DBTの治療プログラム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 09:58 UTC 版)
「境界性パーソナリティ障害」の記事における「DBTの治療プログラム」の解説
弁証法的行動療法の構造は次のようになっている。 個人精神療法 - 週1 - 2回(1回1時間から1時間30分の面接) グループスキルトレーニング - 週1回(1回2時間30分、図参照) 電話相談 - 随時 治療チームのコンサルテーションミーティング - 週1回3時間 個人療法は週1回が基本であるが、治療初期や危機介入時には週2回ほど行われる。患者は日記をつけ、それを元に治療者と行動療法的な話合いがもたれる。グループスキルトレーニングは患者と規則の遵守の契約をすることから始める。グループスキルトレーングでは、「マインドフルネス」を養うトレーニングを2週間行った後に、「対人関係を有効に保つスキル(Interpersonal Effectiveness Skills)」、「感情調節スキル(Emotion Regulation Skills)」、「苦悩に耐えるスキル(Distress Tolerance Skills)」のトレーニングをそれぞれ6週間行う。どのタームから始めてもよいが、最低2サイクル(一年間)行う(図参照)。マインドフルネス・トレーニングでは、瞑想法を用いて心や身体の状態を「あるがまま」に認識・自覚していき、感情のバランスをとる技術を見につける。このマインドフルネストレーニングは、日本発祥の精神療法である森田療法との類似が指摘されており、日本人の気質に合う可能性が示唆されている。 電話相談は精神療法を行っている主セラピストが担当する。自傷などの破壊行為を行いそうになったら積極的に電話連絡をするように指示している。ただし自傷をしてしまった後には連絡はしないというシステムをとるなど、有効な対処法に正の強化を与える方法を採用している。また患者だけでなく、治療者が患者にマイナスとなる行動や態度を取らないように、指導者が助言や相談を行うなどのスーパービジョンも包括した内容となっている。 弁証法的行動療法では、最低でも週に6時間30分以上の従事、電話でのサポート、1人の患者につき最低4人の治療者を必要とするため、日本では保険診療内におさまらず普及が困難との見方もある。しかし病識の低い患者も多いBPDでは、そもそも治療上のコミュニケーションそのものが難しいため、治療者側からの能動的な教示と訓練、積極的な介入が必要不可欠であることも否めない事実である。
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