Einführung in die vergleichende Sprachwissenschaft
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「セメレーニ・オスヴァルド」の記事における「Einführung in die vergleichende Sprachwissenschaft」の解説
このうち主著は、何と言っても "Einführung in die vergleichende Sprachwissenschaft"(『比較言語学概論』)である。1970年に初版発行以来、1980年2版、1989年改訂3版、1990年4版(但し、実際の出版年は1991年)まで発行され、またスペイン語(Editorial Gredos, 1978年)、ロシア語(Moscow, 1980年)・イタリア語(Milan, 1985年)・英語(Clarendon Press, Oxford, 1996年)に翻訳された事をみても明瞭である。本書は、書名に「印欧語」とはうたっていないものの、実質的には『印欧比較言語学概論』であり、音韻論と形態論からのみなり統語論は含まない。しかし、300頁を越えるまとまった形での印欧語言語学概論は、アントワーヌ・メイエの主著 "Introduction à l'étude comparative des langues indo-européennes"(1903年初版、1937年8版)以来のものであり、さらにメイエのものと違って自説を展開しながらも異説・参考文献の非常に広く紹介している。多くの専門家が必読書として挙げる所以である。 なおセメレーニは、1950年代後半に、内容的には Einführung を凌ぐ "Introduction to IE Philology" をほぼ書き上げていた。原稿段階で168頁が印欧諸語の概観、169-346頁音韻論であった。この本は Einführung 初版(1970年, 12頁)にも "...für 1972 geplanted Buch Introduction to Indo-European Philology" と具体的な書名及び出版予定年まであげて出版が予告された。(なお1978年のスペイン語訳では、この箇所は"...mi proyectado libro Introduction to Indo-European Linguistics"と出版予定年は消え、書名も変更されている)。この英語のIntroductionは1978年に至ってその出版が最終的に見送られる事になったのだが、その原因はセメレーニの言葉をそのまま借りれば、"I did not work hard enough"(Introduction to IE Linguistics, vii)という事であり、ドイツ語版Einführung出版の陰で棚上げされた格好となったものである。 その一方、Einführung 英訳の話は1972年3月に遡る。原著の出版社(Wissenschaftliche Buchgesellschaft)から、カリフォルニア在住のDr.Eugene E.Flajserが翻訳を申し出ている旨の連絡を受け、また同氏がカリフォルニア大学バークレー校の教授Dr.Madison BeelerのEinführungに対する高評価を参照している事を知ったのである。そこで、セメレーニはBeeler教授に手紙を出し、こう告げた。「Introduction to IE philologuが、今年は無理でも来年には必ず英語で出版されます。」と。その真意は、言うまでもなく「英語訳の出版は、英語版Introduction出版を阻害しかねないので止めてほしい」という事。つまり、Einführung英語訳の出版は、セメレーニ自らが消滅させたものであり、その意味で、永眠の直前に待望の英訳の出版を見られた事は何よりであった。 なお、セメレーニの英語版Introductionへの執着の強さは相当なものがあり、Einführung第3版(1989年、13頁)にも他書の紹介に当たって括弧付きで、「著者自身も10余年前に、その規模は劣るものの完成させていた。。。」と間接的に言及している事からもうかがえる。
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