2代目時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 17:50 UTC 版)
芳賀書店2代目である芳賀英明が芳賀書店で働き始めた1970年代中頃には業績が低迷していた。そこで2代目が目を付けたのが女性のヌード写真集である。この手の写真集の第一号が何かについては諸説があるが、1970年代中頃より古書店などに出回り始めていたらしく、次第に露出度を高めて過激になり、1979年には爆発的なブームとなった。写真集はポリ袋(ビニール袋)に入れられていたため、通称「ビニ本」と呼ばれるようになった。芳賀書店はヌード写真集を最初にポリ袋に入れて売り始めた書店とされており、そのため芳賀書店は「ビニ本発祥の店」ともされる。エロ本はもともと店の1コーナーで販売していただけだったが、売れ行きが良かったため売場面積を広げる際、立ち読み防止のために本をポリ袋に入れた。その結果、客の回転率が上がり、劇的に売り上げが伸びた。この頃より芳賀書店は、出版業を中心とする物からから販売業を中心とする物へと業態を転換した。取次を通す書籍の場合は書店の利益は1割だったが、取次を介さず出版社が芳賀書店に直接納めるビニ本は利益が4割に達した。 1979年、神田古書センター7階にアダルト商品を主力とした支店「神田古書センター店」をオープンさせる(2018年9月に閉店)。「神田古書センター店」は、店内にビニ本がずらりと並ぶ様子がテレビのニュースや雑誌にも取り上げられ、話題となった。その後、本店でもアダルト商品中心の販売へ移行する。当時の芳賀書店は古書の街・神保町に、神保町店(15坪)、古書センター店(24坪)、本店(40坪)の3店舗のポルノ専門店を構えた。 ビニ本は定価のない「オープン価格」であったので、店によって値段が違ったが、特に芳賀書店は良質なビニ本を安く売っていたので評判が高かった。同じ作品なら他店より価格が安く、また売れ残った作品はどんどん値下げされるので、ある程度妥協すれば低価格帯でもそこそこ良質な作品が買えるのが芳賀書店の特徴であった。1979年から1980年にかけてが「ビニ本バブル」で、それまで1億円に満たなかった年商は3億円を突破し、1980年に完成した8階建て本店ビルの建設費5億円をこの2年の利益だけでまかなった。 ビニ本が過激さを増した結果、1980年10月、当時芳賀書店常務であった2代目が風営法違反の疑いで逮捕される。やがてアダルトビデオが普及し初め、ビニ本のブームは終息するが、「性風俗関連特殊営業」の届け出をしている全国でも珍しい書店である芳賀書店はアダルトVHSを販売し、VHS全盛期の1980年代半ばには年商が24億円に達した。 1990年代にはDVD時代に入ったが、DVDはVHSより価格が安いため客単価が低下し、収益は5分の1になった。
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