SEEC-Tの登場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/30 06:19 UTC 版)
SEEC-Tは1973年に触媒+二次空気複合方式のSEEC-B/Cのサブプランとして立案され、燃焼室温度の抑制によるNOx低減、希薄燃焼と排気温度の適性維持によるCO・HCの抑制を狙い、基幹技術としてはリードバルブ式二次空気導入装置とEGRのみの採用が特徴であった。オーバースクエア方式でバルブオーバーラップの大きなEA型の特性を生かしたもので、等長型で延長の長いインテークマニホールド、排気ポートのサイアミーズ・ポート化と熱害対策としてのポート内へのライナーの挿入、エキゾーストマニホールド周辺の二重外殻化による排気温度の適性維持(700-750℃前後)などにより、触媒・エアポンプ等の補機なしでの排ガス対策を実現した。北米の寒冷地でのテストにおいては吸気予熱不足によりキャブレターのアイシングが発生したことから、排気管による吸気予熱(ヒートライザー方式)と、クランクケースブリーザーをシールド式からPCVバルブへ変更することで対処した。 1974年7月24日、サブプラン扱いであったSEEC-Tが、アメリカ合衆国環境保護庁 (EPA) の75年排出ガス公式認定試験に合格。同時に米国でマスキー法の75年および76年規制値の正式適用が当面見送りとなったことから、SEEC-Tがマスキー法対策のメインプランに昇格、SEEC-B/Cが逆にメインからサブプランに降格されることになった。その後エンジン改良を進めた結果、SEEC-Tシステムのままでもマスキー法への完全適合が達成できる目処が立ったため、日本国内では1975年1月13日にプレスリリースにて昭和50年規制適合車として正式発表、1975年8月にSEEC-T搭載のEA型の生産を開始し、10月に日本国内でも販売開始。1975年12月にはEK型もSEEC-T方式へと移行し、軽自動車初の51年規制適合車となった。 北米においては、1975年9月にEPAが76MY車両を対象に行った燃費試験において、SEEC-T搭載のレオーネがシボレー・シェベット(英語版)、ダットサン・サニーB210と並んで燃費全米一の記録を達成した。また、ウエスタン・ワシントン大学(英語版)が独自に製作している研究車両「バイキング」シリーズでもSEEC-T搭載エンジンが使用された記録が残っており、1976年の大陸横断エコラン(Sea to Sea Econorally)に出場する目的で製作された「バイキングII」では、LPG仕様に改造されたEA71型エンジンにて、同大会の全種目にて優勝を達成している。
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