νガンダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/15 00:53 UTC 版)
設定解説
νガンダム NU GUNDAM / ν GUNDAM | |
---|---|
型式番号 | RX-93 |
全高 | 23.0m[11] / 24.2m[要出典] |
頭頂高 | 22m[12] |
本体重量 | 27.9t[12] |
全備重量 | 63.0t[13] |
装甲材質 | ガンダリウム合金[12] |
出力 | 2,980kW[12] |
推力 | 18,300kg×4[12] 12,300kg×2[12] 総推力:97,800kg[11] |
センサー 有効半径 |
21,300m[12] |
武装 | ビーム・ライフル グレネードランチャー ビーム・サーベル×2 バルカン砲×2 ニュー・ハイパー・バズーカ シールド (ビーム・キャノン、ミサイル×4) フィン・ファンネル×6 |
搭乗者 | アムロ・レイ |
その他 | アポジモーター×26[12] |
製造過程
在来機種ではネオ・ジオン軍に対抗しきれないことから、ロンド・ベル隊の要請を受けた地球連邦軍が発注した[12]。 ブライト・ノアが宇宙に上がる際の手土産という形で、地球連邦政府が置かれているチベットのラサから開発資金を捻出させた。そして製造場所として、補給関係の重鎮であるジョン・バウアーからの紹介でアナハイム・エレクトロニクスのフォン・ブラウン工場を確保した[14]。
U.C.0093年ロールアウト[15]。アナハイム社の組立工場では、νガンダムの各部の試作のための工作機械が稼働していた。基本作業は、金属を使わない加工と組立作業が中心で、研磨など騒音が出る作業や危険な化学薬品を使う作業を含めて隔離されたブース内でロボットによっておこなわれた[16]。Ζガンダム製造当時の基本設計があったために工具の半分以上は流用可能で[注 6]、
アムロが初めてアナハイム社に視察に訪れた際、νガンダムの製造準備がかなり進んでいたのは、ブライトとラサで指揮をとったバウアーの力である。アムロの提案をどの程度組み込むかというレベルでかなりの討論があったものの、まったく新しいタイプの
機体設計
設計にはロンド・ベル所属のアムロも参加[12]。連邦軍側の開発プロジェクト主導者は同部隊所属のチェーン・アギ准尉[20]。アナハイム社側の開発責任者はオクトバー・サラン[20]。それまでアナハイムが開発を進めて来た20m超級の大型機体フレームに高出力ジェネレーターを搭載、サイコミュ兵器を含む様々な武装オプションに余裕を持たせた大型非可変試作MSであるRX-9x系の流れを汲んでいる[21]。その為、基礎設計自体はブライトがロンドベル艦隊司令に復職したU.C.0092年12月末時点でほぼ固まっており[22]、その図面を見たアムロの意見によりサイコミュ関連の仕様策定、メンテナンス性と拡張性を与える為のユニット構造、それに伴う装甲の形状変更などが行われて、操作系にサイコミュを導入、新型の無線誘導攻撃端末であるフィンファンネルを装備させ、第四世代MSとして開発が進められた[22]。
小説版(『ハイ・ストリーマー』)では、チェーンはアムロに、これまでのガンダム系
『ガンダム・センチネル』の「アナハイム・ガンダム開発一覧表」では、本機の機体名の "ν" はアナハイム社内の開発コードとされ、「γガンダム(リック・ディアス)」から数えて11番目の「アナハイム・ガンダム」とされている[26]。
アナハイム社が培ってきた
サイコミュの搭載
「敵の脳波をサイコミュで強化し受信すればこちらの対応が早くなる」というアムロのアイデアにより、コックピット・シート後方に収束型感応波トランスミッター/レシーバー[35]であるサイコミュ受信パックを備える [36]。またインコムも備える[37]。関節駆動系のフィールドモーターや制御系には制御用のバイオセンサーとサイコミュチップを併設しており操縦者のニュータイプ能力が低い場合は前者、高い場合は後者が作動するハイブリッド仕様となっている[38]。
サイコフレームの導入
「シャアの反乱」においてシャアが5thルナを地球に落とし始めたことで戦況が激変し、アナハイム社は本機の納期を10日も繰り上げさせられる。その影響で、チェーンに事前通知もなくサイコフレームへの換装がおこなわれる。機体重量が3kg減った原因を怒りながら問い質すチェーンに、オクトバーは「強度は上がっているから絶対危険ではない」と返答する。 当初は、サイコフレームはアムロが提案した「敵の脳波をサイコミュで強化し、受信することで対応を早める」アイデアをヒントとし、材料開発部門が「フレームのなかに同じ性能を持つものを内蔵した」とオクトバーの口頭によって説明される。「金属粒子並の大きさのコンピューター・チップがフレームに封じ込められている」ということで、オクトバーがアムロとチェーンに見せた図面では搭載されている箇所を赤く点滅させており、それはコックピット周辺のフレームのみだった。ただ、この技術は材料開発部門から流れてきたとのことで、オクトバーもこの技術の出自を把握しておらず、それもあってチェーンは「部隊に帰ってからもフレームのテストを行いたい」と提案する。 のちにオクトバーの手紙によりネオ・ジオンから流出した技術であることがチェーンに伝えられる。アクシズでの最終決戦において、シャアは本機に採用されたサイコフレームの技術をわざと連邦側に流したことを語る。
サイコフレームはナノレベルのサイコミュチップが装甲材内で有機的に連結する事で一種の演算装置として機能する事までは解析されたものの、その全容は未解明であったがフィンファンネルの制御用として本機に実装された。しかし実際の効果はそれだけにとどまらず、サイコミュの感応波のインプット/アウトプットに関してパイロットの要求に応じる流れで情報処理される性質を有し、特に敵機パイロットがニュータイプの場合、その接近や脅威に対し警戒を促す装置としても役立ち、現実の戦闘ではそれが自動迎撃システムとしても機能しており、結果的にサイコフレームはフィンファンネルの操作を含め、νガンダムの攻撃・防御システムの中核となった[39]。
この当時のサイコフレームはフレームと称しながらも、まだ装甲材としては強度が不十分で容積制限の関係上、強度アップの為に単純に厚みを増やすわけにはいかず、折り曲げや肉抜きといった複雑な加工を経て必要強度を得ており、その結果コックピット外郭は3kgの重量軽減という軽量化を達成しながらも、さらなる強度向上も達成したワンオフ設計となっている[40]。
ただし、本機に搭載されたサイコフレームの配置は媒体によって一定ではなく、コックピット周辺のフレームのみに採用したとする資料[41]、従来型ムーバブル・フレームにもコンピューター・チップを封じ込め、駆動系に直接パイロットの脳波を伝達可能とした資料[42]が存在するほか、コックピット周辺および機体各所に分散配置し、νガンダムの機体レスポンスとサイコミュシステムの向上がなされたとする資料[43]、駆動系にもサイコフレームを搭載したとする資料[44]、アナハイムの社内規格基準では当時のサイコフレームはフレーム構造材として採用するには構造強度保証値が不十分で、例えアムロの言であっても適応できず、コックピック外郭部のみに採用しながらも駆動系や制御系にはバイオセンサーと並行し(フレーム素材に鋳込んではいないが)同系統のサイコミュチップを内蔵、各駆動モーターを制御してレスポンス性能を向上させているとする資料[38]が存在する。
劇中でオクトバーがチェーンに宛てた英文の手紙の中では「私は直ぐにその新素材の価値を認め、νガンダムとそのジェネラル・サイココミュニケーションにそれを使用した。そして宇宙空間にいる人間を探し出す能力が向上するだろう(I immediately recognized the new materials value, so I used it for "ν", and "ν" 's general psycocommunication and its ability to look for a human in space will be increased.)」 とサイコフレーム導入とその理由(宇宙空間においての索敵能力が強化されると考えた為)について言及している。
武装
- バルカン砲
- 作動の確実性を考慮し薬莢方式を採用しており[15]、射撃と同時に空薬莢が頭部側面より排出される。基本的にはミサイルやグレネードなどへの迎撃や牽制用に用いられるが、劇中ではギラ・ドーガ2機の頭部を続けて吹き飛ばす、パワーダウン状態ながらもサザビーの腹部メガ粒子砲を押し留めるといった威力を備えており、アムロ・レイの技量もあって対
MS 戦においても十分な効果を発揮する。口径の設定は一定しておらず、60ミリとする資料[26]、90ミリとする資料が[23]見られるが、後者は薬莢径を誤表記したという考察もある[45]。 - ビーム・ライフル
- 型式番号:XBR-M92[46]
- エネルギーCAP方式のライフル[37]。出力3.8メガワット[12]、最大出力時は4.5メガワット[47]。銃口の上にはグレネードランチャーが存在するとした資料[48]、ナロウセンサーとする資料が存在する[23]。『マスターアーカイブ』では本来は防御用の高輝度閃光弾を発射することを想定して設置され、また独立した照準装置も装備する予定であったとされている[47]。尚、劇中においてグレネードランチャーは使用されていない。主流であったEパック(マガジン)の携帯は重力下でのMS運用に不都合が多く、AE社の一部開発陣によってE-CAP式の見直しが図られ、その研究過程で開発された大容量高圧縮の新型試作CAPを採用しており[46]かなりの弾数を発射し続けながらもサザビーによって破壊されるまでエネルギー不足になることはなかった。サブグリップやマウントパーツはないが、α・アジールのファンネルを撃ち落とす際には上部のキャリングハンドルを左手で掴むことにより、安定した射撃姿勢を取る運用も見られた。
- バースト・セレクターの切り替えによってマシンガンのような連射に切り替え可能[48]で、最大出力ならば同時期における戦艦の主砲レベルの威力を発揮する[17][注 9]。威力もさることながらビーム収束率と射撃精度が高く遠距離狙撃能力に秀でており、劇中ではレズンのギラ・ドーガとジェガンの間を長距離からピンポイントに狙い撃つことで両機を引き離しケーラ機を救っている。続けて牽制を行い、そのビームの高威力からレズンが敵艦から狙撃を受けたと勘違いする描写がある。
- フィン・ファンネル
- 型式番号:AEV/PFF93AR[49]
- 本機を代表する新装備で板状の収納形態で左背面に6基連結し装備される。攻撃時には折れ曲がり、コの字型に変形した「アタックポジション[50]」となる事によって2枚のジェネレーターアームがアクセラレーティングベルト(加速体)として機能し、その間に[12]磁気フィールド[12](Iフィールド[23])を発生、メガ粒子を発振・加速させてビームを発射するという、解放型のメガ粒子加速器を備えている[51][12]。出力3メガワットで[49]、1回のチャージで7発のビームを発射可能[49]。使用時間に制約のあったチャージ式の従来型ファンネルの弱点を克服すべく、内部に小型宇宙艇に開発・利用されていたものを改良した[52]小型の熱核反応炉(ジェネレーター)を内蔵したことで極めて短期間で実用化された[53][23][54]。よって本来ならビットの一種としてカテゴライズされ[フィン・ビット]と呼称すべき武装であり、要求に見合う機能を導入する事を優先し大型化を度外視して開発した結果、運用可能時間の延長と「一撃による効果を可能な限り多くする」ことを目的とした高出力ビーム砲の搭載を両立している[52]。配備が遅れロンデニオンに入港してから受領し以降の戦闘で装備された。生産難易度も高くアナハイムは当初3基ないし4基を装備・出撃し、残りを予備として温存する事を想定していたがアムロは全基を投入した[53]。ヤクト・ドーガのビーム・ライフルを縦方向から打ち消し、防御にも転用できるほど従来のファンネルよりビームが強力となっている[15]。またファンネル各部にスラスターを内蔵する[48]と同時に変形機構自体が
AMBAC としても機能する為、推進剤を消費を低減し稼働時間を延伸している[51]。その継戦時間はヤクト・ドーガなどの小型ファンネルを圧倒的に上回り、劇中ギュネイが「なんであんなにファンネルがもつんだ」と驚愕するほどの継戦能力を誇る。最初の出撃時には調整が十分ではなくアムロの防御本能に対して、ファンネルが敏感過ぎてストレートに防御に働いてしまうが調整後は攻守共に優れた能力を発揮。劇中、ケーラの死に動揺しアムロの戦闘意志が反映されないままの初回での運用ではギュネイに容易に撃ち落とされたが、以降はサザビー戦を除き、一方的に敵ファンネルを撃ち落とす圧倒的な強さを見せた。さらには5基のファンネルを頂点として四角錐型の対ビーム・バリアー(Iフィールドの発展技術)を張ることもでき[55]、これによって機体の全周囲にビーム障壁による防御シールドを展開する[注 10]。さらに展開したフィールド内に敵機のファンネルが入り込んだ際、サイコ・ウェーブの干渉によって敵パイロットに生理的ダメージを与える現象が生じている[51]。劇中では撃墜の危機を直前に察知したアムロがフィン・ファンネルを集結させて防御シールドを展開、敵ファンネルのビームから機体を守りつつ、バリアー内部からシールドのビームキャノンで応戦し、次々に敵ファンネルを撃破し活路を切り開いた。なお、機能が複雑化しているため、アムロの技量がなければ制御は行えない[37]。コックピットの全周囲モニターには機体に装着した状態で表示される。 - その形状(ネオ・ジオンのそれらとは大きく異なる板状)から、ギュネイ・ガスには未展開の状態において放熱板と誤認される。総じて多機能・高性能な兵装だが、大型化によってサイコミュ兵器の長所である隠匿性は低下している[56]。また、νガンダムが正規の工期を繰りあげて戦場に投入された影響で、一度放出したフィン・ファンネルを機体に戻すことができず、実質的に使い捨てとなってしまっている[57]。
- 『逆襲のシャア』の公開当時になかった追加設定としては、シルヴァ・バレト(ファンネル試験型)や、ガンダムデルタカイのファンネルを経て完成したという点が挙げられる[58]。また、ROBOT魂のνガンダムのフィン・ファンネルセットまた拡張フルセットには、Hi-νガンダムと同様に装備できるファンネルラックが存在する。さらに、実物大νガンダム立像では新装備として「ロングレンジ・フィン・ファンネル」が設定された(詳細は設定解説 (RX-93ff)を参照)。
- カスタム・ビーム・サーベル
- 型式番号:A・E-BLASH XB-G-51/L[46]
- AEブラッシュ製。バックパック右側に装備されたメインのサーベル(カスタム・ビームサーベル)。出力0.85メガワット[12]。AEが次世代デバイスとして研究中であった「ハイエネルギータイプ」のプロトタイプで収縮式グリップにより確実にグリップ出来るように改良されている[59]。ビーム刃形成のIフィールド展開用メカから起倒型の鍔を持った形状をしており[47]ビーム刃の形状も曲刀状となっているほか、グリップエンドからも短い刃を発し、一種の隠し武器としても機能する[59]。次世代型の増幅装置やエミッターを用いて[47]ビーム形状をある程度変更することもできる[17]。また、当時のMSにおいて一般的だった、斬りかかる際のみにビームが出るオートパワーオン機構を採用しており[15]、無駄なエネルギーの消費を抑えている。バックパック右側面にある回転式マウントにより抜刀しやすい最短の角度に配置できる為、初太刀までの時間が短縮され、アムロ級なら敵機を0.3秒で両断できる[59]。劇中ではサザビーの大型ビーム・サーベルのパワーを上回り、斬り合いで押されたシャアが悔しがる様子が描かれている。
- 予備ビーム・サーベル[17]
- 左腕シールドマウント基部に装備。デバイスとしては一般的なもので[17]、連邦軍標準仕様の内部構造を流用しているが筐体は本機に合わせたカスタム品で[38]メインのサーベルよりも出力は低い。両腕の構造は左右対称なので固定用のサーベルシースは構造的には右腕にも増設可能[60]。
- ニュー・ハイパー・バズーカ
- 型式番号:H-Baz-92-A・E/Ver.023[46]
- 口径280ミリの実弾バズーカ[17]。固定弾倉式で最大装弾数は5発(弾倉内4発、発射室に1発)だがオープンシェルフ型で随時の追加装填が可能[61]。砲身先端部には照準用のレーザーセンサーを備える[12]。連邦製MS用の武装としては一般的で従来型のハイパーバズーカと基本構造に変化はないが軽量化のため小口径化された[61]。しかし本機の弾頭はガンダリウム合金の厚皮皮膜層で覆い侵徹効果を高め、さらに推進剤の性能向上と追尾センサーの強化により[61]有効射程の向上や破壊力の面で改良が施されている[23]。サイコミュチップを発射指示コンピューターに内蔵しており操縦者の感応波で遠隔操作も可能[61]。マウント位置は従来の腰部背面に横置きではなくバックパックの中央に垂直にマウントし、その状態からでも発射可能。機体の向きを急反転させながらヤクト・ドーガに砲身を向けシールドを破壊したり、後方から追撃してくるα・アジールをけん制するなど、劇中でも度々意表を突く戦術として利用した。またνガンダム本体から切り離した状態であってもコックピット内のワイヤーガンを使った有線操作で発射でき[37]、劇中ではバズーカを棄て去ったと見せかけ、サザビーの虚を突いて発射、シャアの回避反応により機体への直撃こそ避けられたがシールドの破壊に成功している。また対ヤクト・ドーガ戦ではシールドと共に破棄したように見せて囮として使用し、一瞬混乱したギュネイの隙を見て撃破している(照準センサーは作動しているように見え、瞬時にビームライフルと挟み撃ちにしたとも捉えられる)。同様の火器のスケールダウン品を、宇宙世紀0150年代が舞台のアニメ『機動戦士Vガンダム』第34話にてリガ・ミリティア所属MSが使用している。
- ハイブリッド・シールド[46]
- 型式番号:RX・M-Sh-WR/U-035[46]
- 裏面にビームキャノン1門(出力7.8メガワット[12])と小型の通常誘導ミサイル4発[61]装備。ビームキャノンは独自に稼動用熱核ジェネレーターを備えており、一年戦争時に使用されていたビームライフル程度の威力を持っている[17]。宇宙世紀0093年時の装甲材でもIフィールド無しではビームを完全に無効化することは不可能なので、この武器でもMSを撃墜することは可能。しかし一方で本装備の高い出力値から艦砲に匹敵するという資料もある[61]。連射性にも優れており劇中ではヤクト・ドーガやα・アジールのファンネルを撃ち落とす際に使用した。裏面にグリップはなく、マウントパーツによって左腕に装着する。シールド表面に描かれた一角獣をモチーフとしたマーキングはアムロのパーソナルマークであり、νガンダムの左肩にはα字状の同種のパーソナルマーク(一角獣のモチーフはなくAをデザイン化したもの)が描かれている。
- その他
- マニピュレーターにはグリプス戦役時のMSと同様にダミー発射機やトリモチランチャーを内蔵。ライフルを破壊された直後、指先を開き4発のダミーを放出、機雷を警戒したサザビーの動きが一瞬止まったところを斬り込みライフルを破壊するという形で活用している。またサザビーの脱出ポッドを捕獲する際にトリモチを用いている。この他、敵味方どちらもAE製でユニバーサル仕様である事を利用し、一般機仕様のギラ・ドーガを撃墜しながらビーム・マシンガンを奪い取り一時的に使用している。
劇中での活躍
映画冒頭、フォン・ブラウン工場にて上半身と下半身が分かれた状態で登場。上半身は装甲が外された状態で、機体各部に仮止めのテープが貼られている。頭部は黄色いシートが被されており、チェーンがそれを外すとこちらも仮止めのテープが貼られており、ツインアイ部分は白いシートで抑えられている。
ネオ・ジオンの第二波は来ないと推測したアムロは、スウィート・ウォーターに入る前のシャアを叩くため、本機を受領しに月のフォン・ブラウン工場へ赴いた。その時には本機は上半身と下半身は接合された状態で胸部と左足のみ装甲が付けられたまま、6人のアナハイム社のスタッフによって整備されていた。コクピット内部はこの状態でもモニターをつけることが可能で、シートの後方に設置されたサイコミュの受信パックの確認作業がアムロにより行われる。アムロは本機をすぐにでも持って帰ろうとするが、「実戦装備にあと3日は必要だ」とオクトバーは制止する。しかし、アムロはその提案を拒否する。
機体各部に全て装甲が取り付けられた状態で、コックピット内でサイコミュ受信の調整をしているアムロの元に、シャアの第二波が迫っているとの手紙が届き、至急ロンド・ベルに帰投するよう命令が下された。作業を手伝っていたアナハイムのスタッフに「でも まだ終わっちゃ…」と言われるも、アムロの手によりサイコミュの調整は途中で切り上げられた。機体に「火を入れる」と言うアムロにチェーンは反対するが、ブースターベッドとマスドライバーの手配をするようアムロから頼まれ了承する。出撃直前、オクトバーは「やめて下さい、間に合いはしません!」とアムロを思い留まらせようとするが、パイロットスーツを着たチェーンが入って来たことで説得を諦める。この際にはコックピットにはチェーンのために前部に簡易的な補助席が設けられている。フィン・ファンネルは未装備の状態でブースター・ベッドに乗せられ、ラー・カイラムのもとへマスドライバーで発射される。
射出後しばらくしてアムロは月、地球、カペラ、ヴェガ、太陽の座標から現在地を確認。打ち上げ時にかかったGで気絶したチェーンもようやく目を覚ました頃、既に前方ではロンド・ベルとネオ・ジオンの艦隊戦が始まっており、肉眼でも戦闘による光芒が見て取れた。チェーンはシートベルトを外して戦闘の邪魔にならないようシート背部に退避した。シャアのロンデニオン潜入の陽動として展開したネオ・ジオン軍部隊を指揮するレズンのギラ・ドーガがケーラ機のジェガンを撃墜する直前、本機が遠方からビーム・ライフルを最大出力で発射し、この威力を艦砲射撃と誤認したレズンたちネオ・ジオン軍は撤退する。
のちフィン・ファンネルが届けられ、ラー・カイラム内で戦闘の合間をぬって調整が続けられる。
地球寒冷化作戦阻止のためロンド・ベルがアクシズへの核攻撃を遂行した際には第二波として出撃。ネオ・ジオンの
アクシズ破壊のため三段構えの作戦を立てたロンド・ベルは再度攻撃を開始。クェス・パラヤの意志を感じたアムロは彼女の搭乗するα・アジールと、その護衛として随伴していたギュネイのヤクト・ドーガらと交戦。2機の高性能機とギラ・ドーガ部隊を相手に互角以上に戦った。 α・アジールとヤクト・ドーガ、その二機によるファンネルの同時攻撃により、アムロが「やられる!」と口に出す位の殺気を感じたと同時に、フィン・ ファンネルにより展開されたバリアーで防ぐ。α・アジールの背後を取ったνガンダムはそのまま撃墜しようと試みるが、死角からヤクト・ドーガの攻撃を喰らいシールドの上部を破損、機会を逃す。この時、破損したシールドと同時にバズーカも手放すが、バズーカの砲身に一瞬意識を奪われたギュネイの隙を見逃さず、ビームライフルを一射、ヤクト・ドーガを撃墜した。そして、破損したシールドをその場に残して、バズーカだけを回収しアクシズを破壊するため戦場の奥地へと急行した。
本機はアクシズに取り付くが、アムロと決着をつけるため待っていたシャアのサザビーと最後の戦いを行うことになる。二人の実力は伯仲しており、徐々に互いの武器を失って行く中、残ったビームサーベル戦での鍔迫り合いにおいてサザビーのビームサーベル相手に優勢を取り、サーベルを持つ左アームを叩き斬る。本機もサーベルを蹴られ失うが、互いに武装を失ったため格闘戦にもつれこみ、連続パンチやキックにより圧倒する。シャアを重んじるナナイの思考を感じとったシャアはナナイを拒絶するが、それが隙となり、本機がサザビーをアクシズに叩きつけ、その反動で脱出装置が起動し頭部から放出されたシャアの脱出ポッドを捕獲し勝利する。ロンド・ベルの工作によりアクシズは内部より爆破され二分割されるが、破壊工作のミスにより後方の1つが地球への落下コースをたどり始め、アムロは破片の落下を阻止するべくシャアの脱出ポッドを掴んだまま本機をアクシズに取り付かせ、スラスターを最大に吹かして押し出そうとする。その行為に味方のみならず敵機までも協力する。その後サイコフレームの共振効果か、本機が虹色の光と共に人智を超えた性能を発揮[62]。サイコ・フィールドによってほかの機体は押しのけられることで命を散らすことなく離脱、さらにアクシズの後部は地球の重力圏から押し戻され、地球は救われる[63]。
なお、本機およびアムロとシャアの消息については劇中では描写されていない。
νガンダム(特報版)
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の初期の予告編「特報」に登場。
曇天を背景に、バストアップの構図で薬莢を撒き散らしつつ頭部バルカン砲を連射するが、カラーリングは本編に登場した機体と異なり、胸部インテークおよび顎と額が赤、ほかはグレー(塗装前とも言われる[64][要ページ番号])となっている。アムロが乗った機体と同一であるかは不明。
νガンダム(ファーストロット)
サンライズ公式アプリ『ガンダムファンクラブ』のキービジュアルとして登場し、同アプリのプレミアム会員の特典としてHGでガンプラ化された[65]。
機体色は上記の特報版に近いが、グレーが濃淡2色になっており、「特報」で映っていなかった肩部スラスター内側など一部が青で塗り分けられている。AE社フォン・ブラウン工場で完成し、ネオ・ジオンからサイコフレームの技術供与がされる以前の本来の仕様で運用試験がおこなわれている[66][注 11]。その内容は内蔵火器の射撃テストなど最低限の稼働チェックのみであるが、立ち会った連邦高官や技術者たちはその驚くべき完成度の高さに大きな衝撃を受けたという[66]。
のちにららぽーと福岡内の施設「GUNDAM SIDE-F」限定でRGでもガンプラ化された際には、同施設に設置されている「スペースモニター」で、スペース・コロニー近傍の宙域で性能テスト中と思しき本機のCG映像が公開された[68]。
マサダ中尉機
『ガンダムマガジン』第4号掲載コミック「ネオ・ジオンの亡霊」に登場。「シャアの反乱」後のU.C.0094年に地球に降下したネオ・ジオン軍残党のヤクト・ドーガの捜索隊に配備された。パイロットのマサダ中尉にはニュータイプの素質はなかったとされるが、フィン・ファンネルは装備されていた。ビームライフルとシールドは装備されていなかったが、左前腕部に量産型νガンダムと同様のビームスプレーガンユニットがマウントされていた。左肩には中尉のイニシャル「M」をモチーフにしたパーソナルマークが描かれていた。捜索中にヤクト・ドーガと交戦し、撃破するも小破している。
νガンダム Ver.Ka
カトキのリファイン前からガンプラのマスターグレード
νガンダム (アムロプラン)
宇宙世紀0092年を舞台とする『機動戦士ムーンガンダム』に登場。デザインは形部一平[69]。
第二次ネオ・ジオン抗争以前にアムロが構想していた設計案(「#機体設計」も参照)。ベース・フレームはナラティブガンダムとほぼ共通で、バックパック左側のファンネル・ラックは右側と同じビーム・サーベル・ラックに、両腕は左右対称の形状となっている[69]。
機体色は完成機に近いプランAと、頭部アンテナと胸部、足首部を白く塗ったプランBがあるが、どちらも白部分の多くが明るいグレーとなっている。なお、左肩にあるアムロのパーソナル・マークはプランBのみに描かれている[69]。
デザインした形部は、「ΖΖガンダムまでのガンダムタイプのさまざまな要素を、アムロが近しい技術者とともにチョイスしつつまとめたような、キマリすぎない若干の素人感を匂わせた」、「『ムーンガンダム』劇中では設計データが1コマのみの登場だが、アムロと技術者たちがおもしろがって作業していると感じたので二つのカラー案を出した」と語っている。また、ほかの『ムーンガンダム』登場機体と違い、設定画は作中のデータ案と同じ正面図で描かれている[69]。
νガンダム ヘビー・ウエポン・システム装備型
νガンダム HWS装備型 NU GUNDAM Heavy Weapon System | |
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型式番号 | FA-93HWS |
頭頂高 | 21.2m |
本体重量 | 32.6t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
武装 | ビームライフル ビームサーベル×2 60mmバルカン砲×2 シールド フィン・ファンネル×6 ニュー・ハイパー・バズーカ 肩部ミサイルランチャー ハイ・メガ・シールド ハイパー・メガ・ライフル |
『B-CLUB』27号での出渕裕のイラストが初出で、その後『CCA-MSV』に分類されている。
フルアーマーガンダムの構想を、νガンダムに継承した機体。反乱が長期化した場合に備え、大気圏外の無重力環境での運用を主眼に[70]νガンダムの機能強化のため立案された。スラスター付きの追加装甲を全身に装着し、機動性を損なわず防御力を向上させており、脆弱性が指摘されていた胸部ユニットにミサイルランチャーを内蔵した装甲ユニットを増設、その上部にマルチディスペンサー(ミノフスキー粒子の電波かく乱効果を低減させるパウダーやダミーバルーンなど補助兵装の追加装備などを計画)を配し[70]、フロントスカート内には隠し腕まで検討されていた[70]。シールドも分厚く大型化しているが、メガ粒子砲の配置上、狭い方を上向きにマウントしている。ハイパー・メガ・ライフルを装備し、火力の強化も図られている。重量増加による機動性の低下を軽減する為、脚部とリアスカートにプロペラントタンクと推進器を兼ねたスラスターを増設した[70]。さらに、胸部装甲へのIフィールド搭載、兵装のサイコミュ・アレンジなども検討されるが、反乱の早期終結でプランそのものが立ち消えになっている[71]。
当初はU.C.0094年までの実用化、U.C.0100年までの実戦配備を目指しており、『B-CLUB』27号によれば「U.C.0100にふさわしい
- 追加武装
-
- 肩部ミサイルランチャー
- 8基装備されており、
ΖΖ ガンダムと同じ部材が採用されている。構想段階ではサイコミュによって射出後の弾道をある程度コントロールするサイコミュ・グレネードの搭載が検討されていたが、機器が小型化できずに断念された。 - ハイパー・メガ・ライフル
- ビームライフルを超える破壊力をもち、最大出力では当時の戦艦の砲塔数基分に匹敵する威力を発揮する。ビームを絞っての超遠距離狙撃にも対応しており、精密射撃用バイポッドを装備している。ライフル自体にセンサーを内蔵し、射出のタイミングや攻撃対象の距離に応じ、威力をコントロールすることが可能とされており、調整にはサイコミュを利用しているという説もある。
- ハイ・メガ・シールド
- νガンダムのシールドに重ねて装備する。大口径メガ粒子砲を2門装備するシールド。大容量コンデンサーシステムを内蔵し、ジェネレータはνガンダムのシールド内蔵のビーム・ガン用ジェネレーターを転用することで大幅な軽量化を図っている。シールドだけでハイ・メガ・キャノン級の威力を発揮できるが、コンデンサーへのエネルギー充填に時間がかかるため連射性能は低い。
- 備考
- プラモデル『元祖SDガンダム NO.39 νガンダム ヘヴィウェポンシステム』では、オリジナルのヘッドアーマー(頭部メガ粒子砲内蔵型)も追加されている。
- 宇宙世紀ではなく現代日本を舞台とする漫画『機動戦士ガンダムALIVE』では、主人公の新たな搭乗機として登場する。
フルアーマーνガンダム
ムック『機動戦士ガンダム
νガンダム ダブル・フィン・ファンネル装備型
プラモデル「1/144 νガンダム フィン・ファンネル装備型」組立説明書に登場し、その後『CCA-MSV』に分類されている。
νガンダムのロールアウトの前倒しによって間に合わなかった兵装プランのひとつ[73]。バックパックのサーベルラックをフィン・ファンネルのジョイントに置き換え、左右にフィン・ファンネルを3基ずつ装備した形態。機体の細部や武装の形状が通常のνガンダムに比べ若干異なっている。なお、本機もヘビー・ウェポン・システムが装着可能である。[要出典]
このほかゲームなどでは左右にフィン・ファンネルを6基ずつ装備した形態も存在し、ゲーム『ガンダムバトルユニバース』およびその続編では、フィン・ファンネルが増えたことで、機体周囲を覆うIフィールドの形が正二十面体となる。
注釈
- ^ 『機動戦士Ζガンダム』第1話冒頭では、アポリーがテスト飛行中のガンダムMk-IIを(「新型のガンダム」という意味で)「ニュー・ガンダム」と呼ぶ場面がある。
- ^ シルエットとしてマントをしているというこのコンセプトが結果的にフィン・ファンネルの搭載に繋がって行った[1]。
- ^ アニメ雑誌「月刊ニュータイプ」編集長だった井上伸一郎によると、富野監督はシャアのスペルが「S」から始まると思い込んでいたために(実際はCharなので「C」)、「シャアを超える」という意味でHi-Sとしたという[6]。
- ^ 細身のHi-Sガンダム以外は全て恐竜や怪獣をモチーフとした「ごつく怖い」デザインラインで進行していた[8]。
- ^ 富野監督からは「チョンマゲをデカくし、顔の側面に芸を付けろ」の注文あり[5]。
- ^ 加えて、ラフな組み立てなら二週間で可能であり、MS製造の歴史の証明と小説版作中でオクトーバーが語っている。その製造スピードについて、アムロは「まるでプラスチック・モデル並のスピードだな」と感嘆の声を上げる[16]。
- ^ マスターグレード付属説明書でもこれを踏襲し、本機の基礎設計は歴代のガンダム・タイプの平均値を参考に、技術発展によるアップデートがほどこされているとしている[23]。
- ^ Ζガンダムにおいては高性能ではあるものの、操縦系統の反応が先鋭化しており、その操作はデリケートなものとなっていた[23]。
- ^ 劇中では戦場に割って入ったνガンダムのライフル射撃を、敵パイロットのレズンが艦戴のメガ粒子砲だと一瞬勘違いするシーンがある。
- ^ 劇中では、バリアー展開中にその内側から攻撃を行い、敵ファンネルを撃墜している描写が見られる。
- ^ 『逆襲のシャア』劇中では、サイコフレームの導入により機体重量が3キログラム減ったとされるが、重量を含む本仕様のスペックの数値はすべて実戦配備仕様と同じになっている[67]。
- ^ 後発機のユニコーンガンダムのデストロイモードの装甲展開ギミックをνガンダムまで逆算した形。同時期に発売された『MG サザビー
Ver.Ka 』も同様にサイコフレーム発動状態が追加されている。 - ^ 近年の書籍、プラモデルなどで採用している型番
- ^ 執筆者の富野由悠季は同作のあとがきに際し、「ベルトーチカ・チルドレンは逆襲のシャアのシナリオ第一稿をベースとしたモチーフ小説」という立場を説明している[76]
- ^ 『Gジェネレーション』シリーズ、『
MS 大全集2013』などで分類している。しかし『データコレクション』では未定義、CCA-MSVを扱っている『MS 大全集98』ではHi-νガンダムを掲載しておらず、『2003』ではM-MSVのページに掲載している - ^ 小説のサイコ・ドーガは映画におけるヤクト・ドーガに相当する機体で、『CCA-MSV』に存在する同名の機体とは別
- ^ 『Gジェネレーションオーバーワールド』ほか。『データコレクション』の解説文にも「ハイパー・メガビーム・ランチャー」と記載されている[55]。
- ^ なお漫画版のデザイン発表後も『GUNDAM VERSUS』などゲーム版のデザインは変更されていない。
- ^ 美樹本晴彦によって描かれた表紙カバーイラストや挿絵のνガンダムは、映画版と同じデザインであり。Hi-νガンダムの原型となったアレンジデザインは口絵にしか存在していない。
- ^ 商品の箱などに明記
- ^ 付属解説書では「YRA-90A」だが、ゲーム本編では「YRX-90A」であり、こちらのほうが地球連邦軍
MS の型式番号の法則にも合致する。
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