「うばすて山」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 14:31 UTC 版)
あらすじ 雑誌の編集長として働き、都内で1人暮らしをしているかよは、妹のみわから、認知症の進んだ母親を施設に入れる準備の期間だけあずかってくれないかという電話を受ける。いつも自分に対してだけ呼び捨てで、自分にだけ怒り、虐待をしてきた母親の記憶しか無かったため断ろうと思ったが、首を絞められた時に助けてくれたみわのために、かよは我慢してOKする。当日、みわが母親を連れてきたが、母親はすでにかよのことを覚えておらず、自分を「ふうちゃん」と呼び、お友達のかよちゃんの家にお泊りするのだと思っていた。あれだけ虐待して人前でだけいい母親を演じていたくせに、その頃のことは全て忘れて子供の頃に戻ってしまっている母親を見て、やるせなくなったかよは泣いた。預かっている間、母親は「ここどこ?」「おねえちゃん、だれ?」「おかあちゃんは?」「ごはんまだ?」を延々と繰り返し、粗相をする。心配して電話をかけてきたみわから、母親も実は養女でいじめられて育ったことを聞かされるが、それでもやはり自分だけが幸せだった6歳の記憶の中にいる母親が許せないかよは「ふうちゃんなんか、だいっきらい。」と言ってしまう。そして迎えにくるというみわを待つことができず、子供の頃は決してつないでくれなかった手をつなぎ、母親を送っていくことにする。その途中、かよは手を放して自分だけ電車を降りようとするが、結局実行することはできず、母親が捨てた記憶を自分は決して捨てないと決意する。 登場人物 かよ アラフォー世代へ向けた新しい雑誌の編集長。40を過ぎているが、結婚も出産もしていない都内マンション暮らしのシングル。父親似で色黒で目がぎょろりとしている。母親に虐待されて育った。 みわ 5つ違いのかよの妹。結婚しているが夫の達夫は海外赴任のため、育ち盛りの小学生2人を1人で育て、母親の世話もやってきた。母親に似て切れ長の目で、色が白い。35歳になったばかりで化粧気は無い。横浜在住。姉と違い、虐待された記憶はない。 中田 文子(なかた ふみこ) みわとかよの母。認知症がすすんでいる。夫は何年も前に亡くなっている。埼玉の日高生まれで、かよを産む前までは小学校の教師をしていた。父親を戦争で亡くし、6歳の時に養女にやられた先でいじめられて育った。 もっちゃん かよが小学生の時に住んでいた団地の三号棟・208号室に住んでいた1学年上の男の子。かよと登校班が一緒で、班長だった。かよが家から閉め出されていると、もっちゃんの母親が家にあげてくれた。父親はアメリカ人で、黒い肌と縮れた髪をしていた。 たっくん もっちゃんと仲が良く、かよとも遊んでいた。
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