V型8気筒のスタンダード化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 01:08 UTC 版)
「V型8気筒」の記事における「V型8気筒のスタンダード化」の解説
以後アメリカの自動車界では1970年代初頭まで、各種のV型8気筒エンジンによる過激なパワーウォーズが展開される。ビッグ3はV型8気筒搭載車を主力モデルとし、1950年代後半以降は、大衆車であるシボレーやプリムスまでもが普通にV型8気筒を搭載するようになった。 大衆車にも強力なV型8気筒を搭載することで商品性が高まり、また年々アメリカ車が大型化していく中で大衆車にまで新たに普及した附属装備(自動変速機、パワーステアリング、エア・コンディショナー、パワーウィンドウ等々)に対応して余りある性能を得るには、性能に余裕のあるV型8気筒エンジンが不可欠でもあった。V型8気筒エンジン自体が量産効果で廉価な存在となっており、またガソリンが非常に廉価だった当時のアメリカでは、大排気量故の劣悪な燃費は度外視できた。その結果、アメリカでは1969年モデルの乗用車のうち、実に88.9%がV型8気筒エンジンを搭載していたという。 1950年代後半~1960年代にかけ、アメリカのフルサイズセダンでは7リットル超の巨大なV型8気筒を搭載し、大型キャブレター装備で400HP前後を発生するようなモデルも多数存在した。それらはフールプルーフなオートマチックトランスミッションで、総重量2t超の大きなボディを200km/h前後~220km/h以上まで到達させた。 一方で、戦前からの旧式6気筒エンジンのみを搭載しており、1950年代前半までにV型8気筒エンジンを自社開発できなかった中堅以下のメーカー(ナッシュ、ハドソン、カイザー=フレーザーなど)は商品力を失って中級車市場から脱落し、ニッチ分野の小型車への転進や自動車業界撤退を余儀なくされた。 アメリカではオイルショック以後の自動車のダウンサイジング傾向もあり、大衆車クラスではV型8気筒より更にコンパクトなV6への移行が一時著しかったが、1990年代前後からガソリン価格の落ち着きと景気の急回復を受けて、かつてのような高出力V型8気筒エンジンの再登場を望むマーケットからの要請が強く、新世代のハイパワーV型8気筒(電子制御インジェクション仕様)の開発が進むこととなった。このためインターミディエイトクラス~フルサイズクラス、大型SUV、自家用トラックなどでは現在再び、タフでパワフルと評判の高いV型8気筒エンジン搭載車に人気がある。
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