トポス (ディスカウントストア) 概要

トポス (ディスカウントストア)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/19 08:09 UTC 版)

概要

トポス尼崎店(2010年2月閉店。建物は現存し、2020年2月時点ではスーパー玉出尼崎店が入居)
阪神・淡路大震災で店舗が倒壊し、閉店となった東山店(神戸市)
最後のトポス北千住店完全閉店の様子。店員による最後の挨拶を終え、押し寄せた客からは大きな拍手が沸き上がっている。

1970年代後半から日本では物不足がなくなっていき、単に商品を棚や店頭に並べただけでは売れなくなっていった。そこでダイエーは、ディスカウント業態への参入を決定した。1970年代末から1980年代初頭にかけて、トポスDマートビッグ・エーのディスカウント業態が開始されている。

このうち「トポス」は都市型業態として、ダイエーの既存店舗のうち、駅前や商店街に出店する多階層で駐車場の少ない店舗や、ダイエーの近隣店舗と差別化すべき店舗を対象として業態転換していった。トポス1号店は1980年3月1日に開店した岡山県の柳川店(旧:ダイエー柳川店)で、柳川店は1978年11月に近くの岡山駅前に開店したダイエー岡山店(2005年11月30日閉鎖)との競合を避ける狙いがあった。

業態転換後の初年度売上伸び率は驚異的で、1号店の柳川店を出店した1980年には1兆円の売上を達成、1987年3月転換の藤沢店(神奈川県)は2.3倍(59億円→134億円)となり、転換後3、4年で転換前の2、3倍になる店舗も少なくなかった。例として柳川店、徳山店、福山店、町田店が挙げられる。

店舗の特徴は、当初は倉庫型で段ボールに商品を積み什器を極力使わなかったほか、店内のカラースキームを黄色と黒の2色に統一、買物袋は有料(1枚5円。後に10円)、営業時間は一部店舗を除き午前11時 - 午後7時(1990年代前半まで)とダイエーのGMSより1 - 2時間短く設定した。また当時グループ企業だったOMCカード以外のクレジットカードは使用不可とした。これらによりローコストオペレーションを実施した。

しかし1990年頃から売上が低迷し、駐車場の少なさや店舗の老朽化も相まって順次店舗を閉鎖した。この売上低迷は、2 - 3割安い商品を無理して買い付け、商品の品質を落としていたことが原因とされる。そのため、1991年から1992年にかけて新規出店を停止し、当時の副社長であった中内潤をリーダーとしてディスカウントストア (DS) への意識改革を進めていった。1992年に鶴見店と高槻店で商品の総合スーパー (GMS) からの絞込み仕入れ方式による営業実験を行ったところ、効果が絶大であったため、トポス全店でオペレーションの見直しを行った。この商品の絞込み仕入れによる商品の選定のほか、インテリア部門の3 - 4割カットを行った[1][2]

展開末期には売上低迷による商品構成の見直しにより、ダイエーと同様のゼネラルマーチャンダイズストア(GMS)となったため、看板やチラシからはディスカウントストアの表記が消されていたが、ダイエーグループ商品券の説明(2012年時点)ではディスカウントストアと表記[3]されていた。

2005年12月1日、ダイエーのシンボルマーク(社章)変更に伴う合理化策の一環として、2007年までにトポス全店をダイエーへ業態転換する予定であった。2006年に入り、立川店東京都立川市。2014年2月28日閉店)、藤沢店(神奈川県藤沢市。2010年閉店→建て替え→2011年営業再開)、古川橋店(大阪府門真市。2010年3月31日閉店)、西新店福岡県福岡市早良区。2016年5月31日閉店)[注釈 1]がダイエーに業態転換し、開店当初のダイエー店舗に戻った。一方で野毛店(神奈川県横浜市。2007年1月7日閉店)、鶴見店(神奈川県横浜市。2008年4月30日閉店)、尼崎店(兵庫県尼崎市。2010年2月28日閉店)はダイエーへ転換せずトポスのまま閉店している。

最後の店舗であった北千住店東京都足立区)が、2016年11月14日をもって閉店[4]。これにより、36年続いたトポスブランドは消滅した。

トポスの展開終了後も、売上が減少した既存店舗をディスカウント業態へ転換するというスタイルは他社へ波及し、競合企業のイトーヨーカ堂セブン&アイ・ホールディングスグループ)が2008年から「ザ・プライス」としてディスカウント業態に本格参入している。

派生ブランド

トポスはダイエー内のみならず、他会社に技術やノウハウを付与し、多数の会社でディスカウントストア業態を開花させる役割も担った。[要出典]

  • ニューセイフー(セイフー
    • トポスのノウハウにより展開させていたブランド。
  • ショッカー(十字屋
    • こちらもトポスのノウハウを提供され展開していたブランド。

注釈

  1. ^ 西新店はユニードからトポスに業態変更した店舗である。

出典

  1. ^ “ダイエー トポスの見直し GMSから仕入れ商品数大幅カット”. 日経流通新聞. (1992年9月10日) 
  2. ^ 岩淵明男『ダイエー 中内功の物価2分の1革命』オーエス出版社、67-73頁。
  3. ^ 商品券”. ダイエー. 2012年5月1日閲覧。[出典無効]
  4. ^ a b “日本最後の「TOPOS」北千住店閉店へ 地域住民からの感謝の声”. 足立経済新聞. (2016年11月2日). http://adachi.keizai.biz/headline/288/ 2016年11月2日閲覧。 





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