スクリューキャップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 14:38 UTC 版)
スクリューキャップ(代表的なものはステルヴァンキャップ)はアルミニウム製の栓であり、ボトルの首に取り付けられる。オーストリア、オーストラリア、ニュージーランドのワイナリーでは大半がこのスクリューキャップを採用している。これらの国々でスクリューキャップが多用されるのは、コルク栓の代わりにスクリューキャップを用いる動きがニュージーランドの先導で推進されたためである。スクリューキャップの気密性はコルクよりも強固であるため、より長期間酸素を遮断することができる。この特徴のために、ワインの総合的な品質を保つことができ、長期熟成のポテンシャルにも寄与する。ドメーヌ・ラロッシュのミシェル・ラロッシュは、この特徴が自身のワインにスクリューキャップを採用する決め手になったと語っている。「様々な品質試験で明白な結果が示された。スクリューキャップはブショネの予防策になるだけではなく、ワインの熟成にとっても好ましく、とりわけ新鮮な香りが残る」。 よく引き合いに出される反論としては、シャトー・オー・ブリオンで1970年代に行われた実験がある。スクリューキャップを使った100本のワインを長期間にわたって観測したところ、シャトー・オー・ブリオンのマネージャーのジャン=ベルナルド・デルマによれば「最初の10年は完璧な保存状態だったが、その後キャップ内部のプラスチックが脆くなり、空気が流入した」という結果であった。 ワイン専門家のジャンシス・ロビンソンによれば、スクリューキャップのデメリットは酸化とは逆の還元であるという。この還元によりワインの香りは抑えられると共に、快いものではなくなってしまう可能性がある。ソーヴィニヨン・ブランはもともと還元されやすい傾向のある品種であるため、特にこの問題が起こりやすい。さらに言えることは、スクリューキャップの一般的なイメージとして「消費者は実際の値段に関わらず、スクリューキャップのワインをいまだ“安物”と受け止めている」ということもデメリットのひとつである。 2004年にワインコンサルティング会社のワイン・インテリジェンスが行った消費者意識調査によると、アメリカ人では約52%、イギリス人では約60%が高級ワインにスクリューキャップを用いることに反対した。2007年のヴィクトル=セガレン大学の調査では、天然コルク・合成コルクと比較し、スクリューキャップがもっとも酸素の透過量が少なく、したがって酸化からワインを守るには最も適していることが示された。 2006年9月のインターナショナル・ワイン・チャレンジで行われた劣化に関するセミナーでの研究発表によれば、スクリューキャップを用いたワインの50本に1本が硫化の影響を受けている可能性があることがイギリスの新聞により広く報告されたという。この量は、全世界で20万本に相当する。これにより消費者は「本来のブーケではなく、硫黄臭(ゴムが焼けたような、あるいは卵の腐ったような臭い)がするワインに出会うはめになる」。ジェイミー・グッドはこの発表に対して異を唱え、「栓の科学的な考察としてふさわしいものではなく、不正確さや誤解に満ちている。そしてワイン業界に貢献するものではない」と主張し、具体的な不正確な点を指摘した。
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