ゴエティア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/11 05:25 UTC 版)
『ゴエティア』(Goetia)は、17世紀から伝わる作者不明のグリモワール『レメゲトン』の第一書の表題である。
注釈
- ^ 「悪魔の偽王国」においても、悪魔たちには神聖ローマ帝国のような階級制度があり、それぞれが爵位を有し、悪霊の軍勢を指揮する悪魔の頭目として描かれている[8]。こうした文献にあらわれる悪魔たちの背景には、中世カトリシズムにおける悪霊の軍勢の観念がある [9]。偽ディオニシウス・アレオパギタの『天上位階論』に由来する、天使たちが位階秩序をもった霊的存在であるという考えはカトリックの重要な理論として確立していたが、これに相応して堕天使すなわち悪霊もまた、天使の軍勢と同様に階層秩序をもって組織されていると考えられた [10]。
- ^ ただし、ゲティングスのリストには、「ゴエティア」においては72人に含まれていないアマイモンが記載されている。
- ^ 後述する「悪魔の偽王国」の中にも、ベリアルについての記述の中で同様の話が出てくる[13][14]。
- ^ Brass Vessel。『レメゲトン』では金魚鉢のような球状の鉢が図示されている場合がある。ノーマン・コーンの『魔女狩りの社会史』の日本語版では真鍮の船と解されている。『千夜一夜物語』の「漁師と鬼神との物語」では、スライマーン(ソロモン)がジンを封じ込めた壺が出てくる。
- ^ ソロモンが悪霊の軍団を遣わした、悪霊の手を借りてエルサレムを建設した、などといったソロモンと悪霊に関する話が、さまざまな古代のグノーシス文書や偽典に散見される [15]。1世紀から3世紀に成立したと言われるギリシア語の旧約偽典『ソロモンの遺訓』には、エルサレム神殿を建設していた頃のソロモンが、大天使ミカエルより悪霊を支配する指輪(ソロモンの指輪)を授かり、悪霊たちを神殿建設に駆り出したことが記されている。同書にもベルゼブル、アスモデウスなどさまざまな悪霊が登場し、36名の悪霊とその撃退法を列挙した箇所もある [16]。
- ^ a b Mathers & Crowley 1904, pp. 22–46による。Hymenaeus Betaの編集による現行版とはトレマの有無に若干の相違がある。
- ^ Waite 2008, pp. 191–220 〔アーサー・エドワード・ウェイト『黒魔術と契約の書』第2部第4章 ゴエティア抄録〕による。ジョゼフ・H・ピーターソンは欠陥が多いと評している [25]。
- ^ 原語はPrince。公爵、公、大公とも訳しうる。cf. Fürst.
- ^ 原語はPresident。長官とも訳しうる。
- ^ スコットでは伯爵にして公爵。
- ^ 本文ではStiri、側註ではSitri [29]。ピーターソンはSitriを採用 [30]。
- ^ 原語はEarl。
- ^ スコットでは伯爵。
- ^ スコットでは36。
- ^ スコットでは侯爵にして伯爵。
- ^ ゲティングズはAsmodeusで立項。
- ^ ゲティングズはSabnakで立項。
- ^ スコットでは26。
- ^ スコットでは20。
- ^ Rudd, Peterson, Scot いずれも30。
出典
- ^ e.g., コーン & 山本 1983, p. 225.
- ^ e.g., キング & 江口 1994, p. 242.
- ^ e.g., ゲティングズ & 大瀧 1992, p. 443; キング & 山岸 1987, p. 61.
- ^ Kraig, Donald Michael. Using Modern Magick (audio cassette tape). Llewellyn Publications.
- ^ ゲティングズ & 大瀧 1992, p. 443.
- ^ プランシー & 床鍋 1990, p. 327.
- ^ 例えば、Hymenaeus Beta, Mathers & Crowley (1995), The Goetia.
- ^ 南條 2010, p. 155.
- ^ コーン & 山本 1983, p. 226.
- ^ コーン & 山本 1983, pp. 90–91.
- ^ ゲティングズ & 大瀧 1992, pp. 222–223.
- ^ ゲティングズ & 大瀧 1992, p. 220.
- ^ Peterson 2001, pp. 237–238.
- ^ Scot 1972, pp. 220–221.
- ^ 南條 2010, p. 59.
- ^ 南條 2010, p. 60, pp. 190-217.
- ^ Cohn 1993, p. 104.
- ^ コーン & 山本 1983, p. 224.
- ^ プランシー & 床鍋 1997, p. 498.
- ^ ゲティングズ & 大瀧 1992, pp. 342–343, p. 360.
- ^ ケーラス & 船木 1994, pp. 78–79.
- ^ 南條 2010, pp. 118–123.
- ^ DuQuette 1997, p. 42.
- ^ a b Peterson 2001, Part I による。
- ^ a b Peterson 2001, p. xviii.
- ^ ゲティングズ & 大瀧 1992.
- ^ Scot 1972, pp. 217–225〔『魔女術の発見』第15巻2章〕および南條 2004, pp. 239–260 による。
- ^ a b c d e The Goetia of Dr Rudd [Harley MS 6483] (Skinner & Rankine 2007).
- ^ Scot 1972, p. 219.
- ^ Peterson 2001, p. 235.
- ^ キャベンディッシュ & 栂 1997, p. 213.
- ^ a b c キング & 江口 1994, 付録B マサース版奥義書。
- ^ Hymenaeus Beta, Mathers & Crowley (1995), The Goetia.
- ^ Skinner & Rankine 2007, p. 51.
- ^ An Itermediate Greek-English Lexicon, Oxford University Press. ISBN 0199102066.
- ^ アルフレッド・モーリー 『ヘルメス叢書 魔術と錬金術』 有田忠郎・浜文敏 訳、白水社、1993年。
- ^ ジョヴァンニ・ピコ・デッラ・ミランドラ 『人間の尊厳について』 大出哲・阿部包・伊藤博明 訳、国文社、1985年、ISBN 4-7720-0107-7。
- ^ 健部伸明と怪兵隊 『幻想世界の住人たちII』 新紀元社〈新紀元社文庫〉、2011年(旧版1989年)、334頁。
- ^ 山北篤監修 『魔法事典』 1998年、306頁。
- 1 ゴエティアとは
- 2 ゴエティアの概要
- 3 表題の意味
- 4 外部リンク
ゴエティア (Goetia)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/14 09:25 UTC 版)
「レメゲトン」の記事における「ゴエティア (Goetia)」の解説
悪魔についての書。ソロモン王がいかにして悪魔を使役し名声を得たかを記し、その悪魔の性質や使役方法を述べる。レメゲトンのなかでも特に有名で、しばしばこれ単独で『レメゲトン』『ソロモン王の小さき鍵』と呼ばれる。Goetia とは、古代ギリシア=ローマにおける「呪術」「妖術」を指すギリシア語 γοητεία(ゴエーテイア)のラテン語形で、ルネサンス期には悪霊の力を借りる儀式魔術とほぼ同義であった。これは今日の魔術でいう喚起魔術、すなわち悪魔などの人間より下位の霊的存在を使役する魔術作業に相当する。
※この「ゴエティア (Goetia)」の解説は、「レメゲトン」の解説の一部です。
「ゴエティア (Goetia)」を含む「レメゲトン」の記事については、「レメゲトン」の概要を参照ください。
ゴエティア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/09 03:23 UTC 版)
「放課後ウィザード倶楽部」の記事における「ゴエティア」の解説
いわゆるゲームにおける召喚獣を呼び出すための指輪状のアイテム。
※この「ゴエティア」の解説は、「放課後ウィザード倶楽部」の解説の一部です。
「ゴエティア」を含む「放課後ウィザード倶楽部」の記事については、「放課後ウィザード倶楽部」の概要を参照ください。
固有名詞の分類
- ゴエティアのページへのリンク