古典物理学
古典論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 04:39 UTC 版)
二原子分子において2つの原子核の運動をばねによって結ばれた2つの粒子の調和振動子で近似する。2つの原子核が一直線上の位置 x1, x2 にあるとすると、フックの法則からそれぞれの核にはたらく力は m 1 d 2 x 1 d t 2 = − k x {\displaystyle m_{1}{\frac {d^{2}x_{1}}{dt^{2}}}=-kx} m 2 d 2 x 2 d t 2 = k x {\displaystyle m_{2}{\frac {d^{2}x_{2}}{dt^{2}}}=kx} x はばねの変位(l0をばねに伸び縮みが無いときの長さとしたとき x = x2 − x1 − l0)、k はばね定数を表す。マイナス符号は、2つの核に反対向きの力が働くことを示す。 ここで換算質量 μ {\displaystyle \mu } を導入し、2つの核の相対運動を一方を固定した1つの粒子の運動で表す。はじめの式を m1、2つ目の式を m2 で割り、2式を引いて整理すると μ d 2 x d t 2 = − k x {\displaystyle \mu {\frac {d^{2}x}{dt^{2}}}=-kx} μ = m 1 m 2 m 1 + m 2 {\displaystyle \mu ={\frac {m_{1}m_{2}}{m_{1}+m_{2}}}} この運動のポテンシャルエネルギー U の位置についての微分は、粒子に働く力に負を乗じたものであるから、 d U d x = − F = − μ d 2 x d t 2 = k x {\displaystyle {\frac {dU}{dx}}=-F=-\mu {\frac {d^{2}x}{dt^{2}}}=kx} これを積分するとポテンシャルエネルギーが得られる(ただし積分定数が0となるようにポテンシャルエネルギーの基準点をとった)。 U = 1 2 k x 2 {\displaystyle U={\frac {1}{2}}kx^{2}} これは伸び縮みのない状態を極小とした、二次関数である。分子のなかで核のまわりのポテンシャルは、極小点(平衡核間距離近傍)においては二次関数と近似できるので、調和振動子近似は、分子における核の相対運動を近似できると考えられる。全エネルギー(ハミルトニアン)はこのポテンシャルエネルギーに運動エネルギーを加えたものであるから、次のように書ける。 H = p 2 2 μ + 1 2 k x 2 {\displaystyle H={\frac {p^{2}}{2\mu }}+{\frac {1}{2}}kx^{2}}
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古典論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/20 23:32 UTC 版)
古典的には、ラマン効果は光が物質に入射した時、固体や分子の振動・回転等により光が変調され、その結果生じたうなりが、もとの波長とは異なる波長の光として観測されることに対応する。 一般に、原子・分子に光が照射されると、光電場によって電気双極子モーメント P = α E {\displaystyle {\begin{aligned}{\mathit {P}}=\alpha {\mathit {E}}\end{aligned}}} が誘起される。αは分極率、E は光の電場である。 ここで、分極率αが、分子のある振動(振動数νvibであるとする)によって α = α 0 + α 1 cos 2 π ν v i b t {\displaystyle {\begin{aligned}\alpha =\alpha _{0}+\alpha _{1}\cos 2\pi \nu _{vib}{\mathit {t}}\end{aligned}}} のように変化していたとする。(t は時間)また入射光の電場E が振幅E0 、振動数νinを用いて E = E 0 cos 2 π ν i n t {\displaystyle {\begin{aligned}{\mathit {E}}={\mathit {E}}_{0}\cos 2\pi \nu _{in}{\mathit {t}}\end{aligned}}} と書けたとする。 このとき、誘起双極子モーメントP は P = α E = ( α 0 + α 1 cos 2 π ν v i b t ) E 0 cos 2 π ν i n t = α 0 E 0 cos 2 π ν i n t + 1 2 α 1 E 0 cos 2 π ( ν i n − ν v i b ) t + 1 2 α 1 E 0 cos 2 π ( ν i n + ν v i b ) t {\displaystyle {\begin{aligned}{\mathit {P}}&=\alpha {\mathit {E}}=(\alpha _{0}+\alpha _{1}\cos 2\pi \nu _{vib}{\mathit {t}}){\mathit {E}}_{0}\cos 2\pi \nu _{in}{\mathit {t}}\\&=\alpha _{0}{\mathit {E}}_{0}\cos 2\pi \nu _{in}{\mathit {t}}+{\frac {1}{2}}\alpha _{1}{\mathit {E}}_{0}\cos 2\pi (\nu _{in}-\nu _{vib}){\mathit {t}}+{\frac {1}{2}}\alpha _{1}{\mathit {E}}_{0}\cos 2\pi (\nu _{in}+\nu _{vib}){\mathit {t}}\end{aligned}}} となり、ここで出てきた第2項・第3項がラマン散乱光に対応する。実際には、電場は3次元空間のベクトルであり、分極率は6つの独立な成分を持つ2階の対称テンソルである。 ラマン散乱にはレイリー散乱の振動数より低くなったストークス成分と、レイリー散乱の振動数より高くなった反ストークス(アンチ・ストークス)成分があるが、上式の第2項がストークス成分・第3項が反ストークス成分となる。
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古典論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/15 09:21 UTC 版)
二原子分子の回転運動に関して考える。今、分子を重心から r1 及び r2 離れた m1 および m2 の質量の質点から構成されるとする。この二質点の距離が固定された剛体と仮定する(剛体回転子)。 この系において、慣性モーメント I は、 I = m 1 r 1 2 + m 2 r 2 2 {\displaystyle I=m_{1}r_{1}^{2}+m_{2}r_{2}^{2}} である。r1、r2 は重心からの距離なので、m1r1 = m2r2である。よって、換算質量 μ = m 1 m 2 m 1 + m 2 {\displaystyle \mu ={\frac {m_{1}m_{2}}{m_{1}+m_{2}}}} を使うと慣性モーメントは I = μ r 2 , r = r 1 + r 2 {\displaystyle I=\mu r^{2},\ r=r_{1}+r_{2}} と書ける。上の式から、この系の運動はある中心軸に対して質量 μ の物体の回転運動と同じであることがわかる。 古典力学の回転運動から、回転運動の角周波数が ω のとき角運動量の大きさ L は L = I ω {\displaystyle L=I\omega } であり、回転運動のエネルギーは R = L 2 2 I {\displaystyle R={\frac {L^{2}}{2I}}} となる。
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古典論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 13:52 UTC 版)
古典的な多体問題としては、太陽系のような恒星と惑星が、万有引力で相互作用し合う場合の惑星運行の問題が挙げられる。太陽と地球のような二体問題は厳密に解けるが、例えば月の運動も考える一般の三体問題以上になると解析的に解くことはできないとされる(限定された条件(制限三体問題など)では解が存在する)。18世紀にはジョゼフ=ルイ・ラグランジュが研究を深め、19世紀末にアンリ・ポアンカレによって証明された。ただしポアンカレの証明は積分法(代数変換、初等関数の変換、積分の有限回による解法)の範囲であり、この範囲以外の解法の存在については現在も不明である。 惑星運行に関しては摂動あるいは数値解析を利用して多体問題を計算する。カオスが起こるかどうかはその状態により変わり、またカオスの定義が研究者ごとに違うため、この議論は明確でない。なおカオス(ここではリアプノフ指数が正で非周期解)が起こる場合には、質量の小さな星は系からキックされ、最後には質量の重い星が非常に狭い範囲に複雑な軌道を描くとされているが、詳細は決着がついていない。 スーパーコンピュータや厳密なソフトウェアを使用した様々なシミュレーションが行われているが、全く同じ条件でシミュレーションを開始しても異なる結果になったり、時間を巻き戻しても元の状態に戻らない現象が起きる。これが多体の相互作用そのものによる性質(時間反転対称性を破る)なのか、シミュレーションプログラムのバグなのかすら判明していない。
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古典論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 07:35 UTC 版)
等方的な系において、分極率 α {\displaystyle \alpha } は電場 E {\displaystyle {\boldsymbol {E}}} とこの電場により誘起された原子、分子の誘起双極子モーメント p {\displaystyle {\boldsymbol {p}}} の比として定義される。 p = α E {\displaystyle {\boldsymbol {p}}=\alpha {\boldsymbol {E}}} 分極率は、国際単位系ではC·m2·V-1 = A2·s4·kg-1の次元をもつが、しばしばcm3またはÅ3 = 10-24 cm3の次元をもつ分極率体積によってあらわされる。 α ( cm 3 ) = 10 6 4 π ϵ 0 α ( C ⋅ m 2 ⋅ V − 1 ) {\displaystyle \alpha \,({\textrm {cm}}^{3})={\frac {10^{6}}{4\pi \epsilon _{0}}}\alpha \,({\textrm {C}}\cdot {\textrm {m}}^{2}\cdot {\textrm {V}}^{-1})} ここで ϵ 0 {\displaystyle \epsilon _{0}} は真空の誘電率である。 個々の粒子(分子)の分極率はミクロな量であり、マクロな量である媒質の平均電気感受率との間にはクラウジウス・モソッティの関係で結びついている。 上記で定義された分極率 α {\displaystyle \alpha } はスカラー量であり、加えられた電場と誘起されや分極は平行であるが、異方的な系においてはそうならないことがある。その場合分極率 α {\displaystyle {\boldsymbol {\alpha }}} は2階のテンソルとして定義される(等方的な系のものは単位行列で α = α 1 {\displaystyle {\boldsymbol {\alpha }}=\alpha {\boldsymbol {1}}} と表現できる)。
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