぃっく びいなす」韓国船として再登場 - 世界の艦船
  19. ^ 佐世保市港湾部 [@sasebokouwan] (2024年12月27日). "『イースタンビーナス』..." Instagramより2025年2月3日閲覧
  20. ^ 国土交通省九州地方整備局鹿児島港湾・空港整備事務所 [@kyushu_chisei_kagoshimakoh] (2024年12月27日). "\ クルーズ船が2隻寄港 /..." Instagramより2025年2月3日閲覧
  21. ^ a b c d e f g h i j k 石川島播磨重工業株式会社東京第一工場技術部「720人乗り豪華外洋クルーズ客船"ぱしふぃっく びいなす"の概要」 - 船の科学1998年7月号
  22. ^ 船内のメインホール「テアトロ・ピアッツァ」は海に浮かぶ劇場です。... - びいなすクルーズ(Instagram)
  23. ^ MBS 65th - ドリームズ・カム・クルーズ - 毎日放送
  24. ^ リラックマが船長に?クルーズ客船ぱしふぃっく びいなす×リラックマグッズ”. サンエックス. 2024年8月14日閲覧。
  25. ^ クルーズ客船ぱしふぃっく びいなす×リラックマグッズ第二弾!”. サンエックス. 2024年8月14日閲覧。
  26. ^ アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトクルーズ - バンダイナムコエンターテインメント
  27. ^ “【アズールレーン】5周年を記念したプレミアムなクルーズイベント「アズールレーン 5thアニバーサリークルーズ」を開催決定!”. PR TIMES. (2022年7月1日). https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000042717.html 

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