BLS AG Re420.5形
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「スイス国鉄Re420形電気機関車」の記事における「BLS AG Re420.5形」の解説
アルプス横断ルールとしてゴッタルドルートと並ぶレッチュベルク-シンプロンルートのうち、レッチュベルク峠越えの区間はスイス最大級の私鉄で、現在はBLS AGとなっているベルン-レッチュベルク-シンプロン鉄道およびその後身のBLSレッチュベルク鉄道が所有するルートであるが、2004年12月のダイヤ改正にあわせてスイス国鉄とBLSレッチュベルク鉄道で列車運行の整理がなされ、長距離列車についてはBLSレッチュベルク鉄道区間においてもスイス国鉄が担当し、BLSレッチュベルク鉄道の区間列車とスイス国鉄区間を含むベルン近郊のSバーンについてはBLSレッチュベルク鉄道が運行を担当することとなった。これにともない、両鉄道間で一部機材の交換が行われることとなり、BLSレッチュベルク鉄道が所有していた長距離列車用のEW IV系客車35両がスイス国鉄へ、スイスエクスプレス用から区間列車用に転用されていたスイス国鉄のEW III系客車57両がBLSレッチュベルク鉄道へ譲渡されることとなった。 しかし、EW III系客車の重連総括制御装置はスイス国鉄標準で42芯のSystem IIIdであったが、BLSレッチュベルク鉄道ではRe425形などにSystem IIIdと互換性のない61芯のSystem BBCを使用しており、機関車不足の状況でもあったため、スイス国鉄からRe420形を購入してEW III系によるシャトルトレインの牽引用として使用することとなり、形式名はRe420形のまま500番台の機番に変更して通称Re420.5形と呼ばれる機体を計12機導入している。 2004年12月にはRe420形の初期製造機体6機がR3整備、修繕を実施した上でBLSレッチュベルク鉄道へ譲渡されている。これに続き2005年12月にはベルンSバーンの牽引用としてさらに6機が譲渡されている。譲渡にあたっては当初からBLSレッチュベルク鉄道塗装となっていた501号機を除き、オリジナルのスイス国鉄濃緑色、赤もしくはスイスエクスプレス塗装のまま、正面のスイス国旗もしくはスイス国鉄の紋章、「SBB」「CFF」「FFS」および機番の切抜文字が撤去され、正面下部中央には機番が、側面中央下部にはBLSレッチュベルク鉄道のロゴと機番が入るものにまず変更されている。 その後501-506号機については順次本格的な塗装変更が実施され、ライトグレーをベースに車体裾部に青帯が入り、正面下部を黄緑色、正面窓周りを青、側面窓周りを黒として、正面下部中央と側面左側にBLSレッチュベルク鉄道のロゴマークを、側面右下部に形式名と機番を、正面右側窓下に機番を入れたものとなっている。なお、その後のBLS AGの発足に伴い、正面および側面のロゴが新しいBLS AGのマークとロゴに変更されているが、507-512号機についてはこのBLS塗装には変更されていない。 なお、501号機となった旧11110号機のみはBLSレッチュベルク鉄道への譲渡に先立つ2004年7月には改番とBLS塗装への変更されているほか、菱型パンタグラフのまま譲渡された502、505、508、511号機についてもシングルアーム式パンタグラフへの交換が進められている。 譲渡前後の機番、譲渡年月は以下の通り 1次譲渡機Re4/4II 11110 - Re420 501-9 - 2004年12月11日 Re4/4II 11117 - Re420 502-7 - 2004年12月11日 Re4/4II 11119 - Re420 503-5 - 2004年12月11日 Re4/4II 11123 - Re420 504-3 - 2004年12月11日 Re4/4II 11137 - Re420 505-0 - 2004年12月11日 Re4/4II 11142 - Re420 506-8 - 2004年12月11日 2次譲渡機Re4/4II 11107 - Re420 507-6 - 2005年12月10日 Re4/4II 11102 - Re420 508-4 - 2005年12月10日 Re4/4II 11103 - Re420 509-2 - 2005年12月10日 Re4/4II 11104 - Re420 510-0 - 2005年12月10日 Re4/4II 11105 - Re420 511-8 - 2005年12月10日 Re4/4II 11106 - Re420 512-6 - 2005年12月10日 BLS AGでは主にEW III系によるシャトルトレインを牽引してベルンSバーンのS5系統であるベルン - ヌーシャテル間のレギオエクスプレスと、ベルンSバーン区間、シュピーツ付近のローカル区間で客車列車の牽引で運行されるほか、レッチュベルクベーストンネルを除く全線で主に旅客列車を牽引している。なおEW III系客車によるシャトルトレインはベルン - ルツェルン間でも運行されているが、こちらは主にRe465形が牽引をしているほか、区間列車のシャトルトレイン化用として、2006年にSystem IIIdを装備するスイス国鉄のEW II系客車の2等/荷物制御客車5両がBLSレッチュベルク鉄道へ譲渡されて、Re420.5形牽引の列車で使用されている。 Sバーン用のRABe525形電車(通称NINA)や区間列車用のRe535形電車(通称Lötschberger)の増備により余剰となった507-512号機が2009年終わり頃に運用を外れ、510号機が2010年2月に廃車となっている。
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