1870年 - 1880年
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「リーハイ・バレー鉄道」の記事における「1870年 - 1880年」の解説
1870年代になると、リーハイ・バレー鉄道はニュージャージー州への延伸へと視点を移した。東部においてもっとも重要な市場はニューヨークであったが、リーハイ・バレー鉄道はニューヨークまでの輸送に際してセントラル・レールロード・オブ・ニュージャージーとモリス運河に依存していた。1871年にリーハイ・バレー鉄道は、マンハッタンとハドソン川をはさんで対岸にあるジャージーシティに終点があるという価値のあるモリス運河を借り受けた。アサ・パッカーはニュージャージー・ウェスト・ライン鉄道(英語版)を支援して、運河の沿線にさらなる土地を購入したが、これはニュージャージー・ウェスト・ライン鉄道をリーハイ・バレー鉄道のターミナルとして利用することを望んでのものであった。この計画はうまくいかなかったが、土地はのちに1889年になってリーハイ・バレー鉄道独自のターミナル駅に活用された。 セントラル・レールロード・オブ・ニュージャージーは、リーハイ・バレー鉄道がニュージャージーを横断する自社線を建設しようとしていることをみて、自社を防衛するためにリーハイ・アンド・サスケハナ鉄道 (Lehigh and Susquehanna Railroad) を借り受けて、石炭輸送の供給源を確保し続けようとした。リーハイ・アンド・サスケハナ鉄道は、リーハイ炭鉱汽船(英語版)により1837年に路線特許を受けて、運河の上流側終点のモーク・チャンクからウィルクスバリまでを結ぶことを目的としていた。リーハイ・バレー鉄道が開業してからは、リーハイ・アンド・サスケハナ鉄道は1868年にフィリップスバーグまで延伸し、セントラル・レールロード・オブ・ニュージャージーおよびモリス・アンド・エセックス鉄道(英語版)と連絡した。1871年にはフィリップスバーグからウィルクスバリまでの全線をセントラル・レールロード・オブ・ニュージャージーが借り受けた。ほぼ全線にわたって、リーハイ・バレー鉄道と並行していた。 モリス運河の経路は鉄道用には非現実的であると判明し、リーハイ・バレー鉄道は1872年にニュージャージー州パースアンボイへ通じる休眠免許を保有していたパース・アンボイ・アンド・バウンド・ブルック鉄道 (Perth Amboy & Bound Brook Railroad) を買収し、さらにこれにバウンド・ブルック・アンド・イーストンの新しい路線免許を加えた。これらの鉄道会社は合併してイーストン・アンド・アンボイ鉄道(英語版)となった。まもなくパース・アンボイに石炭埠頭が建設され、イーストンからパース・アンボイまでのほとんどの区間で路線が整地され線路が敷かれた。しかしこの経路では、パッテンバーグ (Pattenburg) 近くのマスコネットコング山(英語版)に全長4,893フィート(1,491 m)のトンネルが必要であり、これは難工事となって路線の開通が1875年5月まで遅れることになった。予想されていた輸送量増加に備えて、イーストンにおいてデラウェア川に架かっていた木造の橋が全長1,191フィート (363 m) の鉄製複線の橋に置き換えられた。 リーハイ・バレー鉄道の創業者で指導者であったアサ・パッカーは、1879年5月17日に73歳で死去した。彼の死の時点で、リーハイ・バレー鉄道は年間440万トンの石炭を657マイル (1,057 km) の路線で輸送しており、機関車は235両、石炭車は24,461両、その他の各種貨車を2,000両以上運行していた。30,000エーカー(約12,000ヘクタール)の炭鉱の土地を所有しており、ニューヨーク州およびニュージャージー州へと急速に拡大しつつあった。リーハイ・バレー鉄道は1873年の恐慌にも耐え、業績が回復しつつあった。アサ・パッカーの下で副社長を務めていたチャールズ・ハーツホーン (Charles Hartshorne) へと会社の経営は円滑に引き継がれた。1883年にハーツホーンは引退し、アサ・パッカーの息子で32歳だったハリー・パッカー (Harry Packer) に社長を引き継がせた。1年後、ハリー・パッカーは病気で死去し、アサ・パッカーの甥で51歳のエリシャ・パッカー・ウィルバー (Elisha Packer Wilbur) が社長に選ばれて13年間務めた。
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