『沙門果経』
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パーリ語経典長部の『沙門果経』においては、釈迦がマガタ国王に仏教の沙門(出家修行者、比丘・比丘尼)の果報を問われ、まず戒律順守によって得られる果報、次に止行(禅定、四禅)によって得られる果報を次々と述べた後に、その先の観行(四念住(四念処))によって得られる果報を、以下のように述べている。 (四禅の次に)「自身の身体が、元素から成り、父母から生まれ、食物の集積に過ぎず、恒常的でない衰退・消耗・分解・崩壊するものであり、意識もその身体に依存している」と悟れる (= 「身念住」(身念処)) (その次に)「思考で成り立つ身体(意生身)を生み出す」ことができる (その次に)「様々な神通(超能力)を体験する」ことができる (以下、神足通)「一から多に、多から一となれる」 「姿を現したり、隠したりできる」 「塀や、城壁や、山を通り抜けられる」 「大地に潜ったり、浮かび上がったりできる」 「鳥のように空を飛び歩ける」 「月や太陽をさわったりなでたりできる」 「梵天の世界にも到達できる」 (その次に)「神のような耳(天耳通)を獲得する」ことができる「神と人間の声を、遠近問わず聞くことができる」 (その次に)「他人の心を(自分の心として)洞察する力(他心通)を獲得する」ことができる「情欲に満ちた心であるか否かを知ることができる」 「憎しみをいだいた心であるか否かを知ることができる」 「迷いのある心であるか否かを知ることができる」 「集中した心であるか否かを知ることができる」 「寛大な心であるか否かを知ることができる」 「平凡な心であるか否かを知ることができる」 「安定した心であるか否かを知ることができる」 「解脱した心であるか否かを知ることができる」 (その次に)「自身の過去の生存の境涯を想起する知(宿住通(宿命通))を獲得する」ことができる「1つ、2つ…10…100…1000…10000の過去生を想起できる」 「それも、幾多の宇宙の生成(成刧)、壊滅(壊刧)を通して想起できる」 「それも、具体的・詳細な映像・内容と共に想起できる」 (その次に)「生命あるものの死と生に関する知(死生通(天眼通))を獲得する」ことができる「生命あるものがその行為(業)に応じて、優劣、美醜、幸不幸なものになることを知ることができる」 「生命あるものが(身口意の)業の善悪により、善趣・天界や悪趣・地獄に生まれ変わることを知ることができる」 (その次に)「汚れの滅尽に関する知(漏尽通)を獲得する」ことができる「苦しみ(汚れ)、苦しみ(汚れ)の原因、苦しみ(汚れ)の消滅、苦しみ(汚れ)の消滅への道(以上、四聖諦)を、ありのままに知ることができる」 「欲望・生存・無知の苦しみ(汚れ)から解放され、解脱が成され、再生の遮断、修行の完遂を、知ることができる」
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