J35Aとは? わかりやすく解説

ホンダ・J型エンジン

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/31 19:25 UTC 版)

ホンダ・J型エンジン
J35A
生産拠点 本田技研工業
製造期間 1996年2月 -
タイプ V型6気筒SOHCVTEC24バルブ
V型6気筒SOHCi-VTEC24バルブ
V型6気筒DOHCi-VTEC24バルブ
V型6気筒DOHCi-VTEC24バルブターボ
排気量 2.5L,3.0L,3.2L,3.5L,3.7L
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ホンダ・J型エンジン(ホンダ・Jがたエンジン)は、本田技研工業で製造されている大型車種用のV型6気筒ガソリンエンジンである。

対抗するクラスのエンジンとしてトヨタGRエンジン日産VQエンジンがある。

機構

VTEC

  • J25A/J30A/J32A/J35A/J37A

V型6気筒エンジンとしてはC型の後継にあたる。出力取出軸端からの回転方向が反時計回り[1]のレイアウトをC型エンジンから踏襲しているが、ホンダがこれ以降に開発した機種も順次反時計回りの駆動方式に変更されていった。ラインアップはすべてSOHCの24バルブで共通となり、片バンクあたりDOHC(フォーカム)の仕様は存在しない。

吸・排気バルブは共に2個ずつ設け、ロッカーアームを介し開閉される。そのロッカーアームには可変バルブタイミング・リフト機構が装備され、さらに動弁系のフリクションを低減するため摺動部にローラー機構を使用している。なお、低速域[2]で吸気バルブのうち片方を休止させる「VTEC-E」に類似した仕様もある。点火プラグ燃焼室の天井中央部に取付けられており、カムシャフトを避けるために上側を排気バルブ側に傾けている。シリンダーブロックアルミ製で、バンク角はC型の90からV6エンジンとして一般的な60度へ改め、回転バランスを向上させた。

燃料供給装置はPGM-FI仕様のみで、インテークマニホールドの各気筒のポートにインジェクターが取付けられたマルチポイント式で、暖機時にインテークマニホールドから2次エアを供給し、燃料の霧化を促進するAAI(エアアシストインジェクター)が装備されている。インテークマニホールドに可変吸気装置が装備されている仕様があるほか、後述するVCM仕様以降ではエキゾーストマニホールドが無く、シリンダーヘッド内で隣り合う排気ポートが集合し、その直後に排気ガスを浄化する三元触媒が装備されている。

VCM

  • J30A/J35A/J35Z/J35Y/JNA

高出力と低燃費をより高い次元で両立するため、可変バルブタイミング・リフト機構を応用し、低負荷時に一部気筒の吸排気バルブを休止させることにより擬似的に排気量を可変させ、合わせて吸・排気のポンピングロスも低減させている。

2003年発表の4代目インスパイアにリアバンクを休止するVCMが初採用された。2007年発表のインスパイア並びに北米仕様アコードでは6気筒-4気筒−3気筒と使用気筒数を変化させる新型VCMが初採用された。リアバンク側では4気筒モードで1気筒休止、3気筒モードで3気筒休止を実現するためロッカーシャフトは4系統の油圧経路を持つ。2012年発表の8代目北米仕様アコードでは気筒休止は3気筒モードのみだが、吸気側に低回転、高回転でのバルブタイミング切り換えVTECを採用した。リアバンクでは気筒休止を含めVTEC切り替えが3ステージとなる。2013年発表のアキュラ・RLXでは、リアバンク側で異軸であったVCM切り替えとVTEC切り替えを、同軸とするシンクロピストンピン構造による3段階のバルブリフトを実現している。

気筒休止時には、一部気筒のみが燃焼エネルギーを発生するためエンジン振動とこもり音が増大する。エンジン振動を吸収させるために、液封エンジンマウントに内蔵したアクチュエーターを打ち消すように作動させる、アクティブコントロールエンジンマウントを採用している。こもり音を低減させるために、室内にこもり音と逆位相の音を発生して打ち消す、アクティブノイズコントロールを採用している。

EARTH DREAMS TECHNOLOGY

  • J35Y/JNB

2014年までに各車両カテゴリーで燃費No.1を目指し、2020年までにCO2排出量を2000年比で30%の低減を目指すために投入される次世代革新技術で、燃料供給方式に筒内直接噴射(直噴)が採用されている。加えて、VTECやVCMに新動弁機構を採用するなどにより、燃費は10%、出力は5%程度向上している。

歴史

バリエーション

現在

J30AC

ターボ
  • 弁機構:DOHC i-VTEC 24バルブ ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,997cc(182.9cu in)
  • 内径×行程:86.0mm×86.0mm(3.39in×3.39in)
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(UB7 TLXタイプS)
    • 最高出力:265kW(355hp)/5,500rpm
    • 最大トルク:480N·m(354lb⋅ft)/1,400rpm
    • 圧縮: 9.8:1
  • TLXタイプS(UB7)
  • MDXタイプS(YD8)

J35A

VTEC
  • 弁機構:SOHC VTEC 24バルブ ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:3,471cc
  • 内径×行程:89.0mm×93.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(YK2 リッジライン)
    • 最高出力:221kW(300PS)/6,200rpm
    • 最大トルク:353N·m(36.0kg·m)/5,000rpm
  • リッジライン(YK2/3)
  • BF175A/BF200A/BF225A/BF250A(船外機
VCM
  • 弁機構:SOHC i-VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:3,471cc
  • 内径×行程:89.0mm×93.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(CP3 インスパイア)
    • 最高出力:206kW(280PS)/6,200rpm
    • 最大トルク:342N·m(34.9kg·m)/5,000rpm
  • オデッセイ(RL6 北米仕様)

J35Y

VCM
  • 弁機構:DOHC i-VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:3,471cc
  • 内径×行程:89.0mm×93.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(YG1 パイロット)
    • 最高出力:213kW(285 hp)/6,100rpm
    • 最大トルク:355N·m(262lb⋅ft)/5,000rpm
  • パイロット(YG1/2)

過去

J25A

J25A(インスパイア)
  • 弁機構:SOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,495cc
  • 内径×行程:86.0mm×71.6mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(UA4 インスパイア)
    • 最高出力:184kW(200PS)/6,200rpm
    • 最大トルク:296N·m(24.5kg·m)/4,600rpm

J30A

VTEC
J30A(オデッセイ)
  • 弁機構:SOHC VTEC 24バルブ ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,997cc
  • 内径×行程:86.0mm×86.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(TA3 アヴァンシア)
    • 最高出力:158kW(215PS)/5,800rpm
    • 最大トルク:272N·m(27.7kg·m)/5,000rpm
VCM
  • 弁機構:SOHC i-VTEC 24バルブ ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,997cc
  • 内径×行程:86.0mm×86.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(RR3 エリシオン)
    • 最高出力:184kW(250PS)/6,000rpm
    • 最大トルク:309N·m(31.5kg·m)/5,000rpm

J30Y1

  • 弁機構:SOHC i-VTEC 24バルブ 吸気2 排気2
  • 排気量:2,997cc
  • 内径×行程:86.0mm×86.0mm
  • 燃料供給装置形式:筒内直接噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(MDX スポーツハイブリッド)
    • 最高出力:189kW(257hp)/6,300rpm
    • 最大トルク:296N·m(218lb⋅ft)/5,000rpm

J32A

  • 弁機構:SOHC VTEC 24バルブ ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:3,210cc
  • 内径×行程:89.0mm×86.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(UA6 TL)
    • 最高出力:201kW(270PS)/6,200rpm
    • 最大トルク:323N·m(32.9kg·m)/5,000rpm

J35Y

Multi-point injection
  • 弁機構:SOHC i-VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:3,471cc
  • 内径×行程:89.0mm×93.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(北米仕様 アコード)
    • 最高出力:207kW(278hp)/6,200rpm
    • 最大トルク:342N·m(252lb·ft)/4,900rpm
Direct injection
  • 弁機構:SOHC i-VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:3,471cc
  • 内径×行程:89.0mm×93.0mm
  • 燃料供給装置形式:筒内直接噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(KC1 RLX)
    • 最高出力:231kW(310hp)/6,500rpm
    • 最大トルク:376N·m(272lb·ft)/4,500rpm

J37A

J37A
  • 弁機構:SOHC VTEC 24バルブ ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:3,664cc
  • 内径×行程:90.0mm×96.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(UA9 TL)
    • 最高出力:227kW(309PS)/6,300rpm
    • 最大トルク:370N·m(37.7kg·m)/5,000rpm

JNA

  • 弁機構:SOHC i-VTEC 24バルブ ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,997cc
  • 内径×行程:86.0mm×86.0mm
  • 参考スペック(CN3 アコードハイブリッド)
    • 最高出力:190kW (255hp)/5,400rpm
    • 最大トルク:315N・m (232lb・ft)/4,500rpm

JNB

  • 弁機構:SOHC i-VTEC 24バルブ ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:3,471cc
  • 内径×行程:89.0mm×93.0mm
  • 燃料供給装置形式:筒内直接噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(KC2 レジェンド)
    • 最高出力:231kW (314PS)/6,500rpm
    • 最大トルク:371N・m (37.8kgf・m)/4,700rpm

JNC

  • 弁機構:DOHC i-VTEC 24バルブ チェーン駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:3,492cc
  • 内径×行程:91.0mm×89.5mm
  • 燃料供給装置形式:筒内直接噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(NC1 NSX)
    • 最高出力:389kW (529PS)/6,500-6,850rpm
    • 最大トルク:600N・m (61.2kgf・m)/2,300-6,000rpm

過去の搭載車種

J25A
J30A
J30Y1
  • RDX 中国仕様
  • MDX スポーツハイブリッド
J32A
  • インスパイア/セイバー(UA5)
  • TL(UA5/6)
  • CL(YA4)
J35A
J35Y
  • アコード(北米仕様)
  • RLX(KC1)
  • パイロット(YF5/6)
J37A
  • レジェンド/RL(KB2)
  • MDX(YD2)
  • TL(UA9)
  • ZDX(YB1)
JNA
JNB
  • レジェンド/RLX(KC2)
JNC

モータースポーツ

脚注

  1. ^ JIS B 8001においては「逆時計回り」と呼称。
  2. ^ エンジン回転数の正式名称はエンジン回転速度。JIS B 0108-1による。
  3. ^ GMにおけるエンジン型式はL66とされた

関連項目

外部リンク


J 35A

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 17:52 UTC 版)

サーブ 35 ドラケン」の記事における「J 35A」の解説

初期の生産型。事実上増加試作機途中からテイルバンパーに替えて尾輪装備90製造

※この「J 35A」の解説は、「サーブ 35 ドラケン」の解説の一部です。
「J 35A」を含む「サーブ 35 ドラケン」の記事については、「サーブ 35 ドラケン」の概要を参照ください。

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