1865年改訂版(パリ版)
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「マクベス (ヴェルディ)」の記事における「1865年改訂版(パリ版)」の解説
1864年になり、パリのリリック座(フランス語版)支配人レオン・カルヴァロ(英語版)と出版業者レオン・エスキュディエ(英語版)は、翌年の『マクベス』のリリック座上演の計画を持ち込んできた。パリ聴衆の好みに合わせてバレエの挿入は必須だったが、その検討を開始したヴェルディは17年前のこの作品の様々な箇所が弱いように感じられ、結局大規模な改訂になってしまった。主要な改稿箇所は以下の通りである。 第2幕第1場でのマクベス夫人のアリア「勝利!」(Trionfai!)はほぼ全面改稿され、アリア「光は萎えて」(La luce langue)となった。 同幕第3場、マクベスが晩餐の席でバンコーの亡霊に悩まされる場面は完全に書き改められた。 第3幕に魔女たちの踊るバレエの場面が追加された。 同幕のフィナーレはマクベスのアリアだったが、暴君と評されようと権力を守るとの決意を歌う夫妻の二重唱に改められた。 第4幕第1場、亡命者の合唱は全面改稿された。 第4幕第4場のフィナーレでは、初演版では死に瀕したマクベスのモノローグで終わっているが、これはカットされ、戦勝者側の勝利の合唱に書き改められた。 この改訂版はフランス語に翻訳された上、1865年4月21日にリリック座で上演された。ヴェルディ自身はこの改訂版に対して(初演版同様に)相当の自信を持っていたが、結論を言えばこの改訂版上演も成功ではなかった。新聞評の中には「ヴェルディはシェイクスピアを理解していない」とするものまであって、これにはヴェルディは激怒している。彼はエスキュディエに送った書簡で「これは『上演が失敗だった』というよりもっとひどい評論です。私がシェイクスピアを理解できていない、ですって? 神かけて違います。シェイクスピアは私の最愛の劇作家の一人です。彼の著作は私が青年時代から持っています。現在に至るまで何度も何度も読み返しています」と述べている。 なお、現在上演される『マクベス』は圧倒的にこの1865年改訂版が多いが、10分近くに及ぶ第3幕のバレエはカットされることがしばしばである。
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