AHA勧告声明・ハンズオンリーCPR
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 06:08 UTC 版)
「一次救命処置」の記事における「AHA勧告声明・ハンズオンリーCPR」の解説
この石見の大阪での調査、長尾の関東での調査の2つの報告論文と、海外の1つの論文をエビデンスとして、2008年3月末にはアメリカ心臓協会(AHA)が「ハンズオンリーCPRに関するAHA勧告声明」を出す。ハンズオンリーCPR(Hands-Only CPR)とは胸骨圧迫だけのCPRのことであり、このAHA勧告声明から用いられたAHAの登録商標である。 ただしハンズオンリーCPRが従来のCPRと同等の効果をもつのは、血中酸素濃度がまだ低下していない間であり、心原性心肺停止で倒れた直後の場合である。つまり成人の突然の心停止に対する最初の10分間である。呼吸原性心肺停止、つまり溺水など窒息による場合はそうではない。特に子供の場合には心臓の問題よりも物や液体が詰まることの方が多く、その対処と人工呼吸が重要である。従って胸部圧迫の最小限の中断で人工呼吸ができるのなら、どのような場合も従来の胸部圧迫30回ごとに人工呼吸2回のCPRを行うべきである。 しかしそれを正しく行うことは「比較的複雑なスキル」であり、かつ心原性心肺停止の場合は胸部圧迫の中断が10秒以上となると人工呼吸の効果を消し去ってしまう。また十分なトレーニングを受けていない人にとってはCPRを忌避する原因にもなっており救命の妨げになっている。従って従来のCPRを自信をもって行えないならハンズオンリーCPRをやって欲しい。ともかく躊躇せずに早くCPRを行うことが大切。どのような方法であれ、全く訓練を受けていない人であれ、全く救助を試みないより有益、というのがAHAのスタンスである。
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