ICRP Publication 26(1977年勧告)
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「国際放射線防護委員会」の記事における「ICRP Publication 26(1977年勧告)」の解説
1977年勧告では、以下の3つが放射線防護の目的として掲げられた。ICRPはこの勧告以降、被曝をもたらす行為を受け入れることができるかどうかは、社会的要因も考慮しつつ費用便益分析によって決定すべきであるとしている。 行為の正当化(被曝を伴う行為が正味でプラスの利益を生むこと) 非確率的影響(確定的影響)の発生を防止すること 確率的影響の発生確率を容認できるレベルにまで制限すること 1977年勧告では、広島及び長崎への原子爆弾投下による被爆者に対する疫学調査によって得られた知見が反映された。これにより確率的影響の防止に関する基準が定められるようになった。これ以前に勧告された基準値が経験的な値であったのに対し、この勧告では疫学調査から推定した被曝のリスクと他産業のリスクを比較することにより定量的に基準値が定められた。 ICRPは線エネルギー付与(LET)の関数として表される「線質係数」を定義し、吸収線量に「線質係数」を掛けて得られる線量を「線量当量」と呼んだ。1977年勧告では、致死癌および重篤な遺伝影響に着目して組織加重係数を決定した。線量当量に組織加重係数を掛けた値の総和量を実効線量当量と呼んだ。発癌等の確率的影響を避けるための基準として実効線量当量限度、確定的影響を避けるための基準として目の水晶体および皮膚等の組織線量当量限度が放射線作業者と一般公衆に対してそれぞれ定められた。実効線量当量の概念が導入されたことにより、外部被曝と内部被曝を加算して取り扱うことが初めて可能となった。 1977年勧告に対して8回(1978年 ストックホルム声明、1980年 ブライトン声明、1983年 ワシントン声明、1984年 ストックホルム声明、1985年 パリ声明、1987年 ワシントン声明、1987年 コモ声明、1989年 パリ声明)にわたって追加修正が行われた。
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