カイウサギ ペットの飼育

カイウサギ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/20 07:21 UTC 版)

ペットの飼育

カイウサギ(ペット)として品種改良されたウサギは、人に慣れるといった特性を有し、トイレも躾しやすく、他のペット(猫や小動物、よく躾された犬)とも仲良くなれる。飼育方法と注意点は後述する。

適切で良い飼育環境の室内飼いの場合、8-12年、生きるといわれる。ウサギは体温調節が難しく、品種によっては、高温で体温が上がりすぎて屋外飼いに適さず死に至る事もある。しかし、犬猫と違い鳴かないからと言って、室内のケージに閉じ込めて置くのはウサギにとっては不健康な環境である。カイウサギ(ペット)の歴史が長い欧州などの欧米では、屋外のウサギ小屋で飼うのが一般的である。他の生物や人間と同様、日を浴びることは重要である。健康上の理由からも、ウサギが必要とするだけ日光浴をさせるべきだとされる。本来、自然界では日中、広大なテリトリーエリアを駆け回っている生態である。ウサギは、飛んだり走り回ったりすることがとても大好きで、ウサギを健康で幸せにするために運動は大変重要である。室内飼いの場合、運動不足から食欲低下やストレスや病気を招き、不本意な死に至らせない様、最低限サークルで囲った専用の飛び回れる十分なスペースを設けることが望ましい。住む環境が変わっただけで、個体により時には死んでしまう場合もある。とても繊細な動物でもある。草食動物のウサギは、外敵から身を守る特色の1つに、狙われない様に自分の弱さ・病気を見せないという我慢強さがある。しかしこのために、体調異変・病気・ストレスなど、飼い主が気づける頃には手遅れになっている事も多い。サークル飼いができずやむをえずケージ飼いをする際の注意点については後述。

抱かれることに慣れていないウサギは、安易に抱くとウサギが抱きかかえられることに恐怖心を持って本能的に暴れ蹴り出し、落下する場合がある。ウサギの骨はもろく、数十cmの高さからでも骨折する危険があり、ウサギが防衛で相手を蹴る行為もウサギ自身に危険で骨折したりする恐れもある。ウサギの骨折は回復困難である。正しいウサギの抱き方は、犬猫同様に片手で身体全体を抱え、もう一方の手でお尻を支える。ウサギの耳には神経が集中しており、生きているウサギの耳を持つ持ち方は、ウサギに苦痛を与える行為とされる[13][14]。(耳を持つのは、狩猟や食肉用に殺したウサギを扱う場合である。)

食餌

コエンドロの葉を食べるウサギ

カイウサギは新鮮な水、干し草(チモシーオーツ等)と生野菜を主食とし、固形ペレットは補助食用として与えるのが望ましい。干し草は消化器官や胃腸の働きを助け毛玉症や胃腸内鬱滞などにかかりにくくするほか、不正咬合の予防にもなるためウサギにとって不可欠である。干し草は24時間食べ放題にし不定期に食せる状態にする。生野菜はよく洗い水気を切ったものを与える。野菜の種類によっては毒性のあるものや高糖分のものもある。毎日濃緑色あるいは濃黄色の野菜の中で異なる3–5種類を選ぶ。

ウサギの食糞行為は、正常な行為であり、新鮮であれば問題ない。

与えてよい野菜・ハーブ

アルファルファの芽、ビーツの若葉、ブロッコリー芽キャベツニンジンの葉、コラードの若葉、エンダイブパセリドクダミ、パクチ、コスチャ、ケールキャベツの外側の葉、キイチゴの葉、カモジグサ類、シバムギ、エンドウのさや(エンドウではない)、びわの葉、カボチャカボチャの葉、タンポポの葉、カブの葉、アスパラガスカリフラワーの茎・葉、小松菜クローバーミントの葉、マスタードグリーン、オクラの葉、ペパーミントの葉、ピーマンパプリカ(赤、黄、緑)、ラズベリーの葉、スクワッシュ、ズッキーニバターナッツロメインレタスワイルドストロベリーバジルコリアンダーの葉ヤロー(西洋ノコギリソウ)コハコベラベンダーオレガノセージフェンネルディルスイバなど。

絵本アニメに登場するウサギはニンジンが好物として描かれることが多く、事実ニンジンの根はよく食べるが、高糖分なので時々与える程度にする。キャベツはガスを溜めるのであまり与え過ぎないほうがよい。

与えてよい果物

リンゴブラックベリーブルーベリーパイナップルメロンパパイヤモモプラムナシラズベリーバナナイチゴワイルドストロベリーなど。果物は基本的に高糖分なので普段は与えず病気のときなどに与えるとよい。

与えてよい花

ひまわり、カレンデュラ(キンセンカ)、デージー(ヒナギク)、マリーゴールドキンレンカ(ナスタチウム)、アザミシオン属、バラ、マーガレット、ゼラニウムルリジサ(ボリジ)など。農薬や他の化学製品が使用されていない場合に限る。[15]

避ける花・植物・ハーブ

アカシアヒヤシンススズランスノードロップチューリップアヤメ属トリカブト、ポピー、ミゾカクシ属ナツシロギク(フィーバーフュー)、デルフィニウム属イチリンソウ属ジギタリスカキドオシクレマチス、など。[15]

毒性のある野菜・食品

アボカド、タマネギ、ニンニク、ニラ、ショウガ、ホウレンソウ、りんごの種、トマトの葉、ジャガイモの芽、カカオ(チョコレート、ココア)、カフェイン(コーヒー、紅茶、炭酸飲料水など)、塩分、糖分、香辛料、ナッツやタネ類(人間用)、生卵の白身、ルバーブ(葉の部分も)、などは中毒症状を引き起こす。

ケージ飼い、サークル飼い

ハンドメイドのラビットケージ

ケージ飼いでは運動不足や食欲低下、ストレスを招くため、最低限サークルで囲った専用の飛び回れる十分なスペースを設けることが望ましい。ケージ飼いをするしかやむを得ない場合は、最低背伸びできる十分な高さがあり、横は十分に伸びて寝そべることができる、最小でも体長3倍程度の広さのあるものを選ぶことが必要。ケージ飼いの際は、毎日必ずケージから出して広い場所で最低数時間は飛び回り運動できる時間を与え、そして日光浴もさせるなどの配慮が望ましい。

サークルは、犬用など高さ70 cm以上あるものが望ましい。ウサギのジャンプ力は驚くべきもので 1 m は軽くジャンプする個体(小型種でも)も多いため、個体に合わせ安全性が確保できる高さのあるものを選ぶことが望ましい。サークルは8–10パネル続きのもの、もしくは2つのサークルをつなぎあわせるなどしてできる限り広い範囲で囲い走り回れるスペースを確保したい。床の汚れ、傷防止のためにラグ等を敷くと良い。サークル内には清潔な水、トイレ、24時間十分に食せる干し草、トンネル、かじったり掘ったりできる無着色の安全なおもちゃをいくつか入れることも忘れてはならない。大きなスペースを囲えない場合は、ケージ飼い同様に1日最低数時間は室内に解放し、広い場所で運動できる時間を設け、日光浴もさせる。

健康管理

新鮮な水が必要。専用フード(ペレット)や生野菜等の食餌以外に消化作用に大量の繊維質を必要とするため、牧草(ペット店で市販の干し草:チモシーオーツ)は24時間食べ放題の状態にする必要がある。牧草を食すことで胃腸が常に動いている状態になるため、胃腸内鬱滞や毛玉症などの病気予防になり、お腹からガスを逃がす働きがある。また歯が常に伸びるウサギに多い不正交合の予防にもつながることから牧草と生野菜をウサギの主食として扱い、ペレットは補助食として扱う。

健康管理は毎日の掃除、運動、飼い主との交流時間以外に歯や糞のチェック、毛のブラッシング、定期的な爪切りなどをし毎日の健康チェックを行う。獣医を活用する場合、ウサギの専門獣医師による定期検診を行ったり(犬猫病院ではウサギを診られない医師が多いため、評判の良いウサギの専門獣医師を探す必要がある)、5歳以上で高齢になるため、5歳以上になったら定期検診時に年1回レントゲンと血液検査で健康状態を把握する事も可能ではある。

イヌやネコを飼うときの注意と同様、人間とは違って一度に複数個体が生まれるのが通常であることを考え、繁殖計画がないのであれば、雄雌を共に生活させないなどの注意をすること。去勢手術を行う場合は満1歳以上が好ましい。去勢によって無計画妊娠を防ぐ以外にウサギの健康状態を保つのに有効という考え方もある。イヌやネコの場合と同様に、去勢した個体は高齢になったときの子宮癌や睾丸の癌予防の効果が期待でき、スプレイ等の行為も軽減されることが多い。

単独飼いと多匹飼い

屋外飼育ウサギ小屋内、グルーミングするウサギ(奥)

本来、原種のアナウサギは群れを形成し生活する生態からも、多数飼いの場合、グルーミングをお互いがし合うため、病気予防につながり長生きしやすくなるといわれる。元々単独飼いしていたウサギに同居するウサギを増やしたい場合は、時間をかけてお互いを慣らす必要があり、いきなり一緒にするのは危険なので配慮する。お互いをケージ越しに置き2週間程度様子を窺う。この時、ケージは、お互いのウサギの歯や爪が相手に届かないように、必ず8–10cm離して置き、ウサギが暴れてもその隙間が狭くならないようにする。万が一ケージ越しに噛み付くと、その後の関係改善が困難になる。慣れた頃に、お互いの臭いがない場所に2分間程度一緒にする。喧嘩をするようであればすぐに引き離す。これを毎日少しずつ行い、徐々に時間を増やし、数週間繰り返していけば大抵の場合仲良くできる。また、いちど仲良くなったウサギを引き離すのは好ましくないとされる[誰?]。顔合わせを開始した時点から2週間以上経っても喧嘩を繰り返すようであれば、相性が悪い場合がほとんどなので、検討する必要がある。無理に続ければお互いのストレスになりストローク等を引き起こす可能性がある。相性が悪い場合は、双方が接触しない場所を設け、単独飼いにする。

飼育上の注意

室内飼いの場合、電気コードやケーブル類や紙類、家具・柱など、ウサギは何でも噛むので気をつける。ストレスから、自分の毛を毟りとる行為をする。


  1. ^ "Fact Sheets: Rex Rabbit" Burke's Backyard. Retrieved 2009-05-08.
  2. ^ http://rabbitbreeders.us/mini-rex-rabbits
  3. ^ a b (独)家畜改良センター茨城牧場 長野支場, http://www.nlbc.go.jp/nagano/gyomu/g_idensigen.html#%88%DB%8E%9D 2010年12月11日閲覧。 
  4. ^ 神戸市立六甲山牧場, http://www.rokkosan.net/animal/sheep.html#_2 2010年12月11日閲覧。 
  5. ^ http://rabbitbreeders.us/himalayan-rabbits
  6. ^ Benbrook, J (2007). "Dutch Rabbits"
  7. ^ ザ・ウサギ』 (p181) より。
  8. ^ うさぎ - 長く、楽しく暮らすための本』 (p141) より。
  9. ^ 『風俗画報』310号 明治38年2月10日 在三河安城、久永章武による
  10. ^ タイムスクープハンター (NHK総合1ch 2013年4月20日放送分「明治うさぎバブル」番組内説明に登場する資料→1873年『新聞雑誌』 (第78号) より
  11. ^ タイムスクープハンター (NHK総合1ch 2013年4月20日放送分「明治うさぎバブル」番組内説明に登場する資料→1873年4月『新聞雑誌』 (第93号) より。
  12. ^ タイムスクープハンター (NHK総合1ch 2013年4月20日放送分「明治うさぎバブル」番組内説明
  13. ^ ペット動物販売業者用説明マニュアル (哺乳類・鳥類・爬虫類) (PDF) 環境省
  14. ^ ウサギの飼育エキゾチックペットクリニック
  15. ^ a b http://www.thebrc.org/in-the-garden.htm
  16. ^ 瀬戸の小島 ウサギの楽園 (大久野島 (おおくのしま) =広島) : 日本の旅 : 国内 : 旅ゅーん : YOMIURI ONLINE (読売新聞) 2007年5月7日 記者・小梶勝男 (webarchive)
  17. ^ 『科学と社会を考える土曜講座 論文集』第1集 毒ガス資料館元館長村上氏へのインタビュー” (PDF). 市民科学研究会 (1997年5月10日). 2016年7月24日閲覧。
  18. ^ 週刊三遠南信第74号
  19. ^ a b c d Cath Jones & Steve Parish, Field Guide to Australian Mammals, Steve Panish Publishing, 2004, ISBN 9781740217439
  20. ^ (株) スタジオ・エスは2009年2月4日に破産が決定した。『官報』 (平成21年2月19日 木曜日 (号外第31号) p34) 「平成21年 (フ) 第863号」より[1]
  21. ^ 『アニファ』(2009年2月号 p120、『月刊誌 わが家の動物マガジン アニファ』休刊のおしらせ)より。


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