60インチ (1.5 m) ヘール望遠鏡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/27 00:09 UTC 版)
「ウィルソン山天文台」の記事における「60インチ (1.5 m) ヘール望遠鏡」の解説
1896年、ジョージ・エレリー・ヘールは父のウィリアム・ヘールからの寄贈品として、フランスのサンゴバン社が鋳造した口径60インチ (1.5m) のブランクミラーを受け取った。このブランクミラーは厚さ 7 1/2 インチ (191mm)、重量1900ポンド (860kg) のガラス円盤である。しかし1904年にヘールがカーネギー協会から資金を得るまで天文台は建設されなかった。1905年に反射鏡の研磨が始まり、完成まで2年を要した。望遠鏡の架台と構造物はサンフランシスコで建造され、1906年の地震にも何とか耐えた。 当時は天文台へ道が未整備であり、資材の運搬はラバなどが用いられていた(ミルトン・ヒューメイソンを参照)が、望遠鏡に使われる分割できない大型の部品を運ぶため、特製の電動トラックが開発された。 望遠鏡のファーストライトは1908年12月8日であった。この望遠鏡は完成当時世界最大の望遠鏡だった。 この60インチ (1.5m) 反射望遠鏡は天文学の歴史上、最も多くの成果を挙げて成功した望遠鏡の一つとなった。この望遠鏡はその優れた設計と集光力によって、分光分析や視差測定、星雲の写真観測や写真測光といった新たな技術の先駆けとなった。完成の9年後には口径でフッカー望遠鏡に追い越されたが、その後も数十年間にわたってヘール望遠鏡は世界中で最もよく使われる望遠鏡の一つだった。 1992年、60インチ望遠鏡に大気補正実験装置 (Atmospheric Compensation Experiment, ACE) と呼ばれる初期の補償光学システムが取り付けられた。この69チャンネルのシステムによって、望遠鏡の分解能は0.5~1.0秒角から0.07秒角にまで改善された。ACE は DARPA によって SDI システムのために開発された装置で、その民間転用には国立科学財団が出資した。 今日では60インチ望遠鏡は一般向け用途に使われている。焦点部には観測装置に代わって接眼レンズが取り付けられている。一般の人々が自由に覗くことができる望遠鏡としてはおそらく世界で最も大きな望遠鏡の一つである。 パロマー天文台にある200インチ望遠鏡も「ヘール望遠鏡 (Hale Telescope)」の名で呼ばれている。
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