AHCCと免疫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:17 UTC 版)
AHCCは自然免疫や獲得免疫を調節することにより免疫サーベイランスを強化し、真菌や細菌、インフルエンザウイルスに対して感染防御作用を発揮する。 さらに最近では、AHCCと自然免疫の研究においてAHCCの主活性成分であるα-グルカン画分によって誘導されるIL-6応答やNK細胞の活性化はTLR2依存的であり、α-グルカン画分の受容体の一つがTLR2であることが示唆された。関西医科大学第一外科の寺川直良らは21名の健康人を対象に、AHCC投与群10名(AHCC一日3g、4週間摂取)とコントロール(プラセボ)群11名に分け、二重盲検無作為化試験により、末梢血の樹状細胞数を評価した。その結果、NK活性や、インターフェロンやインターロイキンといったサイトカインの産生に差は見られなかったものの、AHCC投与群では総樹状細胞数ならびに骨髄性樹状細胞(DC1)数の増加、MLR(リンパ球混合培養反応)の増強を認めた。DC1は、ナイーブTリンパ球を介した抗がん作用において重要な働きをする細胞であり、AHCCががん患者の免疫応答を改善しうることが示唆される。 また、医療法人財団コンフォート病院会長の宇野克明医師は、Th1関連サイトカインの測定に際し、末梢血単核細胞にT細胞刺激因子であるPHAを添加して培養を行うと、AHCC摂取前には健常人対照と比し低値を示したIFN-γならびにIL-12において、摂取後は有意な産生能の増加を示すことを認めた。 これまでの動物実験においてAHCCの有効性が確認されている投与量は、100~1,000mg/kg/dayである。一方、がん患者を含むヒトに対する臨床研究では、一日1~6gの用量が採用されており、食品としての推奨摂取量もこの用量である。FDA(米国食品医薬品局)から公表されているガイダンスに基づき等価用量を算出すると、例えばAHCC500mg/kg/dayというマウスへの投与量は、60kgのヒトで一日2.5g用量に相当する。これは、動物実験における有効投与量と臨床研究での有効用量に乖離がないことを示すものである。
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