禁断の王国(フォービドゥン・レムルズ)
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「カンピオーネ!」の記事における「禁断の王国(フォービドゥン・レムルズ)」の解説
神話世界ヒューペルボレアに現れた地球出身者が鉤爪諸島に打ち立てた複数の都。命名はアレクサンドル。『リアル・シムシティ』の結果、神話世界の文明レベルを大きく逸脱した都市国家群となっている。 円卓の都 第1の王国。王はテオドリック。二の島に存在する。精鋭ぞろいの《円卓騎士団》と、勇猛果敢な重装騎兵隊、精強かつ勤勉な歩兵隊を擁した最大の軍事国家。『屍者の都』から馬で10日ほどの場所に位置する。プランタジネット家の騎士たちが伝えた、鞍と鐙、製鉄技術を実用化しており、武具製作と軍馬の育成にも力を入れている。 街並みは中世のヨーロッパに似ているが、騎士たちが知恵をしぼったことで当時より進歩しており、石造りの大規模建造物があちこちにあり、大きな道路のほとんどが舗装されている。煙を吐く煙突と鍛冶場があちこちにあり、城壁に囲まれ、小高い丘には中世ヨーロッパを思わせる城館がそびえ立つ。 征服欲の強い王国のひとつで、他の王国を襲撃し、略奪を行っている。ただし、『群狼の天幕』に比べると機動力は高くない。 屍者の都 第2の王国。王は厩戸皇子。大洪水で沈んだ先史文明の遺跡があった『死人の島』が元になっており、ここを根城に動く死人を生み出していた亡者を浄化した後で建国され、『犠牲の獣』によって他の島と合体した結果、現在は二の島に位置する。 都市基盤を最も充実させた王道楽土と言うべき理想郷。芙実花が《死の宝珠》で生み出す自律型の人造ゾンビ『屍者』を労働力としており、人間は料理などの創造的行為と『屍者』たちのメンテナンスを担当する。『屍者』には多様なバリエーションがあり、移住者に渡される家庭用、身長18メートルある土木建築用などが作られている。 芙実花の欲を叶える形で急速に文明化が進行しており、特にインフラは現代レベルまで発展している。“最低限よりもやや余裕のある衣食住”が支給され、様々な食品(ジャンクフード)に加え、シャンプー・リンス・石けんも発明済みで、ほぼ無償の病院・学校もある。集団農耕や牧場運営により食糧確保も行われ、食品を加工する工場も作られた。公共の『屍者』たちが小さな路地裏に至るまで掃除を行い、上下水道も導入されているので町は非常に衛生的。酔って暴れるような輩はゾンビくん警察隊に保護され、聖徳を重んじる『法』で男色・女色に関する商売もなく、善政ゆえに犯罪もすくなく、治安はきわめてよい。しかし、王がまったく物欲を見せず、常に『民と国』のことを考え、決断している影響で、心ある民ほど遠慮して、自分たちも道徳的であろうと心がけ、物欲や色欲を抑え込む傾向にあることが、異常なほどの清潔感と、ある種の息苦しさの原因にもなっている。 学校の存在から識字率は高く、王宮では神官や学者などの知識人層が重用される。書物好きな厩戸皇子が『活版印刷』の確立を進め、木材を原料とする紙の生産方式、インクや手動印刷機が発明され、ゾンビくん部隊が大量生産と印刷業務を請け負うことで、読書の習慣が大はやりした。また、芙実花の趣味で集った貴腐女たちによるBL作品も製作されている。ただ、皇子は無欲な聖人であり、芙実花は趣味が偏っているので、娯楽の面では『享楽の都』に劣る。 防衛に関しては『武装屍者』が担っているが、『円卓の都』との抗争で、武装が整っておらず、敵の兵士を猟犬とするならせいぜい番犬程度の力しかないという弱点が露呈。その後、ドニから指導を受けることになり、そもそも感情を持たない無念無想であることを活かして奥義《無想剣》を学んでいる。鍛えた《剣の屍者》は同盟関係にある『享楽の都』にも派遣されている。 海王の都 第3の王国。王は羅翠蓮。鉤爪諸島の南に位置する離島・蓬莱八島を根城とする巨大海賊団。淡路島くらいの大きさの本島のまわりを7島が囲んでいる。《白蓮党》が前身で、羅濠のカリスマと恐怖政治によって統治され、配下や民衆は羅濠を讃えるよう強制・教育されている。 ヒューペルボレアの未踏の地を探索する船団の母港にして、『享楽の都』に並ぶ交易拠点。ヒューペルボレアで最も造船技術が進んだ場所で、『享楽の都』の7、8倍もの船が集う。料理屋では羅濠が地球から伝えた本格中華が提供される。羅濠の権能《黄粱一炊夢》の力で街としても素晴らしく充実しており、市中には大きな街路のみならず水路まで張りめぐらされ、人々や牛馬だけでなく、船まで街中を行き交い、低層の木造家屋、高楼や仏塔など、いにしえの中国を思わせるアジアンな雰囲気の建築物ばかりが見られる。中心部には大中華の皇宮に比すべき威をそなえた豪壮な宮殿が役所として建っている。羅濠本人は都の北方に鎮座する里山の7合目あたりに瀟洒な邸宅をかまえて暮らしている。 群狼の天幕 第4の王国。王はデヤンスタール・ヴォバン。一箇所に定住しない、精強な騎兵でもある遊牧の民。二の島を中心に、恐るべき魔狼の群れと世界を滅ぼす天狼フェンリルまで加わり、馬と狼の快足で鉤爪諸島の各地を転々としつつ、気の向くままに襲撃と侵略を繰り返す。都を定めて定住する習慣とは無縁であり、本気を出せば鉤爪諸島のどこにでも風のように現れては去っていく。ほぼ同じ形式の毛皮の上着と帽子を身につけ、“鐙”のない馬を自在に乗りこなす。一部の民や騎馬には《貪る群狼》で“狼のしるし”をあたえて人狼化できるようにしている。 征服欲の強い王国のひとつで、騎兵の機動力の高さから危険視される。 竜の都 第5の王国。天翔ける竜たちが群れる、峨々たる山々の奥深くにある城。支配者は歳経て知恵を得た竜だとも、竜と関わりのある地球出身者だとも言われているが、いまだ真相は不明。三の島の『影追いの森』の南西約50キロメートルに位置する、四方を山に囲まれた盆地に築かれた都市。 都の外に出れば、険しい山道・峠道がえんえんとつづくので、住民は全長7メートルほどの翼竜を馬代わりに乗りまわす。市内は縦横に走る道路網で碁盤の目のように仕切られていて、全体に低層の木造家屋が多く、衣服は布地を体に巻きつけるタイプと、長安や北京などのような旧時代のアジア某地に近い雰囲気がある。 享楽の都 第6の王国。真の王は蓮だが、表の顔をカサンドラに任せて影に徹している。人の世のありとあらゆる娯楽、欲望、愉悦、快楽を味わえる歓楽都市。二の島の西海岸に位置する。 蓮とステラの提案で、人の欲望を利用するというコンセプトが立てられた。最初は蓮が開業したビストロから始まり、地球の料理を広めることで素朴すぎる日常の食事レベルを引き上げ、『よそよりも食べ物がとにかく美味い街』という評判で移民が集まっていった。良くも悪くもエネルギーに充ち満ちた繁華街であり歓楽街で、ギャンブルをはじめとする多種多様な娯楽が盛んに行われ、スケートボードやサーフィン、タピオカミルクティーまで発明されている。名産品は蜂蜜酒。 貿易も盛んで、小洒落た街並みには活気があり、レンガを敷きつめた舗装路には家畜や馬車が行き交う。街は低層の建物ばかりで、要人は小高い丘の上に建つ4階を超える立派な城館に住んでいる。 『屍者の都』『海王の都』とは同盟関係にあり、前者からは《剣の屍者》を融通してもらい、後者からは交易のために船を買いあげている。一方、『円卓の都』とはゆるやかな敵対関係で、機動力の高い『群狼の天幕』を特に警戒している。 探索者のギルド 第7の王国。創設者(発案者)は草薙護堂で、現在は妻のエリカ・ブランデッリがマスターをしている。定まった都はなく、鉤爪諸島各地に支部を設けており、所属する旅人は左足首に黄色い布を巻きつけている。本拠地は最も経済活動の盛んな『享楽の都』の内部に置かれている。 すくなくないヒューペルボレア人が牧畜、遊牧を生業とし、自前の馬で移動し夜は野営をしているため、旅するときに便利な街道、宿屋、船便といったものがないことを不便に感じた護堂の肝煎りで発足した。ギルドに属する旅人たちは各支部で助言・助力・路銀の融通・人の紹介など、有形無形のさまざまな援助を受けられ、支部を介して遠方の知人と連絡を取ることもできる。これらはエリカが所属する《赤銅黒十字》の前身である、聖地エルサレムへの巡礼を助けたかつてのテンプル騎士団の業務をもとにしたもの。 影追いの森 第8の王国。頭領はアレクサンドル・ガスコイン。人口の少ない三の島北部の森林地帯を丸ごと拠点とし、神や精霊の血を引く異能の者たちと共同生活を送っている。入りこんだ余所者は必ず道に迷い、二度と出てこられない魔の森。曲者ぞろいのヒューペルボレア版“シャーウッドの森”で、義賊を標榜する無法者の盗賊たち、異端のマエストロ、禁じられた叡智の探究者などが住む。多くが無実の罪、権威への叛逆などでもとの住居にいられなくなった流浪の身の上の無宿人であり、ヒューペルボレアの謎と神秘を解き明かすことを目的としている。 反運命教団 第9の王国といえる規模に成長しつつある、ヒューペルボレアでいちばん勢いのある宗教組織。教祖はアイーシャ。本拠地は二の島の『屍者の都』から北西方向にあるいちばん高い山の麓に置かれている。 主な教義は『運命の軛から脱出せよ、自由に生きろ』で、冷酷な《運命》と戦う《クシャーナギ・ゴードー》を《反運命の戦士》として讃える。元ネタは草薙護堂だが、ハッタリを効かせるためにアイーシャが途中で設定を“盛った”ため、名前も変わっている。祭事では呪的に『音』を強化したロックテイストの演奏で、支配からの卒業を高らかに訴える。歌や音楽、楽器のことはアイーシャが教えたものだが、彼女の《女王の呪縛》によってそのことは思い出せなくなっている。アイーシャが次第に教祖から音楽関係のプロデューサーと化していったことで、自ら巡業するより、効率的にスタッフを派遣することが多くなった。
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