HP-12C
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 00:34 UTC 版)
「HP-10Cシリーズ」の記事における「HP-12C」の解説
HP-12C は人気のある金融電卓であり、各種金利計算、正味現在価値(純当初価値)(NPV)、投資収益率(IRR)、利付債券、減価償却、リースなどの多様な金融計算が可能である。その人気のため、シリーズの中で唯一、現在もなお製造・販売が続けられている。 2003年にさらに機能を追加された HP-12C Platinum が販売された。2006年に HP-12C Platinum 25th Anniversary Edition が発売された。2008年には HP-12c Prestige が発売された。仕様的には2007年版の HP-12c Platinum と一緒であるが、外観が大きく異なっている。 2011年に HP-12C 30th Anniversary Edition が限定モデルとして登場した。この限定モデルの仕様は機能の少ない HP-12C であり、HP-12c Platinum ではない。 HP-12C は HP 製品で最も寿命が長いベストセラーであり、1981年から継続して販売され続けている。金融計算における簡素な操作により、米国における金融電卓のデファクトスタンダードとなった。たとえばゴールドマン・サックスは新入社員に対し HP-12C の教育を毎年おこなっている(今はなきベアー・スターンズも行なっていた)。2008年以前の HP-12C の計算は決して高速ではなく、表計算ソフトウェアでは瞬時に答えを出す利率の計算に数分かかることも珍しくない。HP-12c Platinum が登場した時、HP-12C の処理速度は Platinum よりも低速度であったが、英語版記事によると2008年の HP-12C から ARM CPU を搭載するようになり、Platinum よりも高速化した。ARM化された HP-12C は俗に HP-12C+ と呼ばれることもある。機能が簡素であるにもかかわらず、その人気は長続きしている。 HP-12C は、販売当初よりもプロセッサ技術が大幅に向上したため、回路構成はシングルチップとなり製造プロセスも一新された。1990年代末期に CPU の動作電圧は 3V に、また、電池も 3V(CR2032) 1個に変更された。 HP-12C Platinum は製造時期により4種類ある(2003年、2005年、2006年、2007年)。2008年の Prestige も含めると5種類になる。初代2003年版はカッコが利用できないため、代数モードでミスが起きやすかった。2005年版で改善されてカッコが利用できるようになった。カッコはシフトキー[g]と、STO または RCL キーを組み合わせて入力する。 当初、HP-12c Platinum は、電池として CR2032 を1個だけ使っていたが、2007年版以降は CR2032 を2個使っている。 HP-12C シリーズは Chartered Financial Analyst 試験に持ち込みが許可された電卓のうちのひとつである。ほかには テキサス・インスツルメンツ の BA II Plus と BA II Plus Professional が許可されている。 HP は Web サイトで HP-12C / HP-12C Platinum Solution Book を PDF 形式で公開している。 モーゲージ・ブローカー(Mortgage Broker: 米国の住宅ローン専門の会社)に HP-12C を持ち込む人もいる。住宅ローンの支払い月額を自分で計算するためで、業者がモーゲージ表から割り出すよりも HP-12C で計算した方が早いというわけである。HP-12C には複利計算、年金計算などの機能が入っており、時間-時価-金額 の計算が容易である。
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