徳山駅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/27 07:08 UTC 版)
概要
周南市(旧徳山市)の中心駅である。1897年(明治30年)に山陽鉄道の駅として開業、国有化を経て現在に至る。山陽新幹線は「のぞみ」「さくら」のどちらかがおよそ1時間に1本停車する。在来線は山陽本線の他、隣の櫛ケ浜駅から分岐する岩徳線の全列車が当駅まで乗り入れる。かつては周南コンビナートの出光興産徳山製油所・日本ゼオン徳山工場への専用線がつながり車扱貨物の取り扱いがあったが、1985年(昭和60年)に廃止された(貨物駅の機能は隣の新南陽駅に集約)。
直営駅であり、かつては山陽本線の和木駅 - 大道駅間各駅と岩徳線の全駅、山陽新幹線単独駅である新岩国駅を管轄する徳山地域鉄道部が構内に置かれていた[4]。同鉄道部の廃止ならびに山口支社の発足以降は、管理駅長が配置された管理駅[2]となっている。
1968年(昭和43年)には2代目駅舎として徳山ステーションビルが建設され、日本国内でも古くから存在する民衆駅として知られていたが、テナントの撤退や建物の老朽化を契機に2014年(平成26年)をもって駅機能が分離され、跡地は周南市徳山駅前賑わい交流施設として整備された。
歴史
- 1897年(明治30年)9月25日:山陽鉄道が広島駅から延伸し、その終着として開業。旅客・貨物の取扱を開始[1]。
- 1898年(明治31年)3月17日:山陽鉄道が三田尻駅(現・防府駅)まで延伸し、途中駅となる。
- 1906年(明治39年)12月1日:山陽鉄道の国有化により官営鉄道の駅となる[1]。
- 1909年(明治42年)10月12日:線路名称制定。山陽本線の所属となる。
- 1937年(昭和12年)7月:駅舎改築。2階建て。[6]
- 1945年(昭和20年)7月:アメリカ軍による徳山空襲の2回目が発生する。徳山市街地は焦土と化すが、当駅舎は奇跡的に被害を免れ、1968年(昭和43年)の新駅舎着工まで使用された。[6][7]
- 1965年(昭和40年)9月24日:みどりの窓口営業開始。
- 1968年(昭和43年)5月:徳山ステーションビル(以下、徳山駅ビル)着工。この工事中、戦後に出来た駅前の公園は姿を消し、仮駅舎が建てられた[8]。
- 1969年(昭和44年)9月:徳山駅ビル完成、在来線駅舎として使用開始(商業部分の開業は10月)。徳山駅ビルの建物完成と共に仮駅舎は解体され、タクシー、一般車の駐車場とバス停が整備された[8]。
- 1972年(昭和47年)4月1日:旅行センター開業[9][10]。
- 1975年(昭和50年)3月10日:山陽新幹線の岡山駅 - 博多駅間延伸により、同線の停車駅となる[11]。
- 1985年(昭和60年)3月14日:貨物(専用線発着車扱貨物)の取扱を廃止[1]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道(JR西日本)の駅となる[1][12]。
- 2003年(平成15年)10月1日:「のぞみ」停車駅となる。
- 2005年(平成17年)2月19日:山陽新幹線連絡改札口に自動改札機を導入。
- 2009年(平成21年)8月29日:EX-IC専用読取機を両改札口に設置。
- 2013年(平成25年)5月27日:5番のりばを廃止。バリアフリー対応の跨線橋の使用を開始。
- 2014年(平成26年)9月6日:在来線の新駅舎(橋上駅)および徳山駅南北自由通路の利用開始[13]。新幹線駅舎に新幹線改札口を設置。
- 2016年(平成28年)
- 2020年(令和2年)12月12日:WEST EXPRESS 銀河停車開始[15]。
- 2022年(令和4年)3月12日:在来線岩国方面でICカード「ICOCA」の利用が可能となる[16][17]。在来線改札口に自動改札機を設置[17]。
- 2023年(令和5年)4月1日:在来線下関方面でICカード「ICOCA」の利用が可能となる[18][19]。
駅構造
在来線が橋上駅舎を有する[13]地上駅、新幹線が高架駅となっている。在来線・新幹線とも線路が東西に延び、在来線駅舎のすぐ南に新幹線駅舎がある。各駅舎へのアクセスは、駅の南北を結ぶ徳山駅南北自由通路(旧徳山町出身の詩人・まど・みちおの代表作にちなんだ『ぞうさんのさんぽみち』の愛称を持つ)を利用する。北側出入口を「みゆき口」、新幹線駅出入口(南側出入口)を「みなと口」と称する。
在来線
プラットホームは島式1面・単式1面の2面3線を有する。欠番となっている2番線は上り貨物待避線で、3・4番のりばが島式となっている。かつてはその奥に5番のりばがあったが現在は撤去されている。 各ホームは橋上駅舎で結ばれている。改札口(在来線口)と、新幹線駅舎への連絡通路・乗換改札を有する。
山陽新幹線開業前には山陽本線で運行されていた特別急行列車・急行列車の大多数が停車していた。この名残で、倉敷駅 - 門司駅間を走る在来線優等列車が全廃した21世紀初頭の現在でもプラットホームにはかつて運行された列車の号車案内が記されている[20]。
- 1番のりば新南陽側:「しおじ」「はと」「つばめ」「月光」「みどり」「つくし3号」「音戸」「あかつき」「みずほ」「さくら」「あさかぜ」
- 3番のりば:「長州」「ながと」
- 4番のりば櫛ケ浜側先端:「かもめ」
2014年[注釈 1]9月6日より、列車到着に合わせて、旧徳山町出身の詩人・まど・みちおが作詞した童謡が流れるようになっている(上り方面は「ぞうさん」、下り方面は「一年生になったら」)[13][21]。
のりば
のりば | 路線 | 方向 | 行先 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | ■山陽本線 | 上り | 柳井・岩国方面[22] | |
3 | ■岩徳線 | - | 周防花岡・高水方面[22] | |
■山陽本線 | 下り | 防府・新山口方面[22] | 一部列車のみ | |
4 |
- 付記事項
- このほか、1・3番のりばの間にはホームのない中線(2番線)があり、貨物停止線・通過列車待避線として使われている。
- 3番のりばは基本的に岩徳線列車の折り返しに使われるが、山陽本線の当駅止まりの列車や当駅始発の列車の発着に使われることもあり、4番のりばとの併用で、当駅で系統分断となる一部の下り普通列車の同一ホーム上での乗換にも活用される。上下両方向の発着に対応している。2011年以前は山陽本線の上りの当駅発着列車が設定されていた。
- 4番のりばは山陽本線の下り列車の発着のほか、一部の岩徳線列車の降車ホームとされている(閉鎖された5番のりばの役割を譲り受けた形である)。
- かつて4番のりばの南側に単式ホームがもう1面あり、5番のりばまで存在したが、駅舎橋上化工事に併せて廃止された[23]。現在は貨物列車の待避線として使用される。
新幹線
新幹線駅は3階建て。高架下の2階部分にみどりの窓口、みどりの券売機および改札口(新幹線口)、在来線駅舎への連絡通路・乗換改札を有する。1階は出入口と団体待合室、駅レンタカー事務所。ホーム部分を含む駅舎の南側には徳山下松港(徳山港)が広がり、新幹線プラットホームからは臨海部に広がるコンビナート群を眺めることができる。
16両編成対応(ホーム長410 m)の相対式ホーム2面2線(内側に上下通過線を挟む)の高架ホーム[24]。カーブ半径が 1,600 m と厳しく[25]、通過列車は速度を185 km/hまで下げ通過をする(2017年2月に行われた山陽新幹線のデジタルATC化以前はアナログATCによる制限を受けていた為、170 km/hまで減速を強いられていた)。停車する列車は車体がカーブに沿って傾いた状態となる[26]。ホームのさらに外側には保守用車留置線が備えられている[24]。
のりば
のりば | 路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|---|
6 | 山陽新幹線 | 上り | 広島・新大阪方面[22] |
7 | 下り | 博多・鹿児島中央方面[22] |
注釈
出典
- ^ a b c d e 石野 1998, p. 232.
- ^ a b 『徳山管理駅 列車事故対応総合訓練の実施』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2020年1月6日 。
- ^ “徳山駅|駅情報:JRおでかけネット”. 西日本旅客鉄道. 2023年3月26日閲覧。
- ^ データで見るJR西日本2018 - 西日本旅客鉄道 p.94
- ^ 日本国有鉄道旅客局(1984)『鉄道・航路旅客運賃・料金算出表 昭和59年4月20日現行』。
- ^ a b 写真アルバム 周南・下松・光の昭和 樹林社 195頁
- ^ “中尾 亮学さん|証言|NHK 戦争証言アーカイブス”. 2018年3月6日閲覧。
- ^ a b 写真アルバム 周南・下松・光の昭和 樹林社 196頁
- ^ 交通年鑑昭和48年度内「交通日誌」
- ^ 「徳山駅に旅行センター」『交通新聞』交通協力会、1972年1月30日、3面。
- ^ 石野 1998, p. 238.
- ^ 石野 1998, p. 239.
- ^ a b c d 井上秀人(2014年9月7日). “JR徳山駅:南北自由通路、在来線口の橋上駅舎が完成 列車の到着音、まどさんの童謡に”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
- ^ 徳山駅ビル解体工事の進捗状況について - 周南市、2016年5月31日閲覧。
- ^ 「WEST EXPRESS 銀河」山陽方面への運行詳細
- ^ 『山陽線南岩国駅から徳山駅間のICOCAサービス開始日について』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2021年12月17日。 オリジナルの2021年12月17日時点におけるアーカイブ 。2021年12月17日閲覧。
- ^ a b “ICOCAエリア拡大 JR山陽線藤生-徳山間”. 山口新聞 (みなと山口合同新聞社). (2022年3月13日). オリジナルの2022年3月15日時点におけるアーカイブ。 2022年3月15日閲覧。
- ^ 『在来線(山口エリア)および山陽新幹線でのICカードサービス拡大 〜2023年4月1日(土)スタート!〜』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2022年12月21日。 オリジナルの2022年12月21日時点におけるアーカイブ 。2022年12月21日閲覧。
- ^ 『2023年春 山口県内のICOCAエリアを拡大します! 〜ICOCAが山陽線徳山〜下関駅間で利用可能になります〜』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2022年2月9日。 オリジナルの2022年2月9日時点におけるアーカイブ 。2022年3月11日閲覧。
- ^ 草町義和 (2019年7月18日). “「みどり」「しおじ」…在来線ホームに謎の暗号? 徳山駅に残る新幹線開業前の痕跡”. 乗りものニュース. 2020年5月2日閲覧。
- ^ まどさん童謡流れるホーム - 読売新聞 - 2014年9月8日閲覧
- ^ a b c d e “徳山駅|構内図:JRおでかけネット”. 西日本旅客鉄道. 2023年3月26日閲覧。
- ^ 徳山駅周辺整備全体イメージ (PDF) - 2020年5月2日閲覧
- ^ a b 国鉄新幹線建設局 1977, p. 408.
- ^ 国鉄新幹線建設局 1977, p. 404.
- ^ 東海道新幹線熱海駅も同様である。
- ^ フグ弁当で徳山に福呼びたい 料理店が駅で販売中(朝日新聞、2011年1月28日) - 2012年2月26日閲覧
- ^ “山口唯一の駅弁撤退、「小郡駅弁当」4月末で”. 読売新聞西部本社. (2015年4月30日) 2015年5月8日閲覧。
- ^ 蓬田正志 (2015年5月2日). “駅弁:山口の味消えず 「ふく寿司」「SL弁当」販売継続 広島駅弁当がレシピ継承”. 毎日新聞山口版 2015年5月8日閲覧。
- ^ 山口県統計年鑑 - 山口県
- ^ 山口県統計年鑑 平成6年刊 JR旅客及び貨物輸送実績、158頁、山口県企画部統計課、1996年
- ^ “三菱UFJ銀、徳山支店を閉鎖へ 2023年2月”. 中国新聞 (2022年10月27日). 2022年10月27日閲覧。
- ^ “周南市まちづくり総合計画 実施計画”. 周南市 (2017年5月10日). 2017年10月8日閲覧。
- ^ 徳山駅周辺整備構想 (2005年2月策定) - 2012年2月26日閲覧
- ^ a b c d e 徳山駅北口駅前広場、南口駅前広場及び南北自由通路 基本計画 平成21年12月 (PDF) - 2012年2月26日閲覧
- ^ 新たな徳山駅ビル整備基本構想を策定しました - 2014年4月19日閲覧
- ^ 周南市議会会議録 令和3年3月 第2回定例会-02月22日-01号
- ^ “徳山駅北口駅前広場完成記念式典”. 周南市 (2019年11月6日). 2021年7月19日閲覧。
- ^ “広報しゅうなん令和3年3月15日号”. 周南市 (2021年3月15日). 2021年7月19日閲覧。
- ^ 徳山駅前バスのりば及び降車場の移動について (PDF) - 防長交通2019年10月
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